和泉弐式作品の書評/レビュー

 和泉弐式さんの作品の書評/レビューを掲載しています。

セブンサーガ ~七つの大罪 赤き竜は憤怒に燃えて~

評価:☆☆☆☆★


VS!! (3) ―アルスマグナの戦闘員―

戦闘員の意地
評価:☆☆☆☆★
 悪の組織「アルスマグナ」プロフェッサー・ヘルメスら主流派の戦闘員廃止論に対抗するため、ドクター・パラケルススの生み出した怪人レヴィアタンと隊長ちゃん以下隊員は、ニーイチこと戦闘員21号をあえて正義の味方「英雄機関」に捕らえさせ、情報収集を行うことにした。
 ジジこと戦闘員22号が不安げに帰りを待つ中、ニーイチは敵の本拠地でテスラ・フラメルという研究者と出会う。彼は、緋崎秀一、姫宮桜、草薙隼人、草薙青葉、黄瀬大地ら英雄が使う鎧の開発者だった。

 シリーズ最終巻。もう少し深く追求しても良いネタもあったような気はするが、基本的には全部フォローし終わったという感覚なのだろう。前巻の続きの後始末という感じなので、前巻の方にピークがあった気がしなくもない。その意味では、こちらでももう少し盛り上げ要素が欲しかった。
 ラストのロクロクの扱われ方が憐れなような気も…。

VS!! (2) ―史上最悪の怪人―

悪の組織の派閥争い
評価:☆☆☆☆☆
 戦闘員はいらない。悪の組織「アルスマグナ」プロフェッサー・ヘルメスを中心とする主流派により廃止されそうになった81人の戦闘員だったが、ドクター・パラケルススの生み出した最強怪人ジャバウォックと隊長以下多くの戦闘員の犠牲を払いながらも、正義の味方「英雄機関」の5人の英雄たち、緋崎秀一、姫宮桜、草薙隼人、草薙青葉、黄瀬大地に一泡吹かせ、戦闘員制度は存続されたはずだった。
 しかし、プロフェッサー・ヘルメスがドクター・パラケルススを失墜させるために再び戦闘員不要論を持ち出し、彼らは新たに生み出された怪人レヴィアタンと戦闘員だけで、英雄機関と戦わなければならなくなった。

 正義の味方たちと正面からぶつかり、経験値を高めたニーイチこと戦闘員21号とジジこと戦闘員22号は、怪人を作戦に組み込み、正面から正義の味方とぶつからない、弱者の戦術によって勝利をつかみ取ろうと主張する。
 だが、ジャバウォックに見た目はそっくりなレヴィアタンは、戦闘員など不要と言い出すのだった。

 新たに一号として生まれた見た目ロリな隊長ちゃんや、ニーイチとジジを黒野双一と黒野鈴をいう兄妹だと思っている草薙青葉が、双一と姫宮桜のデートを仕組み、それを知ったジジが嫉妬をするなど、ラブコメめいた要素も取り込みつつ、下っ端戦闘員の意地を見せちゃいます。
 明らかに次巻に続いているので、一巻とは異なる下っ端の意地の見せ方にどう決着をつけるのか楽しみだ。

VS!!―正義の味方を倒すには

戦わない理由を見つけるな!
評価:☆☆☆☆★
 空から降ってくるアカシックレコードの断片であるレコードスフィアを奪い、その知識を利用するため、悪の組織「アルスマグナ」は怪人と81人の戦闘員を繰り出す。それを阻止しようとするのは、正義の味方「英雄機関」の5人の英雄たち、緋崎秀一、姫宮桜、草薙隼人、草薙青葉、黄瀬大地だ。アカシックレコードから引き出された知識をもとに作られた鎧をまとい、悪の怪人たちをなぎ倒す。
 だがこの物語の主役は、そんな悪の怪人たち…でもなく、彼らの取り巻きである下っ端戦闘員だ。正義の味方に木っ端みじんにされる怪人の足元にも及ばない実力しか持たない戦闘員であっても、戦うために生み出されたホムンクルスである以上、正義と戦うことに誇りを持っている。

 しかし、ニーイチこと戦闘員21号は、正義の味方と戦っても無駄死にするだけ、生き残ることが戦闘員の勝利と言って憚らない異端児だ。そんな命がけは、特別な力を与えられた怪人がやれば良いこと。
 ところが、新たに生み出された期待の怪人ジャバウォックが思ってもみない行動をとり、相棒のジジこと戦闘員22号と共に、ニーイチは彼女に振り回され、一方でそれまで知らなかった感情を知ることになる。

 勝てないからと言って戦わない理由にはならない。俺たちの戦いはこれからだ、な物語。今後の作戦立案時には、長距離狙撃も選択肢に入れた方が良いと思います。

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