三匹のおっさん ふたたび(有川浩)の書評/レビュー


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三匹のおっさん 三匹のおっさん ふたたび 未定

三匹のおっさん ふたたび

おっさんの息子たちも頑張る
評価:☆☆☆☆☆
 剣道師範のキヨこと清田清一、柔道の猛者シゲこと立花重雄、頭脳派ノリこと有村則夫という、還暦周辺のおっさん三匹が自警団を結成してご近所の平和を守る!そのおかげで知り合ったキヨの孫の清田祐希とノリの娘の有村早苗という高校生カップルも誕生した。

 詐欺商法に騙されて自分の世間知らずさを痛感したキヨの息子の清田健児の妻・貴子は、肉屋さんのパートに出てお金を稼ぐことの重みを思い知らされていた。ところがそのパート先で彼女はお嬢さま扱いでバカにされてしまい、中々なじむことが出来ない。そんなとき、彼女に声をかけて来るパート仲間がいて…。
 男やもめのノリにお見合い話がやってくる。しかしタイミングは最悪で、早苗は緑川市立商科大の受験真っ最中だ。しかし、もう子どもとは言えない年齢になっている彼女は、自分のもやもやした気持ちを抑え込んで、成績に悪影響が及んでしまう。そんな愚痴を話せるのは祐希だけだった。

 他にも、書店の万引きに関する騒動や、シゲの息子の立花康生が妻の理恵子に語る、健児との幼き日の思い出という、第二世代に関するエピソード、昨今の様々な場所でのマナーと人の悪意についてのストーリー、キヨの妻・登美子の学生時代の思い出が今に及ぼす影響など、アクションとしては控えめになっているけれども、現状に即した、身近なアレこれを取り上げている。

 同時収録は、早苗の同級生の富永潤子の小学生の頃の思い出を「植物図鑑」のスピンオフの様に仕上げた短編「好きだよと言えずに初恋は、」は、ヒメオドリコソウが主役の、子どもの世界の悪意を描いた物語だ。

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