安藤白悧作品の書評/レビュー

瓶詰魔法少女地獄

腐った主人公
評価:☆☆☆★★
 伝統ある魔女の長南雨衣佳と、最強魔法少女の皇ほのかの戦いを治め、魔女と悪魔のハーフである三田村黒犬は、ヒロインたちから言い寄られても気づかない、努力をしないのに特別な、腐った主人公のような日常を生きていた。

 読みかけのまま、大量の本の中に紛れ込み、行方不明になってしまったため、続きが書けません。捜索は雪解けを待ってからということで。

魔法少女地獄

魔法少女を駆逐する
評価:☆☆★★★
 40年ほど前から世界に魔法少女が確認され初め、20年ほど前からそれはインフレを起こし始めた。現在、世界に魔法少女は二千人以上。彼女たちには必ず敵対する悪がいる。10年ほど前から、そんな戦いはなぜか、高校に入学したばかりの三田村黒犬の周囲で起きるようになった。彼が悪に襲われ、それを魔法少女が助けるというイベントが、日に何回か起きるのだ。
 そんな生活に慣れ、一方で助けられるだけの「ヒロイン」になることに屈辱を感じ始めた黒犬だったが、その気持ちは幼馴染の皇ほのかやクラスメイトには理解してもらえない。そんなとき出会った先輩の長南雨衣佳は、自分が由緒ある魔女だと名乗った。

 魔法以外の要素を前面に押し出してキャラ付けし、魔法を塚ってばとるすることしか知らない魔法少女が席巻し、魔女の存在が薄くなってしまっている現状を嘆く長南雨衣佳は、常勝無敗の魔法少女をボコることで魔女の存在を喧伝し、魔法少女を名乗る少女たちを撲滅しようと決意、三田村黒犬にも協力を求めてくるのだった。

 第1回講談社ラノベチャレンジカップ大賞受賞作品。魔法少女とは日常の中の非日常を生きる存在であり、その中でもトップランクの20人はなぜか三田村黒犬のクラスメイトだという設定になっているらしいのだが、その肝心の日常を描く場面がほとんどなく、20人以上名前が登場する魔法少女は、ただの「名前」でしかなくなっているところが物足りない。むしろ、魔女である先輩の方が、魔法少女よろしく主人公と日常を満喫しているではないか。
 その倒錯が作者の意図なのかも知れないが、全体的に、読者を置き去りにしてネタを展開し自分だけが納得するような文章を書いて満足している様なところが散見される書き方と感じられるため、作者の意図を十分に伝える努力がなされておらず、その辺りは全く伝わってこない。

 あくまで魔法少女が日常の中の非日常の存在であると定義するならば、彼女たちの日常の姿を描き、そんな普通の女子高生が後で魔法少女として登場して戦い、自分自身はそれを秘密にしているつもりでも主人公にはばれているという状況を、きちんと物語として表現する構成が必要だったのではないだろうか。現在はただその設定を言葉で説明しているに過ぎず、十分に物語とは言えないと思う。

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