樹のえる作品の書評/レビュー

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パントロジスト 下 三枝ジョーの終わりなき探求

脳の役割
評価:☆☆☆☆★
 パントロジストを名乗る怪しい叔父の三枝ジョーと暮らすことにしたなつみは、ジョーと同居する美少女のソフィーと仲良くなり、叔父のことも大好きになっていく。
 そんなある日、ジョーが受けた依頼に関わる脅迫電話を受けたソフィーは、かつて彼女が如月教授のもとから攫われた際に聞いた言葉、"For the scientific revolution"を思い出す。それをきっかけとして、ジョーが関係する依頼には、科学革命という言葉に関する何かがまとわりつくようになるのだった。

 前巻の前ふりを受けて、ようやく本題に入っていく。ジョーの恩師である如月教授とソフィーにまつわる謎は、世界中を巻き込んだ巨大な陰謀の様相を呈してきて、それにジョーも深くかかわっていることが明らかになっていくのだ。
 印象的なセリフは、ジョーに関するある事実をなつみが知った時のものなのだが、あえてこれを言わせているところに、思い入れの深い何かがあるのかと勘繰ってしまった。

パントロジスト 上 -三枝ジョーの不思議事件ファイル-

心が生み出す事件
評価:☆☆☆☆★
 中学生のなつみは、母親が父親の単身赴任先に急遽行かなければならなくなったため、まだ二十代の叔父の三枝ジョーに預けられることになった。6年ぶりで会う叔父は、ソフィーという栗色の髪の美少女と暮らし、超常現象・心霊現象相談を扱うパントロジストを名乗る怪しい存在になっていた。
 はたしてこの叔父のもとで暮らすのが正解か、あるいは。そう考えたなつみは、パントロジストの仕事場に付き添い、その正体を見極めてから判断することにした。

 よろず相談を受けるジョーは、相手がエイリアンがいる、幽霊がいると言えば、とにかくまずは信じる。そしてその前提で調査を行い、そこに隠されている真実を明らかにしていくのだ。
 そして一緒に暮らすソフィーは、ジョーとしか話をしない、深窓の美少女。だがものおじしないなつみは、そんなソフィーにも体当たりで接し、徐々に心を通わせていく。

 心理学をネタ元にしたミステリー風味の作品となっている。語り部たる中学生と文体との間に微妙な違和感を感じて、個人的には気持ちが悪く感じるところもある。なぜか本題に入る前に上巻が終わってしまったので、そこもすっきりしないところ。いきなり上下巻はやりすぎじゃないかな?

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