ジョン・ケープルズ作品の書評/レビュー

ザ・コピーライティング 心の琴線にふれる言葉の法則(監訳:神田昌典)

テスト、テスト、ひたすらテスト
評価:☆☆☆☆★
 イチローがプリウスのテレビCMに出演することによってプリウスの売上がどれだけ上がったかを厳密に測定することはできない。なぜなら、仮に売上が上がったとしても、それはエコ・ブームのおかげかも知れないし、販売員の努力の結果かも知れない。しかし、それが厳密に測定できる分野がある。通信販売だ。
 この本は、アメリカのコピーライターが昔に執筆したものであり、主に通販業界でテストした、売上に直結するコピーの要素について解説したものである。彼が売上げにつながる、と思い込んでいるコピーではなく、実際に売上につながったことがはっきりしているコピーであることが特徴的だ。
 例えばテストの方法はこうだ。ある商品を売るためのコピーを何種類か考えて、広告を出す。ただし、それぞれの応募先・電話番号を少し変えておく。こうすると、どちらの広告を見て応募してきたかが一目瞭然だ。そして、ほんの少しの言葉の選び方が数倍の売上を生み出すことが明確になる。

 自分を優秀だと思い込みたいのが人間というもの。人から「すごい!」と思われるように、気のきいたセリフ、格好良いデザインのコピーを作ってしまいがちらしい。でも、テストの結果を見ると、そういう凝ったコピーよりも、素直に相手に訴えるコピーの方が売上に結びついたりするらしい。
 1回読んだだけで全部理解できるような本ではないと思うので、何度も読み返しながら、そして実地で試しながら身につけたい。自分の満足のためではなく、相手の満足のために文章を書けるように。

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