浅倉イネ作品の書評/レビュー

銀糸の魔法式 (2) 白き狼と黒猫

もう一人の居候
評価:☆☆☆★★
 航空機事故で行方不明となった祖母の秋月志女乃を慕いやって来た、フランスの魔法使いの実習生にして吸符鬼(アスピワール)のクレア・オーディンヒールの保護者となった秋月孝平は、クラスメイトの農家の浅間裕也や、親戚の女子大生の住吉奈々のサポートを受けつつ、日々を過ごしていた。
 そんなとき、再び祖母をしたってイギリスの魔女ホルマ・シャムロックがやって来て居候を始める。そして時を同じくして、彼の命を狙うジェラルド・ガードナーという魔法使いが現れるのだった。

銀糸の魔法式 (1) 魔法使いの実習生

心理描写をはしょりすぎ
評価:☆☆☆★★
 祖母の秋月志女乃が暮していたアパートの一室で、クラスメイトの農家の浅間裕也や、親戚の女子大生の住吉奈々と交流しながら高校生活を送る秋月孝平のもとを、フランスからやって来た銀髪の小柄な少女クレア・オーディンヒールが訪ねてくる。
 クレアは孝平の祖母のシメノを訪ねてきた、魔法使いの実習生だという。彼女曰く、孝平の祖母も魔法使いで、しかも現代では並ぶもののない、伝説級の第一次構成式を扱う魔法使いらしい。

 何か浮き世離れしている祖母だとは思っていたものの、魔法使いだったなどということが初耳な孝平は驚くが、確認すべき祖母の乗っていた飛行機は極寒の海に落ち、その消息は不明となっている。そのことを初めて知ったクレアは、孝平に責任を取るべきだと迫り、彼の管理するアパートの一室に転がり込む野だった。

 そんな彼らの住む街に、魔法使いによる民間人傷害事件が発生する。その調査にやって来たという魔法連盟のアーサー・フラメルは、クレアが吸符鬼(アスピワール)という、魔導書を吸収できる特殊な血筋であり、おかげで周囲から浮いて生きてきたことを暴露するのだった。

 第1回講談社ラノベチャレンジカップ佳作受賞作「魔法使いの実習生」を改題。孝平とクレアが仲良くなる過程に説得力が足りず、中盤、二人が疎遠になるところに唐突感が目立ち、終盤のバトルシーンでは戦闘描写が伝わらず自己満足レベルにとどまっている印象を受けた。
 応募作だから仕方の無いのだろうが、心理描写をはしょりすぎだ。

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