赤月カケヤ作品の書評/レビュー

俺が生きる意味 (6) 新世界のレゾンデートル

惑える斗和
評価:☆☆☆★★
 神悠言の神たちが元凶だと明らかになり、斗和たちは神悠言から情報を得ようと本部を訪れる。そこから始まる惨劇と、それぞれの最後、そしてやがて来る新たな世界とは?
 シリーズ最終巻。

俺が生きる意味 (5) 都心楼のディザイア

百貨店の混乱
評価:☆☆☆★★
 神悠言の少女たちに近づくために櫛灘学園に編入した斗和は、従姉の帝かりもと再会する。しかし、神悠言の巫女である天名地鎮摩響とは、なかなか協力関係を作れない。
 そして三度、とある百貨店であの壁が発現し、過去最大の化け物が現れる。久しぶりに再会した茶々猫瞬夏、武術の師匠の娘の剛力楓、ヒーローショーのヒーロー・ゲキシン、神悠言の少女、霜月らと共に巻き込まれた斗和は生き残ることが出来るのか。

 混乱の中、やがて現れる強烈な幻想生物が持つ面影と、事態を引き起こす神を名乗るシュレディンガー、ラプラス、フェルマーらの思惑の関係とは?

俺が生きる意味 (4) 水迷宮のヘリテージ

巡る世界
評価:☆☆☆★★
 殺人鬼・山田喜一郎に10回殺される前に一度でも攻撃を加えることが出来れば情報を得られるという勝負をすることになった日本斗和だったが、笠根木篤志らからは殺人犯と目されて狙われ、妹の日本一花とも合流できない。
 一方、天音川銀河は、かつて兄が殺した女性の娘が、紺野真湖だと知るのだった。

俺が生きる意味 (3) 水迷宮のデモニアック

無意味な反省
評価:☆☆☆☆★
 学校を囲んだ透明の壁と化け物による虐殺から生き残りはしたものの、自分に告白してくれた青葉萌由里や赤峰寧々音、友人の木茂部卓二を犠牲とした生還だったため、日本斗和は責任を痛感していた。生き残りの責任として、あの時あったことを証言するものの、周囲からは妄言としか取ってもらえず、犠牲者の友人である笠根木篤志らからは侮辱だと憎悪されてしまう。
 仲間内での生き残りである婦設楽操のお見舞いに行った病院で出会った、青葉萌由里に瓜二つな異能者集団、神悠言の姫巫女の天名地鎮摩響と遭遇し、その付き人からお前に出来ることは何もないと切り捨てられた日本斗和は、周囲との接触を断ちきり思いつめてしまう。

 それを見かねた中学時代からの友人である天音川銀河や、妹の日本一花、妹の友人の紺野真湖と共に、水族館で気分転換をすることにした日本斗和だったが、再びそこは透明の壁に囲われ、化け物だけでなく、一花を狙う殺人鬼まで巻き込んだ地獄と化してしまうのだった。

 次巻へと続く。またもや1、2巻と同様の展開になっているのが解せない。斗和は同じ失敗を何度も繰り返すし、教訓じみたことを思い出すものの何の役にも立たないという、残念な様を見せている。展開が遅くないか?

俺が生きる意味 (2) 放課後のリゾルト

武器を手に入れたものの悲哀
評価:☆☆☆☆★
 日本斗和が青葉萌由里と赤峰寧々音の二人から同時に告白を受けた日、彼らの通う学校は見えない壁に封じられ、校内には「ぬしゃぼっち」「ぺたぺた」「猫蜘蛛」という化け物が現れて、生徒たちを食い殺し始めた。
 最初の大虐殺からは運よく免れ、隠れ潜みながら脱出の気を伺っていた日本斗和たちを含むグループは、はぐれてしまった友人の木茂部卓二を助け出し、婦設楽操と合流させることには成功したものの、日本斗和は「ぬしゃぼっち」に殺されそうになってしまう。その時、赤峰寧々音の異能「貫き届く刃の意思」が発動し、化け物たちに一矢報いることに成功した。

 それに気を良くしたグループのリーダー格の稲葉は、自らは安全な位置にいながら、赤峰寧々音の異能を利用して人助けをしようとする。だが、普通の女子高生である赤峰寧々音には、死地に身を置くことは耐えがたい苦痛だったのだ。

 学園編は終了で、次巻から本来の主人公たちが登場してくるらしい。じゃあ、この2巻はなんだったのかと。糸が引くくらいディープなやつとか、ネクロフィリアっぽい展開も描かれたりしつつ、バッドエンドに向けてまっしぐらな感じのストーリーとなっています。

俺が生きる意味 (1) 放課後のストラグル

窮地における本性
評価:☆☆☆☆★
 ある日、高校生の日本斗和は、仲の良い女子の友人である青葉萌由里と赤峰寧々音から、それぞれ別にメールでの呼び出しを受ける。先輩の婦設楽操のアドバイスに従い、一人の呼び出しをメールで断って、選んだ一人に会いに行こうとした日本斗和だったが、そこで事件が起きる。
 突如、学校を囲う見えない壁が出現し、校内に三体の化け物が生徒たちを襲いだした。逃げる場所も無く、多くの生徒は食われ、残された数少ない生徒たちはパニックになる。日本斗和は、青葉萌由里や赤峰寧々音を救出し、婦設楽操と合流して、行方不明の友人である木茂部卓二を探しにかかる。

 学校内でのパニックものに、異能バトル要素を加える予定らしい。最も今巻は、人間が一方的にやられるだけ。奮闘むなしく脱落する者もたくさん登場する。そして次巻へと引く展開になっている。色々と説明不足なので、その辺をきちんとフォローして欲しい。

キミとは致命的なズレがある

キミとは誰か?
評価:☆☆☆☆★
 海里克也には10歳以前の記憶がない。だから今の養父に引き取られた経緯も知らない。だが最近、何故か気を失うことが多くなってきた。そしてそのときには少女の夢を見る。自分が彼女の首に手をかけて締めている夢を。

 山美鳥、雨笠良平と普通の高校生活を送っているつもりだった克也だが、どうも彼には何か秘密があるらしい。養護教諭の鏡司は妙に気にかけて来るし、副担任の犬飼真澄美は彼を恐怖している。その違和感は、幼なじみの宮崎ひなたと話しているときにも消えなかった。
 そんなとき、彼のもとに不思議な手紙が届く。誰もいないはずなのに、気づいたら手紙が置かれているのだ。

 入りは青春ラブコメものっぽく、抜きは猟奇殺人ものになる不思議なお話。アインズヴァッハの門というのが後半のキーワードだ。

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