横田雅俊作品の書評/レビュー

営業は感情移入 「トップセールス」1000人の結論 その差14倍!「一言力」とは何か

もっと簡潔なら完璧
評価:☆☆☆☆★
 センスという単語は非常に便利で、センス良く処理をして、みたいなことを言われることも多いが、しかしよくよく考えてみると、このセンスというやつは何を指しているのかはっきりとしない。本書によると営業の世界もそうであるらしく、営業成績が低いのはセンスがないから、という解釈がされるらしい。ではどうすればセンスを向上させられるのか?センスの中身が分からなければ、それは果たし様がない。
 著者は、トップセールスパーソン千人にヒアリングをして、センスの中身を調査したらしい。それぞれの人は千差万別、セールスの仕方もバラバラだったらしいのだが、たった一つ、相手の立場に立って仕事をする、という所だけは共通していたらしい。そこから導かれた真理が、営業は感情移入ということらしい。

 本書は非常に勉強になることが書かれているのだが、一冊の本にするために文章が水増しされているように感じるところがあり、どこか冗長に思えてしまう。営業資料の様にすっきりと書いて欲しかったのだが、それは色々と難しかったのだろう。
 しかし、タイトルと目次は非常に明確で、実はここだけを読めば、ある程度内容が理解できてしまう。そういう意味では非常に整理された素晴らしい本だと思う。なので、いくつか目次から抜粋して本書の内容をまとめてみたい。

感情移入のポイント:
@ 顧客の立場を想像する →自分の言いたいことではなく相手の聞きたいこと
A とにかく顧客接点を増やす →提案条件ではなく顧客状況を察知する
B 「なぜですか」と聞ける勇気 →相手の真意を探って対応

トップのノウハウが共有されない本当の理由:
@ 我々の業界は特殊だという思い込み
A 時間や効率、顧客に対する価値観の違い
B 失敗の原因を探るマネジメント不足

顧客の障壁:
@ 事前準備不足 →顧客がメリットを感じられる一言を考える
A 初回アプローチの失敗 →顧客が聞きたいことを考える
B 決まった取引先がある →今の取引先のデメリットを聞き出すチャンス
C 二回目以降訪問できない →売り込みではなく相手に情報提供をする
D 質問に答えてもらえない →1メリット1クエスチョン
E 顧客の本音が分からない →本音を察する地道なヒアリング
F 顧客の優先順位が分からない →ブレる前提で幅広いアプローチ
G 資料が捨てられてしまう →相手がメリットを理解できる資料構成
H 主導権を握られる →相手の立場に立って言われる前に動く
I 顧客に刺さらない →利益向上・労力削減・時間短縮・リスク回避の順でメリットを説明
J 商談が延期になる →事前に察するための営業、延期になっても継続アプローチ
K クロージングの価格競争 →顧客がなぜそう言っているのかを把握

感情移入力を身につける力:
@ 知識力:全体図、関連性、相違点を押さえる
A 観察力:観察が提案や話題になる
B 質問力:本音を引き出すクローズド・オープンクエスチョンの使い分け
C 想像力:顧客が望んでいることを可視化する資料作成
D 共感力:相手を尊重し、同意していることを相手に伝える
E 記憶力:覚えていることを武器にする

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