伊都工平作品の書評/レビュー

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犯人は夜須礼ありす

陰謀渦巻く学園
評価:☆☆☆☆★
 悠木葦人は、委員会仲間の石灰貴子を殺害した容疑をかけられている夜須礼ありすを自宅に匿う。彼女からあることを教えて欲しかったからだ。それは、人を殺すには何が必要かということ。
 悠木葦人が持っている特殊性の結果として、夜須礼ありすから望むものを手に入れることは出来ないと分かったのだが、彼女が自らの潔白を証明するのではなく、自分が犯人である印象を強化しようとしているのを観察し、彼女に協力することにする。

 これは京宮製薬グループが支配する、六道辻で発生した事件。山咲片理や三宅錯の協力から明らかになっていく真実は、京宮家の後継者争いへと繋がっていく。そしてそこには、悠木葦人が保護する久遠颯真の運命も関わって来るのだった。

 GA文庫か、ガガガ文庫、あるいはスーパーダッシュ文庫あたりで出版した方が良かったのではないかと思われる内容だ。サイコでオカルティックで暴力的な感じ。MF文庫Jの対極に近い。
 内容的には、あからさまに殺人犯だと思われている人物が、事実を辿っていくとそうではなく、全く異なる事件の様相が見えて来るという構成に、色々と血脈的な宿痾を持っている高校生たちが絡んでくるという話だ。

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