オーギュスト・エスコフィエ作品の書評/レビュー

エスコフィエ自伝 - フランス料理の完成者 (訳:大木吉甫)

腐ったジャガイモのスープをすすり
評価:☆☆☆☆★
 フランス料理人を、キュイジニエとして、一流の職業として確立した料理人の回想録。一流の料理人といっても、有名料理店を渡り歩いたとか、テレビに出ているとか、そういう人物とは少し違う。普仏戦争に輜重部隊として徴兵されたエスコフィエは、食料が乏しくなる中、工夫をして士官を満足させ、敗戦後、捕虜となり貧しい食生活を送り、絶え間ない苦労の果てに、プティ・ムーラン・ルージュの料理長となるのである。
 彼の真価は、有名人にひいきされていたと言うことだけではない。ロンドンでは貧民救済事業に協力し、料理人の社会福祉制度の充実に尽力したことの方が評価されるべきである。どんな職業であれ、それに誇りを持ち、自分にできる限りのことをすれば、一流の人間になれるという、良い手本だと思う。

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