亜空雉虎作品の書評/レビュー

双星の捜査線 ―さよならはバーボンで―

正義の衝突
評価:☆☆☆★★
 トバ火山破局噴火に端を発する第三次世界大戦は、レナード・マンスフィールドの提唱した新合理主義と、ロズヴィータ・アイヒホルンの開発した侵襲式表徴意思疎通脳細胞ネットワーク(翻訳ユニット)のおかげで、世界政府の樹立という形で集結した。
 その結果誕生した地球国家創設記念都市(アニバーサリー・アース)警察の署長であるバークマンは、自身が創設した特殊犯罪捜査班(C.S.C)のメンバーを殺害した連続殺人犯ハリーロイドの捜索のため、個人的につながりのある新人のシンゴ・サトウ巡査を呼び出す。彼の相棒として紹介されたのは、12歳の少女マリィ・ボイルドだった。

 しかし彼女はただの少女ではない。侵襲式人工脳細胞ネットワーク(ユニット)を19個も装備した、研究所の所有するユニット治験大賞である検体であり、その能力は折り紙付きだ。舌足らずのしゃべり方と、ハードボイルドを気取るファッション及び言動に振り回されながらも、シンゴは次第に彼女の実力を痛感していく。
 そして、マリィの生みの親であるイライアス・エリオットらから情報を収集し、ついに、ハリーロイドの潜伏先を知るという賞金稼ぎの少女エルノア・ハーキュリーに辿り着く。だがそれは、真の事件の幕開けに過ぎなかったのだ。

 第19回電撃小説大賞最終選考作品だ。設定上、マリィが人工的な感じがするのは仕方がないのだが、やはりちぐはぐに感じる言動が柱になっていると、素直に読みづらい部分もある。ヒロインポジションなのに、ヒロインになりにくいということもあるかも知れない。
 でも、デレてからのエルノアは良いキャラをしている。

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