化学工学会SCE・Net作品の書評/レビュー
図解 新エネルギーのすべて 改訂3版
-
ここで言う新エネルギーとは、既知のエネルギー問題を魔法の様に解決する夢のエネルギーのことではない。自然由来のエネルギーやこれまで捨てていたエネルギーなどを指す。よく知られている太陽光や風力、バイオマスなどを利用した発電など供給サイドの新エネルギーや、燃料電池やコジェネレーションなどの需要サイドの新エネルギーが、おそらく網羅的に紹介されている。
このため、ボリューム感がすごい。図版や表、グラフ、写真などを利用して分かりやすく紹介されているが、ほどほどに専門的な内容で、真面目に読みこむにはとても時間がかかる。ひとまず一読し、必要に応じて参照する様な使い方が望ましいと思われる。
これまでエネルギーは、タンカーで原油を搬入し、集中的に発電して分配するという様な、集約的エネルギー管理方法が取られてきた。しかしこれでは、長距離輸送中のエネルギーロスも発生するし、熱エネルギーなどを有効に使いづらい。いままでは、この程度の無駄は許されてきたが、これからはこういう無駄をなくして、エネルギーの一極集中を回避しようという訳だ。
もちろん、今までのやり方をすべて否定する訳ではない。それは当然、利用しつつ、もっと効率的に出来る部分は効率的にして、いかに無駄を少なくするかの全体設計をやり直していかなければならないということなのだと思う。
本書を読み、知っているエネルギー源もあれば、今まで意識したことのなかったエネルギー源もあった。これらをそのまま普及するには、コスト面など、問題は山積しているだろう。コストを支払ってもやらなければならないことか、それはどういう配分にすべきか。将来を見据えた上での政策が必要になるだろう。
ホーム