有沢まみず作品の書評/レビュー


神のみぞ知るセカイ (2) 祈りと呪いとキセキ (原作:若木民喜)

バランスがいま一つと感じた
評価:☆☆☆★★
 今回は分量のバランスがいま一つだったのではないかと思う。第一話「呪われたゲーム」が約6割、第二話「ハクアの休日」と第三話「レイニー・ブルー・ストーリー」が約2割ずつ。しかも、最大の紙幅を取っていた第一話は、本物の悪霊が仕込まれたギャルゲーと、その悪霊を祓いに来たドジっ娘巫女お姉さんのエピソードだったのだが、桂馬が一人で呪いのゲームを攻略しつつ、並行して巫女の阿倉川紫埜とエルシィが悪霊と対峙するという展開で、肝心の桂馬と攻略対象者との間のコミュニケーションが不足しがちだったように思う。駆け魂狩りはどちらかというとおまけというか。
 第二話はいつも通りのハクアだし、ちょっと遊びに行くだけなので短くても良かったのだが、第三話は分量が少なすぎて、展開が急すぎた気がする。

 1冊で3度おいしいというのも良いかもしれないけれど、小説が持つ情報量の多さという特性を生かして、漫画ではなかなか難しい、深く掘り下げるという方向に行ってみるのも良いのではないかと思う。

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神のみぞ知るセカイ 神と悪魔と天使 (原作:若木民喜)

ひたすらポイントを積み上げていったらゴールしちゃった、みたいな感じ
評価:☆☆☆★★
 週刊少年サンデー連載作品である同名マンガの小説化作品なのですが、原作の魅力を十二分に伝えきれたかどうかには少し疑問が残りました。
 まず、なぜ攻略対象を二人にしたのかな、と。そして、同時攻略と言いながらも実はそれぞれを別々に攻略している。何より、それまで積み上げてきた感情を一気に恋愛モードに転換するクライマックスのシーンの描き方がちょっとあっさりしているのが気になる。ここは、ミステリーに例えれば謎解きのシーンであり、この部分の出来で作品が評価されるといっても過言ではないと思うのだが…。あとは、内容に触れざるを得ないので詳細は割愛するが、これって本当に攻略している?という疑問も拭い切れない。
 ノベライズは作者の原作に対する解釈が如実に出ると思うので、これが作者から見た桂木桂馬の姿なのだろう。さらに付け加えるならば、原作の初期のイメージが色濃く反映されている作品の様な気がする。

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