亜紀坂圭春作品の書評/レビュー

思春期ボーイズ×ガールズ戦争

思春期の気持ちは止められない
評価:☆☆☆★★
 男子制限法は日本を女子優位の世界に作り変えてしまった。男は男性専用列車にしか乗れないし、エロい内容の本は発禁。恋愛は女子からしか始めることはできない。
 そんな世界でも思春期の爆発的な好奇心は抑えきれない。中学で覗き問題を起こした菊間リュウジ、比嘉マサミチ、飯沼ジュンは、エロさを満たす活動に高校でも邁進する。そんな活動は、中学からの知り合いである門倉リツカには許容されるものの、同じく仲崎ミイナからは鉄拳制裁を受け、浦橋ナオからは冷たい目で拒絶される。

 だが、藤次タツナリ、有沢カズマという尊敬すべき先輩と知り合い、副会長の堀トオルを密かな後ろ盾として得ることができ、三人の野望は少しずつ形になり始めていた。それをこっそりと後押しする教師の御厨レイと、厳しく戒める担任の柏葉チヒロという大人を知りつつ、一方で新聞部の園村と会長の都築ミチルの策略にはめられていく。

 第20回電撃小説大賞銀賞受賞作品。赤城大空「下ネタという概念が存在しない退屈な世界(ガガガ文庫)」の後追い感は否めない。だがそれよりはかなり青春物っぽいテイストを強くしているので爽やか感もある。

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