桜井久勝作品の書評/レビュー

財務諸表分析

活き活きと数字が語る
評価:☆☆☆☆★
 ボクは会計学の専門家ではないので、その点を考慮の上お読み下さい。
 最近経理関係の仕事を行っているので勉強のためと、実利的に株式投資に役に立たないかと思い購入してみました。本書の構成として、第1部で財務諸表に記載されている項目を説明し、第2部でその数値がどのように解釈されるかを説明し、第3部で証券投資への応用を図っています。
 第1部、第2部の説明は実際の財務諸表の数値を用いてなされています。この方式ならばどの項目をどの分類に配賦して分析したら良いか見当もつかない素人でも応用できます。各章、各節で記述が重複して若干冗長にも感じますが、逆に、どこから読み返してもどこを参照すれば良いか分かる構成ともいえるので便利かもしれません。第1部、第2部を読み終えれば財務諸表の単なる数字が、企業の製造の現状を浮かび上がらせてくれるものに見えてきて、ちょっとドキドキします。
 第3部はここまでの記述に比べれば若干見劣りする気がします。証券投資への応用と言いながらもその言及は限定的です。一方で、ポートフォリオ理論に基づく投資の方が良いかも知れないと述べたり、ディスカウント・キャッシュ・フロー法での分析が必要と述べたり、一貫した主張は見られません。
 結論として、財務諸表の数字が意味するところは何かを知りたい初心者には有用な本だと思いますが、分析結果を利用して株式投資で儲けようと思っている人にはあまり役に立たないかもしれません。

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