明坂つづり作品の書評/レビュー

女子高生店長のコンビニは楽しくない (4)

変態女装バイトの末路
評価:☆☆☆★★
 女子高生店長の支倉こももが店長を務めるコンビニのチョコマートが、姉でありオーナーの支倉のじぎくの意向で閉店することになった。それを阻止するため、戸波りんなを名乗って女装する男子高校生の南里湊人は、バイト仲間の並河早梨や八木悠雅と協力し、赤字解消のための奇策に打って出る。
 しかし奇策は奇策。しかも公序良俗を乱すたぐいであることが南里潤子の乱入で世界中に示されてしまい、本部社員の曽我部の指示で中止に追い込まれてしまう。だが、それで諦める変態女装バイトではなかった。

 シリーズ最終巻。変態女装バイトにハッピーエンドが訪れるなんて、納得がいかないぞ。

女子高生店長のコンビニは楽しくない (3)

自称ロボットの過去
評価:☆☆☆★★
 コンビニのチョコマートにやってくるいたずらっ子のしょーたに困り果てた女子高生店長の支倉こももと、戸波りんなを名乗って女装する男子高校生の南里湊人は、なぜかしょーたをコンビニで預かることになってしまった。
 暴走するいたずらっ子ぶりに、曽我部さんだけでなく、並河早梨も預かるをのやめた方が良いと思いだすのだが、しゃべらないガッちゃんが強烈に自己主張して、しょーたの面倒をみることになる。その理由とは?

 姉の南里潤子と支倉こももが鉢合わせ事件とか、ガッちゃんの本名が八木悠雅と判明したりする第3巻。意外にこももはちょろいかもしれません。

女子高生店長のコンビニは楽しくない (2)

変態がいます、逮捕してください
評価:☆☆☆☆★
 憧れの支倉こももとお話がしたい南里湊人は、女顔であることを生かして戸波りんなという女子になりきり、こももが店長を務めるコンビニのチョコマートにアルバイトとして入店した。はじめは違和感ありありだったけれど、最近では自分専用のブラジャーも手に入れ、仕草も女子っぽく成ってきた。それはニートの姉の南里潤子も認めるところ。
 しかし基本は雄なので、女の園にいれば前屈みになってしまうこともしばしば。その平穏は、バイト仲間の自称ロボットである八木ガンダムが彼の正体を他の仲間に教えていないからこそ護られている。

 そんなバイト仲間の一人であるフリーターの並河早梨が今回の主役。二十歳を過ぎて、社会人としても、女としても、死に筋に入ってしまうのではないかと恐れを感じ始めた彼女の前に、ストーカー気質の三十代男の壬生が現れ、付き合って欲しいと言ってくる。
 だが、壬生は戸波りんなと会った途端に鞍替え。絶望した並河早梨は、本部社員の曽我部に申し出て、サブマネージャーを目指すと宣言する。しかし、そんな彼女を様々なトラブルが襲う。

 店長こももはどうしたんだっけ?と言いたくなる展開。タイトルとは無縁の方向に突き進んでいるような気がしなくもない。しかしそれはラストに向けての地ならしで、次巻で巻き起こるであろう阿鼻叫喚の修羅場が描きたいのかも知れない。

女子高生店長のコンビニは楽しくない

空気なのに度胸ある
評価:☆☆☆☆★
 南里湊人は空気の様な存在のまま、転校しようとしていた。おざなりにもらった色紙には空白が目立ち、密かに憧れる支倉こももからのメッセージもない。このまま転校するのは嫌だ!そう思った湊人は、こももがチョコマートというコンビニで働いていることを知る。
 引っ越しまであと一カ月。それまでの間でも思い出を作りたい。そう思った湊人は、そのコンビニのアルバイトに応募する。ただし、女装で。なぜなら女性店員しか募集していなかったから。そしてこももは、単なるアルバイトではなく、その店の店長だった。

 戸波りんなという偽名でバイトをすることになった湊人は、ヤンキーっぽいやる気のないバイト・並河早梨から仕事を教われず、常に立っているだけのロボっぽいバイト・八木ガンダムには敵視され、常連の秦野夕凪には妙に懐かれ、本来の目的であるこももと仲良くする暇がない。
 そんなこももは、本部社員の曽我部から店長としてダメだしをくらい、新商品を大量に売らなければならなくなった。バイトが初めての、しかも女装少年のりんなに何が出来るのか?

 ほとんど女子高生で経営するという謎のコンビニに女装少年。全てが謎である。そもそも、いちおう回転出来ているだけですごい。だって店長は女子高生と兼業ですよ。いつ寝てるんだろう?
 そういうリアルなツッコミはまるっと無視して、ゆるく経営されるコンビニでの日常系のコメディと、気弱で空気の様なのに女装まで出来る少年の異常さがミックスされた、奇妙な空気が漂うラブコメ。ただしラブコメの主人公の特徴である鈍感さは、こももに発揮されるのが構図的に珍しいかもしれない。

赤鬼はもう泣かない

ちょっと違う中学生の集う学校
評価:☆☆☆☆★
 中学生の西遺大豪はクラスメイトの女子の腕を衝動的に舐めてしまった結果、山奥の学校へ転校させられることになった。その村で彼はなぜか、垢嘗と呼ばれてしまう。
 そして、となりの席になった喪庭ここめは、いきなり彼に指先を出すことを要求し、血を吸い出す。クラスメイトの屍合没子は幸せな人を呪うし、欺波健司は水をかぶる。誰もが少し、いや、かなり変だ。
 やがて彼は、この村に隠された秘密、そして、ここめの秘密を知ることになる。

 半妖が集められた学校、彼らが住む村、そしてそれを囲む人間。極めてシリアスな環境ではあるはずなのだが、当の本人が自分を変態なだけの人間だと思いこんでいるので、なぜかコメディタッチになるという不思議がある。
 しかしそうすると逆に、何が描きたかったのかもよく分からない気がしてくる。単に昔話を現代版にしたかったのか、あるいは他に何か理由があるのか。ボクの理解力では中途半端な感が否めない。ホラーでもスリラーでも遠野物語でも水木しげるでもないし、ラブコメでも学園ものでも日常ものでもないというか。

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