柚木麻子作品の書評/レビュー

おかえり文芸部 小説すばる 2011年06月号

そこは彼女が生まれ変わる場所
評価:☆☆☆☆★
 出版社に勤務する花岡フミ子は、ある事情で一週間の休暇を取ることになった。これまで仕事に没頭してきたので、こんなぽつんとしたお休みにすることもない。そんなとき、恩師から電話をもらう。彼女がかつて所属していた文芸部の機関誌が廃止になるかもしれないというのだ。
 そして、文芸部のコーチとして部室である図書室に向かったフミ子が見たものは、パソコンでニコニコ動画のアニメを見、ライトノベルしか読まない文芸部員の姿だった。

 彼女たちの意見が会社の同僚たちの意見と重なり、フミ子はどんどん落ち込んでいってしまう。しかし彼女たちとよく話していくうちに、自分の見識の足りない部分や、物事の新しい見方に気づき、気持ちをリフレッシュさせることができたのだった。それはまるで、かつて彼女が文芸部にいたときに、様々な作品に影響を受けて自分を形成していったときの様に…。

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