中島敦作品の書評/レビュー

山月記・李陵

どうしてもやり遂げたいことがあるのです
評価:☆☆☆☆☆
 高校の教科書に載っていた「山月記」が中島敦との初めての出会いでした。自分の理想といまある現実の間に生じる心の葛藤とやさしくも力強い描写が印象に残りました。
 それから数年たって手にしたのがこの本です。もう一つの表題作である「李陵」は匈奴との戦いで捕虜となった漢の武官である李陵と、漢を裏切った(と思い込んだ)ことに対する怒りのあまり一族皆殺しを命じる武帝を諌めた司馬遷、それぞれの葛藤を描いた物語です。
 それぞれが短編です。あっという間に読めます。ほんの少しでも興味を惹かれたなら、ご一読されてみてはいかがでしょうか。

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