千秋寺亰介作品の書評/レビュー

怨霊記 (1) 四国結界篇

日本を闇から護る一族の活躍
評価:☆☆☆☆★
 四国の山奥、阿波の国には日本を霊的に守護する一族の隠れ住む里がある。結界で覆い隠され、一般の者が立ち入ることが出来ないその場所に住む一族は大忌部と呼ばれ、四国の封印から彷徨い出る怨霊を封じることをその役割としている。
 彼ら一族の先兵である四天王は、陰陽師と怨霊師の二組だ。陰陽師が怨霊を追い詰め、怨霊師が封ずる。これは陰陽五行思想による定めであり、陰陽師は男、怨霊師は女の若者が務める。今代の四天王は、阿部北麿、真名瀬舞、烏丸涼、土御門隼人がその任についている。

 明治時代末期、ハレー彗星の来訪により不穏な空気が世を漂う中、とある店で神隠し事件が発生する。宿を覆う不思議な霧を調査するため、陸軍情報局の八雲優大尉と桐生院美千子がやって来るが、原因が全く分からない。そこに大忌部の四天王が事件解決のために派遣されて来る。
 裏世界で影として生きる四天王は、表舞台に出てはならない。そしてどんなことをしても怨霊を討ち取らなければならない。そのための犠牲が世間にねぎらわれることはないのだ。

 明治時代、非常に怪しい雰囲気の中で、怨霊にむごく殺される人間、そしてその怨霊を討ち取る大忌部、さらに彼らの秘密を解き明かし軍事に利用しようとする陸軍の暗躍などが描かれる。現代では作り上げることのできない、闇と霧に隠された不思議な雰囲気が味わえます。

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