北村慶作品の書評/レビュー
外資ファンド 利回り20%超のからくり
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タイトルだけをみると、投資での儲け方を説いた本と思ってしまうが実は違う。ファンドの本質とファイナンスの基礎を描いた作品と見ることもできるが、経済面の読み方指南書もしくは経済教育の啓蒙書というのが読み終えた上での感想だ。
本書の構成が面白い。まずはワイドショーでもよく扱われた、わかりやすい話から入る。例えばニッポン放送株買収問題など。その上で、そこに現れるファンドとは何者なのか、何を目的にして何を行っているのかが、その経済的手法とともに説明される。果たして”ハゲタカ”という蔑称は正しいのか?この疑問に対する答えもきっと見つかるだろう。
ファンドに対する疑問点、社会的役割が明らかにされた段で、日本が世界経済において重要な地位を占め続けていくためには、ファイナンス・リテラシーを高める必要性が説かれるのである。
初等教育におけるファイナンス教育実施についてのアンケートで寄せられた学校長のコメントに納得させられた。
「政府が今後どういった経済政策をとるのか示さなければ、学校の経済教育の方向性は決まらない」(要旨)
経済について詳しい方が読む必要はありませんが、詳しくない方、自信のない方は読まれても良いのではないかと思います。
貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵
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最近、漠然と資産運用を考えないとなぁ、と思っていました。でも、株式投資は運用が大変そうだし、情報収集・分析なんてしている暇はない。じゃあ、その辺はプロに任せてしまえ、と投資信託に手を出し始めてみました。しかし、投資信託について情報を集めだしてみると、諸説があり何が妥当なのかが分からない。そんな時、この本のことを知り買ってみることにしました。
はじめに、いまなぜ投資を行わなければならないのかが日本における格差を引き合いに出して語られます。このままでは老後の資金が足りない!じゃあ、流行のデイトレードを薦めるのかな、と思えばそうではありません。巷間では数十億儲けられるなんて本があふれているけれど、ではなぜその著者が儲けを独り占めにしないのか、と切り捨てます。
そして、かなりの日本人が誤解したままであろう、国の年金運用の実態に話は移ります。かつて6兆円もの損失を出した年金運用は、ここ2年で11兆円もの利益を上げたいる、と。その秘密は資産の分散と定期的な投資、そして、それを維持し続けることだと。
投資にはどうしても華やかなイメージが付きまといます。地味にコツコツやるのが成功の元なんて思えません。でも、「どんなに儲けた人がいても同じく損をした人もいるのだから市場全体は平均的に動く」というような言葉にハッとさせられました。確かに。
素人目ながら、基本から分かりやすく、正直に説明してある本だと思います。投資のことはよくわからない、という方にはおすすめできます。でも、情報源にも分散は必要でしょうから、盲信もよくないとは思いますが。
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