上栖綴人作品の書評/レビュー

新妹魔王の契約者 VIII

種明かしの時間
評価:☆☆☆★★
 魔界から帰ってきた東城刃更だったが、ゼストも住むことになり、家が手狭になってしまう。そこで提案されたのが、6LDK+巨大なバスルーム付の賃貸物件を探すことだった。
 そして地上で待っていた長谷川から温泉宿に誘われた東城刃更は、そこで彼女を屈服させながら、彼の二人の母親であるサフィアとラファエリーネの話を聞かされる。

新妹魔王の契約者 VII

お姉ちゃん最強
評価:☆☆☆★★
 穏健派と現魔王レオハルトの決着は、代表者による決闘でつけることに決まった。しかしそこに、ベルフェゴールを筆頭とする枢機院が横槍を入れてくる。

新妹魔王の契約者 VI

エロ短編集
評価:☆☆☆★★
 澪と柚希のスクール水着新調、万理亜のバナナプレイ、胡桃とゼストのごっくん、すっかり開花した長谷川とのプレイを収録。

新妹魔王の契約者 V

ゼストとの再会
評価:☆☆☆★★
 夏休みに入り、穏健派のラムサスに招待を受けていた澪たちは、魔界を訪れることになる。ところが、ゼストとは再会できたものの、ラムサスの副官であるルキアの態度は冷たく、物置の様な部屋に通されてしまう。

新妹魔王の契約者 IV

年上に甘えたい
評価:☆☆☆★★
 高位魔族ゾルギアを退け、前魔王ウィルベルトの一人娘の成瀬澪とお付きのサキュバス成瀬万理亜を守り通すことに成功した東城刃更は、勇者の一族のひとりであり幼馴染の野中柚希とその妹とまでも同居する生活を送っていた。
 一方で、普通の高校生として体育祭を楽しみたい東城刃更は、成瀬澪や野中柚希と共に、実行委員に立候補する。しかしその結果、二人のファンが実行委員に殺到する事態になってしまい、生徒会役員の橘七緒らを困惑させることになってしまうのだった。

 養護教諭の長谷川千里に支えられながら悩みを軽くしていく東城刃更だったが、担任の坂崎守に長谷川千里には怪しいところがあると警告され、疑心暗鬼に陥ってしまう。
 その頃、父親の東城迅は魔界で魔王と相まみえていた。

新妹魔王の契約者 III

幼女の覚悟
評価:☆☆☆☆★
 父親の東城迅から預けられた前魔王ウィルベルトの一人娘の成瀬澪とお付きのサキュバス成瀬万理亜と主従契約を結び、そんな彼女たちを倒しに来た勇者の一族のひとりであり幼馴染の野中柚希を身内に取り込んで、東城刃更は美少女二人と幼女一人と共に、ひとつ屋根の下で暮らすことになった。
 本人のたっての望みにより、野中柚希ともサキュバスの魔力を利用した主従契約を結び、今日も今日とて東城刃更は成瀬澪の乳や野中柚希の尻をもみしだき屈服させている。

 ところが、高位魔族ゾルギアの腹心ゼストが女子生徒と澪の嫉妬心を利用した罠を仕掛けて来て、澪はゾルギアの魔手に落ちてしまう。速やかに救いださなければ、澪はゾルギアに凌辱され、呪いの影響で快楽死してしまうかもしれない。刃更は滝川八尋に通じ、ゾルギアの情報を得ようとするのだが、そこで得られたのは、万理亜がゾルギアに内通しているという事実だった。

はぐれ勇者の鬼畜美学 XI

絶頂の瞬間
評価:☆☆☆☆★
 超高次生命体の凰沢美兎を手にしコクーンに反旗を翻した氷神京也を凰沢暁月が打ち倒してから二年が過ぎた。コクーンから独立した元JPNバベルは、凰沢暁月を総帥とする新組織NOAHとして立ち上げの時を迎える。
 候補生としてNOAHへと入ったイリア・レイノルズは、第一副総帥の凰沢美兎、第二副総帥のリスティ・シェルフィード、第三副総帥の桐元葛葉、第四副総帥の五泉千影、第五副総帥の七瀬遥が、総帥室で凰沢暁月に下されている罰の現場を目撃してしまう。

 コクーンNo.2レティア・クライシスとの非公式会合の場に立会人として呼ばれた「朱の黄昏」団長セシル・エンドハートは、二年の間に凰沢暁月がどのように成長したのかを確かめるのに期待を高めるのだった。

 後輩いじられキャラの加入、新たな敵OZの登場と、地球上での戦いは新局面を迎えていく。

新妹魔王の契約者 II

幼馴染の葛藤
評価:☆☆☆☆★
 元勇者の一族であり里を放逐された高校生の東城刃更は、父親の東城迅が連れてきた前魔王ウィルベルトの一人娘の成瀬澪とお付きのサキュバス成瀬万理亜を家族として守ることを決意した。勇者の一族であり幼馴染の野中柚希や現魔王派の監視者にして穏健派の二重スパイである魔族の滝川八尋らが監視する中、それから半年が過ぎた。
 野中柚希が東城刃更を買い物デートに誘い、それを成瀬澪らが尾行するというイベントの最中、事件は発生する。勇者の一族が成瀬澪に対する対応を消滅に切り替え、柚希の妹である野中胡桃や早瀬高志を刺客として派遣してきたのだ。一方、魔族の方も、澪の義父母を殺した高位魔族ゾルギアの腹心ゼストが新たに派遣されてくる。

 まあなんというか今回もエロいです。呪いの悪辣な利用法としてNTR系の使い方も紹介され、澪の運命はかなり危ない感じになっています。

はぐれ勇者の鬼畜美学 (10)

美兎、覚醒!
評価:☆☆☆☆☆
 超高次生命体として覚醒させた凰沢美兎を手中に収め、コクーンに反旗を翻した氷神京也は、凰沢暁月の手によって倒されたものの、二人が暴露した世界の秘密は、確実に新国連による統治に揺らぎをもたらしていた。
 「朱の黄昏」団長セシル・エンドハートが海堂元春やティアナ・ランドハウゼンに命じて手に入れようとした「フェニックス細胞」を密かに研究していた日本政府は、新国連とコクーンにより国家解体され、氷神京也というコクーンをなくしたJPNバベルは、凰沢美兎が展開した概念結界により敵意を持つものが入れなくなっているため、政治的空白状態に陥っている。辛うじて、凰沢暁月に対する無形の期待と、久保田博士の人望により、都市機能が維持されていた。

 だが当然、そんな凰沢暁月に反発する勢力が生まれることも避け得ない。そして逆に、凰沢暁月に期待して流入してくる有象無象の勢力がもたらす混乱も予測される。凰沢暁月と共に暮すようになったリスティ・シェルフィード、七瀬遥、五泉千影らは今後の展開に不安を抱いていた。だが桐元葛葉の抱く不安ははそれとは少し違っていた。自分が役立たずで、かつ、一人の女として見られていないのではないかという不安だ。その不安は、凰沢暁月にある変化をもたらすことになる。
 一方、ティアナ・ランドハウゼンと共にコクーンに保護された鬼塚剣哉は、レティア・クライシスにからかわれたり、クラウディオ・ファリスに体をいじくり回されたりしながら、鬱々と日々を過ごしていた。そんなある日、ミハエル・アークウッドこと凰沢朔夜の命令で、ジュード・オルティスやクリス・テンペストと共に、彼は紛争地帯に赴くことになる。

 美兎が暁月絶対主義に覚醒し、他の女子メンバーを巻き込んでとんだ恥辱プレイを自主的に始めるようになってしまった。でもやっぱり寸止めなのは変わらない。
 コクーンが居なくなった場所で、概念結界という繭に囲われてラブコメをしつつ、フィクサー嵐ノ宮貴子とアルハゼン眼鏡銀行日本支部長の黒野亞衣という政治面の新キャラも織り込みつつ、「朱の黄昏」深鏡めめこの背景も少しだけ語られる。

新妹魔王の契約者 I

呪いのせいで兄におねだりする義妹
評価:☆☆☆☆★
 高校一年生の東城刃更は、父親の東城迅から妹の素晴らしさについて語られた。そして彼が連れてきたのが巨乳の女子高生の成瀬澪と、ゴスロリ少女の成瀬万理亜だった。迅の再婚相手の娘だというのだが、肝心の再婚相手は海外出張中で、再婚のお試し期間として、娘たちだけが一緒に暮らすことになるという。
 強気に攻めてくるものの実は初心な澪と、幼い容貌ながら小悪魔的な色気をふりまく万理亜との暮らしが一週間を過ぎたころ、突然、迅が海外出張に行くと言い出した。そして彼が出かけた途端、澪と万理亜はその正体を明らかにする。

 実は前魔王ウィルベルトの一人娘だった澪と、そのお付きのサキュバスだった万理亜は、刃更を追い出して家を乗っ取ろうとする。しかし、元勇者の一族だった刃更は、二人を返り討ちにし、逆に追い出してしまうのだった。
 刃更が迅を電話で問い詰め、澪が陥っている苦境をようやく知った頃、追い出された澪を狙って、現魔王の手下が襲いかかってくるのだった。

 刃更の幼馴染の無表情美人の野中柚希や、お調子者っぽく刃更に声をかけてくる滝川八尋というキャラクターを含めて繰り広げられる、異能バトルラブコメ。さらには、澪と刃更が間違った主従契約を結んでしまい、澪が刃更を精神的に裏切ろうとすると、呪いとして強烈な催淫効果が澪を襲うという設定も加えられている。ゆえに、お兄ちゃんと言いながら迫る義妹の構図が仕様なのだ。
 「はぐれ勇者の鬼畜美学(エステティカ)」に負けず劣らずエロい展開になるわけだが、そこにどの程度ファンタジー要素が加わってくるかは、これからの展開をまたないと分からない。作者はこのまま、エロ系路線を突き進むのかな?ライトノベルも5年くらい前とはガラッと雰囲気が変わって来たな。

はぐれ勇者の鬼畜美学 (9)

生きる欲求を取り戻させる
評価:☆☆☆☆☆
 凰沢暁月やリスティ・シェルフィード、七瀬遥、五泉千影や桐元葛葉らに迷惑をかけないため、凰沢美兎は氷神京也に下る決断をした。そして氷神京也は、高次生命体である彼女の能力を利用し、コクーンに叛旗を翻す。
 そんな凰沢美兎を奪還するために進撃を開始した凰沢暁月らだったが、彼自身はセシル・エンドハートに命じられて「フェニックス細胞」を奪いに来た朱の黄昏の海堂元春と交戦することになり、七瀬遥は死んだはずの上崎遼平や哀原美奈巳と対峙することになる。

 氷神京也のもとにたどり着いたティアナ・ランドハウゼンは、鬼塚剣哉との関係を揶揄されたことに怒り、彼に無謀な戦いを挑み始める。
 そして日本国第百八代内閣総理大臣の篠川慎哉、凰沢剛毅やミハエル・アークウッドらも、それぞれの立場でそれぞれにやりたいことをしだし、特別自治区に感傷をはじめるのだった。

 自らの意思で相手のために身を引いた凰沢美兎を如何に取り戻すか。氷神京也という強敵に力で挑むのと共に、それは凰沢暁月が最も重視しなければならないことだ。自分はいなくなった方が良い。そう思い込んでいる少女に、凰沢暁月は強力な生の欲求を喚起させる行動に出る。
 強さのインフレーションに歯止めがかからず、大概、何でもありになってきた。それと、氷神京也の概念能力には、メドローアって名前をつけた方が良いんじゃないかな?

はぐれ勇者の鬼畜美学 (8)

ハーレムの美姫を連れ戻せ!
評価:☆☆☆☆★
 生徒会長にしてコクーンの日本代表である氷神京也は、異世界の魔王の娘である凰沢美兎が高次生命体なことに気づき、自らの野望を実現するため、コクーンを裏切り、生徒会メンバーである上崎遼平や哀原美奈巳を副会長の七瀬遥の前で手にかける。命からがら、凰沢暁月の入る風呂まで逃げることが出来た遙だったが、代わりに美兎が京也に捕まったことで、打ちのめされていた。そこに、元女王のリスティ・シェルフィードが入ってくる。
 一方、朱の黄昏の現リーダーであるセシル・エンドハートは、京也の狙いは今ひとつ見切れないながら、彼が日本政府を騙して奪った「フェニックス細胞」を手に入れるため、ティアナ・ランドハウゼンと海堂元春に命じて、バベルに潜入させていた。そこには何故か、既に死んだはずのフィル・バーネットや田中がおり、ティアナにくっついてきた鬼塚剣哉を、肉体と精神の両面から苦しめる。

 そんな戦いの渦中に突っ込んでいく暁月とリスティ、五泉千影や桐元葛葉の前に立ちふさがったのは、時期尚早な介入を快く思わないセシルに差し向けられた、海堂元春だった。ついに二人が対決する!

 暁月ハーレムの構築に成功し、異世界の問題も片付けて、ようやく彼の本来の目的である、父の凰沢剛毅、兄のミハエル・アークウッドと対峙する展開になる…と思いきや、その前に彼らに仕掛けたのは、氷神京也だった。その手段として、暁月ハーレムの筆頭である美兎が利用されてしまったので、暁月は彼女を取り戻すため、京也と敵対することを選ぶ。
 しかし、準備万端、用意周到に策を練っている京也の許にたどり着くまでには、乗り越えなければならない壁は多い。そして、彼らの思惑とは別に、セシルらにも自分たちの目的を達成する狙いがあって、それは微妙に利害相反することになるわけだ。当然、敵の敵は味方というような、単純な論理には落ち着かない。

 今のところは京也の思惑がバッチリとはまっているようだが、飼い犬に手をかまれたコクーンがどう出てくるかも含めて、次巻も派手なバトルが続くことだろう。

はぐれ勇者の鬼畜美学 (7)

つながる絆、割かれる絆
評価:☆☆☆☆☆
 リスティ・シェルフィードとの信頼を築くことに成功した凰沢美兎は、彼女をこの世界に馴染ませるため、五泉千影や桐元葛葉、副会長の七瀬遥を自宅に呼んで、パジャマ・パーティを開いていた。盛り上がって夜も更けた頃、彼女たちは肝試しをすることにする。
 といっても相手は幽霊ではない。眠っている凰沢暁月の部屋に行って、百数えて帰ってくるという肝試しだ。その時に危機にさらされるのは、彼女たちの貞操!順番で一番になった五泉千影は彼の許へと赴くのだが、展開はある意味で意外な、しかし予想通りの結末に至ることになる。

 一方、鬼塚剣哉は自宅に居候する少女、ティアナ・ランドハウゼンに振り回されていた。大食いな彼女の要求するまま、手巻きずしを作ったり、貝のみそ汁を作ったり、ほとんどやらない自炊作業に追われることになる。だが、ある時、彼女は途端に冷たい目をして、用事があるから出かけると言い出す。
 その頃、生徒会長にしてコクーンの氷神京也は、彼の目的を叶えるための準備を整え終えようとしていた。

 今回、暁月に開花させられてしまうのは、百合の気があると思われていた五泉千影だ。暁月は彼女の本質を見抜き、未来の彼女の涙を消し去るため、彼女の心の中に踏み込むことになる。
 そうして物語は、氷神京也を大魔王とする様な展開へと向かっていく。圧倒的な実力と、用意周到な準備を整えた彼の城に、彼に敵対する勢力が踏み込んでいく。そして囚われの身となっているのは…。

 前巻の流れを受けた日常パートから、バリバリの戦闘パートへの橋渡しをするのが今巻の役目だろう。

はぐれ勇者の鬼畜美学 (6)

戦士たちの休息
評価:☆☆☆☆☆
 番外編的な要素が強い、凰沢暁月たちの日常が描かれているため、多少のアクションシーンはあるけれど、本格的な戦闘シーンはないという意味で、これまでにはないテイストの巻になっている。
 第一章ではアレイザードからやってきたリスティが、凰沢家に居場所を作るまでのエピソード。美兎とリスティが、暁月を巡って微妙に牽制し合いながら、段々と打ち解けていく様子を描いている。第二章は、退院した鬼塚剣哉が遭遇するラブコメチックなトラブルの話になっている。道端で遭遇する七瀬遥の反応は必見かも。そして第三章は、夜のお散歩に出かけた暁月が出会う、絶世の美女とのカーチェイスとなっている。

 また、それぞれのエピソードを通じて、朱の黄昏のメンバーである、凰沢剛毅、セシル・エンドハート、深鏡めめこ、ティアナ・ランドハウゼンを紹介し、次巻以降の展開に向けた伏線ともなっている。
 とりあえず、またもや暁月の自由ぶりをお楽しみください、という感じ。

はぐれ勇者の鬼畜美学 (5)

真実を隠すやさしい嘘
評価:☆☆☆☆☆
 ディスディア帝国からの挑発をかわし、魔族の国ゲイルペインを戦火から護ろうとした凰沢暁月だったが、バラム皇によるゲイルペイン奇襲により、彼らの指導者ウルムは凶刃に倒れてしまう。
 それでも暁月はまだあきらめない。ある目的を持って、ただひとり、ゲイルペインの代表としてディスディアに宣戦を布告するのだった。

 圧倒的な実力があるとはいえ、ただ一人の人間に数万の敵兵。戦争の行方は明らかであるように思えた。しかしその実力は、そんな下馬評も覆す。追い詰められたバラム皇は同盟をたてに、シェルフィード王国女王にして暁月の盟友だったリスティたちを、戦場に引きずり出す。
 そしてついに、かつての友同士が同じ戦場に敵として立つことになる。それでも戦闘を有利に進める暁月の前に現れたのは、ウルムを切った鎧の騎士。その正体は、彼らも知る意外な人物だった。

 隠されていた事実が数々と明らかになり、また新たな世界が読者の目の前に広がる。

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はぐれ勇者の鬼畜美学 (4)

覚悟を上回る欲望の悪意
評価:☆☆☆☆☆
 アレイザードのディスディア帝国から送られてきた刺客を倒したものの、五泉千影や桐元葛葉にはミュウの正体を知られることになってしまった。それでも彼女を凰沢美兎と認めてくれた委員長たちを引き連れ、凰沢暁月はアレイザードへの帰還を果たす。それにはなぜか七瀬遥と海堂元春もついて来ることになってしまうのだが。
 そうして訪れたアレイザードでは、ディスディア帝国の主導により、平和的な魔族が隠れ住む都市を包囲殲滅するための準備が着々と進んでいた。自らが作り出した平和を守るため、魔族の立場に立って、かつての仲間であるリスティたちと対立することを、暁月は選ぶ。

 外交交渉により万難を排し、少しずつ和平が現実となる道筋が見えてきたと思ったのも束の間、戦争を望む人々によって、再び戦乱の引き金が引かれるのだった。

 ついに舞台は異世界へと移る。これまで自身の復讐劇に振り回されていた暁月は、いったんそれを忘れて異世界の平和のために再び戦いに身を投じる。その覚悟は平和を導くのか、あるいは、それを上回る悪意が平和を乱すのか。
 次巻ではアレイザードの平和の影に隠された秘密が暴かれる!

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はぐれ勇者の鬼畜美学 (3)

アレイザードからの刺客
評価:☆☆☆☆★
 異世界アレイザードから魔王の娘ミュウを追ってこの世界に帰還した新勇者フィル・バーネットは、JPNバベルに潜入し、ランキング戦中の凰沢美兎とチームメイトの五泉千影や桐元葛葉を襲う。それに気づいた凰沢暁月は、生徒会メンバーの七瀬遥・上崎遼平・哀原美奈巳との戦闘を中止し、美兎たちの救助に向かう。
 圧倒的な実力を持つフィルにより追い詰められる美兎は、彼から強烈な事実を突きつけられ、全ての希望を失いかける。果たして、暁月は美兎を暗闇から救い出すことが出来るのか?そして、フィルの実力に隠された秘密とは?アレイザードとこの世界の思惑が交錯し、新たな物語が紡ぎだされる!

 今回はこちらの世界で強力な敵を相手に大規模戦闘が繰り広げられます。それはまさにRPGのボスとの戦いのようだ。COCON(コクーン)の目的や、朱の黄昏の動向が明らかになり始めると同時に、アレイザードでも新たな展開が起こり始める。
 問答無用の敵に対して、前巻まではザコキャラ扱いだった鬼塚剣哉が格好よい行動に出たり、敵対していた人たちが協力関係になったり、暁月を取り巻く人物たちにも今回は活躍の場が与えられている。
 二つの世界の運命は再び交じり合い、暁月もその中に組み込まれつつあるようだ。

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はぐれ勇者の鬼畜美学 (2)

日常生活とようやく始まる勝負
評価:☆☆☆☆★
 友人もできてこちらの生活にも少しずつ慣れ始めたミュウは、暁月に感謝の念を抱きながらも、彼が抱える秘密にもどかしい想いを感じていた。その暁月の前には、自称おちこぼれAクラスの海堂が現れ、彼をとある場所に導く。
 同じ頃、暁月が救った世界であるアレイザードからは、魔王の娘を生け捕りにするために、新勇者という名の刺客が放たれようとしていた。

 最終目標である世界トップの実力者に至る道には数多くの障害物が立ちふさがる。そしてついに、これまで度々対立し、身近な強敵でもある生徒会メンバーとの公式戦の舞台が用意されるのだが、そこに不確定要素の乱入が入ってくる。戦いの結末は如何に、というところで次巻に続く。
 前巻からもったいつけて引っ張った対決だけれど、何か消化不良な感じ。日常エピソードは面白いと思うけれど、戦闘パートはもう少し展開を早くして欲しい気がする。

 こちら側の世界の事情もよくわからないのだけれど、やっぱり向こう側の世界のエピソードの方が面白そうな感じがするんだよなあ。

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はぐれ勇者の鬼畜美学

勇者の事後談
評価:☆☆☆★★
 異世界アレイザードで勇者となり、元の世界に帰還した鳳沢暁月には、魔王を倒した彼をもってしても困難な、やらなければならないことがあった。それをなすために、アレイザードから伴った魔王の娘ミュウと共に、異世界からの帰還者が入学を義務づけられるBABELに入る。ひとまず狙うははトップ、生徒会長氷神京也だ。
 アレイザードにいたころと同じように、はぐれものを任じて自らのしたいように行動する暁月には敵も多い。そしてそれはトラブルを引き寄せ、真の敵へ至る道となるのだ。

 偽悪的な主人公が世界を牛耳る肉親を止めるために戦いに挑む、というバックボーンを持つ学園バトルものという感じになっている。ノリは軽い。
 難しいっぽい用語を使おうとして変な感じになっているのはご愛敬として、続巻が決まっていないのに、全く完結した雰囲気がないまま終わらせるのはどうなんだろう。

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