宇野朴人作品の書評/レビュー

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン XII

評価:☆☆☆☆★


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン XI

評価:☆☆☆☆★


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン X

評価:☆☆☆☆★


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン IX

評価:☆☆☆☆★


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン VIII

あれから二年
評価:☆☆☆☆★
 ヤトリが散ってから二年が過ぎ、騎士団は新たな形を取り始めていた。第二十八代皇帝に即位したシャミーユは、反対勢力を強権で粉砕しつつ、その統治基盤を整えようとしている。その先兵となって働くのは、中佐となり無口になったトルウェイと、少佐となったマシューだ。一方、イクタは、あれ以後、誰とも会話をすることなく、後宮の奥深くでただ生きている。
 キオカ共和国では少将となったジャンが執政官の実働部隊として内紛の芽を摘みつつ、カトヴァーナ帝国への介入機会を探っていた。そんなある日、ジャンは科学者アナライ・カーンと出会う。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン VII

とりあえず読むべし
評価:☆☆☆☆☆
 帝国皇帝の身柄を確保したものの、側近トリスナイの提案を拒否したために、玉音放送によって呼びかけられたイグセムは、イクタの殺害を決定する。その実行役として差し向けられたのは、近くにいたヤトリだった。
 とりあえず読むべし。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン VI

内戦勃発
評価:☆☆☆☆☆
 帝都で発生した軍事クーデターの結果、カトヴァーナ帝国内でイグセム派とレミオン派の対立が発生することになった。しかも、クーデターを起こしたレミオン派は皇帝と宰相の身柄を押さえることができず、イグセムの早期封じ込めにも失敗し、戦線は膠着状態に陥ってしまう。このままでは、キオカ共和国のジャン・アルキネクス少佐に介入されかねない。
 イグセム派に召還されたヤトリシノ・イグセム中尉を取り戻すため、イクタ・ソローク中尉は父バダ・サンクレイの遺した徽章を使いクバルハ・シバ少将を説得し、独立部隊「旭日連隊」を復活させる。そして、トルウェイ・レミオン中尉、マシュー・テトジリチ少尉、ハローマ・ベッケル少尉ら騎士とシャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク第三皇女殿下と共に、帝都へ急行するのだった。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン V

不利な状況での大海戦
評価:☆☆☆☆☆
 帝国内の権力争いの余波として、一度放棄したヒオレド鉱山の奪還を命じられた軍の一端を担うことになったイクタ・ソローク中尉、ヤトリシノ・イグセム中尉、トルウェイ・レミオン中尉、マシュー・テトジリチ少尉、ハローマ・ベッケル少尉ら騎士とシャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク第三皇女殿下は、キオカ共和国軍の補給線を破壊するため、エリネーフィン・ユルグス海軍大将率いる第一艦隊による周辺海域の制海権奪取に協力することになった。
 ラギエシー・クッチ海佐の下で唯我独尊にふるまうポルミニュエ・ユルグス一等海尉の船に乗り込んだマシュー・テトジリチ少尉らは、キオカ海軍の新兵器である爆砲に心を折られたポルミニュエらをサポートして生還し、反撃のための作戦準備を整えようとしていた。

 迎え撃つは、白翼の太母と称されるキオカ海軍少将エルルファイ・テネキシェラ率いる第四艦隊だ。兵装では圧倒的不利な状況にあり、イクタ・ソローク中尉の作戦はその不利を覆すことができるのか?

 そして海戦を経て後、クバルハ・シバ少将率いる攻略軍に合流した彼らだったが、ヤトリシノ・イグセム中尉のもとに召喚命令が届く。そのとき帝都で発生していた事態とは?

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン IV

内政と新たな戦い
評価:☆☆☆☆☆
 ナナク・ダル率いるシナーク族の一揆を鎮め、キオカ共和国のジャン・アルキネクス少佐が導いたラ・サイア・アルデラミン神軍の大アラファトラ山脈侵攻からの苦しい撤退戦を成し遂げたイクタ・ソローク中尉、ヤトリシノ・イグセム中尉、トルウェイ・レミオン中尉、マシュー・テトジリチ少尉、ハローマ・ベッケル少尉ら騎士とシャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク第三皇女殿下は帝都に帰還した。
 ソルヴェナレス・イグセム元帥とテルシンハ・レミオン大将による軍法会議で北域鎮台司令官のタムツークツク・サフィーダ中将に降等のうえ極刑が下され、宰相トリスナイ・イザンマの妨害も振り切って、シナーク族の移民政策の承認を取り付けることに成功したセンパ・サザルーフ少佐は、そのために必要な連隊の指揮官を口説き落とすため、ミルトーグ・テトジリチ大佐の許を訪れることになった。マシュー・テトジリチ少尉の父親だ。

 ところが、テトジリチの地元では、勅任官ティゼニ・ハマトイエ子爵の、一人身の女性に対する人頭税の創設により、娼婦たちが領地を逃げ出すという問題が起きていた。大佐が新たな任地に赴任するためには、この問題を解決しなければならない。イクタは喜び勇んで娼館に調査に赴こうとするのだが…。

 そして無事に問題も解決し、シナーク族の移民も成った頃、宰相トリスナイ・イザンマが勅命を盾に、新たな出帥が決定される。箔付けとして駆り出されることになった皇女と騎士団は、エリネーフィン・ユルグス海軍大将率いる艦隊に預けられることになる。そこで待ち受けていたのは、ラギエシー・クッチ海佐を差し置いて艦の指揮を取る、ポルミニュエ・ユルグス一等海尉という若い女性だった。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン III

眠らない英雄、怠ける知将
評価:☆☆☆☆☆
 アルデラ教を国教とするカトヴァーナ帝国の高等士官候補生にして帝国騎士であるイクタ・ソローク、ヤトリシノ・イグセム、トルウェイ・レミオン、マシュー・テトジリチ、ハローマ・ベッケルの准尉5人は、シャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク第三皇女殿下の意向で神の階と呼ばれる大アラファトラ山脈の麓にある北域鎮台に配属された。そこで、北域鎮台司令官のタムツークツク・サフィーダ中将に抑圧されていたシナーク族がナナク・ダルを旗頭に反旗を翻した戦いに巻き込まれることになり、何とか戦いを治めることに成功した。
 しかし、その反乱の糸を引いていたキオカ共和国のジャン・アルキネクス少佐が客員将校を務めるラ・サイア・アルデラミン神軍を口説き落とし、アクガルパ・サ・ドメイシャ大将指揮下で北域鎮台への進攻を開始したことが発覚した。戦いに疲れ果てた八千の兵を攻めるのは、無傷の一万二千の兵。イクタ・ソローク准尉は、センパ・サザルーフ大尉を使って北域鎮台の全兵力を撤退させ、その時間稼ぎのため、一個大隊六百と和平したシナーク族百二十で敵兵一万二千の足止めをする道をせんたくするのだった。

 タズニヤド・ハッラー大尉やミアラ・ギン中尉の補佐を受けるジャン・アルキネクス少佐の卓抜した指揮の前に、イクタ・ソローク中尉は苦戦を強いられる。更には、ニルヴァ・ギン率いる特殊部隊「カラ・カルム」がいつ奇襲を仕掛けてくるかわからない。そんな極限状況の中、生きるために最善の選択をし続けることを強いられる。

 というわけでライバル登場の巻。でも、圧倒的に有利な状況で攻めきれなかったジャン・アルキネクス少佐は、咬ませ犬の匂いがプンプンするよ。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン II

内に火種を抱え込む国境線
評価:☆☆☆☆☆
 アルデラ教を国教とするカトヴァーナ帝国の高等士官候補生であるイクタ・ソローク、ヤトリシノ・イグセム、トルウェイ・レミオン、マシュー・テトジリチ、ハローマ・ベッケルの5人は、敵国キオカ共和国からシャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク第三皇女殿下を生還させた功績を以て、帝国騎士に叙任され、准尉として任官した。
 しかし、この初めての第三皇女がくせ者で、堕落した帝国を一度キオカに占領させ、焦土から国家を復興させようという野望を抱いている。その相棒として彼女が白羽の矢を立てたのは、アナライ・カーンの弟子であり、偉大な将軍だったバダ・サンクレイの忘れ形見でもあるイクタ・ソロークだ。先の戦闘で彼の軍事的才幹を確信した彼女は、彼が5年以内に元帥に昇進するように発破をかけるのだが、本人は生来の性格もあり、全くやる気なく、女の子に声をかけることだけに一生懸命だ。

 そんな彼らが赴任したのは、帝国の北方、神の階と呼ばれる大アラファトラ山脈の麓にある北域鎮台だ。そこはシナーク族という山岳少数民族の居住地であり、北域鎮台司令官のタムツークツク・サフィーダ中将は、シナーク族を弾圧し、抵抗力を削ぐために、風と火の精霊を彼らから奪っていた。
 貴族勢力の圧力によって無能ながら司令官となったサフィーダを補佐するユスクリラム・トァック少佐から訓令を受けつつ、センパ・サザルーフ中尉の指揮下で辺境の退屈な任務に半年間だけつくはずだった騎士団の面々だが、やがてそこには戦乱の火種がくすぶっていることに気づかされる。

 前回はヤトリシノの大活躍シーンが豊富にあったが、今回は、日常でも戦場でも、イクタの活躍が描かれる場面が多い。特に、日常での彼の蘊蓄は、何となく聞いていたくなる感じがして心地よい。
 ちょっとした小競り合いのつもりが泥沼のゲリラ戦に発展し、そしてその背後には糸を引く勢力の存在も明らかになってきて、次巻ではかなり絶望的な戦いの幕が落ちることになりそうだ。

天鏡のアルデラミン ねじ巻き精霊戦記

皇女が設定する奇妙なゴール
評価:☆☆☆☆☆
 アルデラ教を国教とするカトヴァーナ帝国では、人々はそれぞれ自分に適した四大精霊のいずれかを相棒とし、そのエネルギーを利用して生活している。そしてその力は、軍事にも利用され、しかし、教義を超える神を冒涜する様な使い方は、固く戒められていた。
 だが時代は変わり始める。初めての科学者となるアナライ・カーンが生まれ、その生徒たちが隣国キオカ共和国に科学的思考を植え付け始めると、戦況は大きく変わり始める。

 かつてカトヴァーナ帝国最高司令官であり、軍人失格として獄死したバダ・サンクレイの忘れ形見であるイクタ・ソロークは、帝立シガル高等学校の卒業を迎えていた。白兵戦術の名門イグセム家のヤトリシノ・イグセムとの契約で、帝都の帝立図書館の司書というポストを約束してもらう代わりに、彼女が高等士官試験に首席合格するサポートをすることになっていたイクタ・ソロークは、人生最後の頑張りとして、怠惰な気持ちを無理やり押し込めて頑張るつもりだった。
 しかし、高等士官試験に向かう船が沈没し、乗り合わせた戦列銃兵戦術の名門レミオン家の三男トルウェイ・レミオンや、マシュー・テトジリチ、衛生兵を目指す年上のハローマ・ベッケル、そして何より、第三皇女のシャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニクと共に、キオカ共和国国境へと流されてしまった。

 立場的に投降はあり得ない。だが、激戦区での国境越えは一筋縄ではいかない。そんな状況で、年増好きの怠け者にしか思えないイクタは、その才能の一片を示し、常勝将軍としての人生の第一歩を歩み始める。

 基本的に会戦形式の戦闘が主流な世界観における、戦時の英雄の活躍を描く物語ではあるのだが、その目指す終着点が少しばかり珍しい。戦争を目的達成のための手段と捉えるならば、目的設定が特殊なのだ。他人任せの内政改革とでも称すべきか。
 主人公が年上の女と見ればとにかく口説くという、英雄色を好むを地で行くような性格として設定されているのだが、ヒロインにして最強戦士でもあるヤトリシノとの奇妙なまでの信頼関係も中々に業が深く面白い。

スメラギガタリ 弐 外道陰陽篇

過去から続く因縁の解決が、また新たな因縁を起こす契機となる
評価:☆☆☆☆☆
 陰陽寮が帝都を守護するために、大怨霊・平将門公を利用して作り上げた術式「地星・浄魂労獄」の苦行から解き放ち、彼を成仏させるために、澄香内親王殿下を拉致し、継実夜統を利用した罪で捕らえられた芦屋道代だったが、意外なことにすぐに極刑という流れにはならなかった。
 そもそもの容疑を立証するためには、澄香内親王殿下が無断利用した御言霊や、陰陽寮の負の側面である地星・浄魂労獄を公表しなければならず、それは次代陰陽頭となる土御門晴見にはできない相談だったのだ。

 そして道代はさらに切り札を持っていた。彼女の故郷である瑠胡江市には、蛟あるいは河伯と呼ばれる竜神がおり、それは人身御供を捧げなければならない神なのだ。切り札となるべき殿克夜は蝦夷へと公務で赴いており、その調伏には地元の陰陽師である道代の協力が欠かせない。しかもその竜神は、道代と晴見の祖師である芦屋道満と安倍晴明が関わっているという。
 一方、平将門に背中を押された格好の継実夜統は、一振りの古びた刀を背負い、芦屋道代を追ってやってきた瑠胡江市で、霊媒の素質を持つ少女、雨宮潤と出会う。この出会いが導く戦場は、夜統の人生を変える場所となるのだった。

 とても分厚いのだけれどそれもそのはず。現代の竜神を巡る問題と、そもそもの発端がある千年前の出来事の両方が、同じ程度の分量で描かれているのだから。つまり、2冊分の内容と何ら変わりがない。しかしこれが密接に絡みついていて分けられないから厄介なんだな。
 どちらかというと芦屋道代側が主人公に近いので、視点は芦屋道満の側にある。そこで彼が何を見てどう生きたのか。そしてそれに安倍晴明がどんな影響を与えたのか。前巻で語られた事件における道代の動機がここで明らかになる。

スメラギガタリ 新皇復活篇

IF世界の式神バトル
評価:☆☆☆☆☆
 関東大震災の被害も予知で備え、第二次世界大戦の終結も無条件降伏ではなく講和で迎えた日本では、天皇に権威を置いたまま緩やかに西洋文化が流入し、議院内閣制が敷かれていた。通常の政治はは彼らが担う一方で、霊的な防備については陰陽寮が統括し、陰陽頭は安倍晴明の子孫である土御門家が世襲していた。
 一方でこれは、土御門家以外の陰陽の術を伝える在野の人々が虐げられる仕組みでもあった。そのことに憤りを覚え現状を変えようという志を持つ少女、芦屋道代は、帝都に捕われる怨霊・平将門を解放し、澄香内親王殿下を利用してそれを成し遂げようとする。彼女に対峙するのは、次期陰陽頭となる少女、土御門晴見だ。

 陰陽寮の怠慢をついて仕掛けられる道代の作戦は的確であり、晴見はまんまと澄香内親王殿下と幼なじみの継実夜統をさらわれてしまう。だが道代の方にも誤算があり、澄香内親王殿下に憑依させるはずだった平将門はなぜか夜統に入ってしまう。
 二人を取り戻すべく奮闘する晴見とその幼なじみの殿克夜だが、道代の目論見はなかなか見えてこない。そのうちに、陰陽寮の立場はどんどんと追い詰められていく。

 大正浪漫が残るような文化を持つ現代世界において、式神バトルが繰り広げられる。その背景にあるのは、平将門の乱や、同じ志を持ちながらも立場が異なるゆえに争わなければならないやるせなささだったりする。
 伏線を張るだけ張って未だ回収されない部分については、続巻を楽しみに待ちたい。

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神と奴隷の誕生構文 (3)

同種族ゆえにうまれるすれ違い
評価:☆☆☆☆☆
 ゴルォグンナ大陸東部に住まう有翼族、盲民族との同盟を成立させることに成功した有角族の女皇セレィは、アヌビシアの森を抜けて大陸中央部に進出することに成功した。そこに広がる平野部では多種多様な民族が放牧民として暮らしつつ、有角族のヘィロンが大首長として統括していた。
 大昔の別離から再会した起源を同じくする種族同士、そして一角の共鳴により相手の心情を読み取れるという能力のためもあり、互いの友好は確認できたと安心するセレィ。しかしそこには思わぬ落とし穴があり、大陸中央部西側の国を偵察に向かった導神クルァシンが不在の折、そのすれ違いの事実が発覚してしまう。

 そしてその危機とは別に、発展界からの刺客、神狩り部隊の増援が現れ、導神クルァシン不在のセレィを襲おうとする。それを防ぐため、元・大央聴のサーリャは本来なら彼がすべき仕事を、一人黙々とこなすことになる。

 大陸の3割の同盟を成立させ、順調に発展界への抵抗体制を築きあげつつあるセレィたちが今回対峙するのは、同種族である有角種の勢力。同じ性質、同じ価値観の二人は意気投合するのだが、実はそれゆえに他種族への姿勢に大きな違いがあることになかなか気づけない。
 対立し支配することが当たり前の価値観の中で、どうやって融和の精神を育成していくか。その難しい問題に、発展界からは遅れていると思われている世界の住民たちが、彼らが独自に築き上げて来た文化を以って向かい合う。

 さて肝心の導神クルァシンは、利用価値の高いエネルギー資源を発見してしまったり、新たなメタ・フィジクスと対決してしまったりするのだが、その結末は次巻に持ちこされる。

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神と奴隷の誕生構文 (2)

侵略にあらがう世界、神に対峙する人間
評価:☆☆☆☆☆
 有角族の国ロケィラと有翼族の国オルワナを同盟に導くことに成功した導神クルァシンこと奄倉信は、発展界アルマダートからの世界の侵略・植民地化に対抗する力をつけるため、盟友の女皇セレィと共に、盲目族が支配する隣国アヌビシアに赴く。アヌビシアの王ネレィクから、文化の違いや相互の歴史から来る手痛い洗礼を受けながらも、何とか信頼関係を築くことに成功したセレィは、同盟の重要さと同国への利点を説く。
 その頃、クルァシンは、アヌビシアの要職であり、国内の情報伝達に重要な役割を果たす大央聴の候補である少女、サーリャと交流を深めていた。そして、彼女の秘めた望みと、誰にも言えない自身の秘密を知る。
 一方、発展界からは、クルァシンの実力をはかるため、最強の神殺しである神狩り部隊の隊長、ルダ・ガイランが派遣されていた。そして、彼の背後では、アルマダートを支配する三社のトップたちが策謀を張り巡らし始める。

 1巻では、クルァシンよりも格上のメタ・フィジクスが登場し彼を苦しめたが、今回はあくまで人間がどこまで格上の存在に挑めるか、という所に眼目がある。そしてそれは、クルァシンが奄倉信だった頃に目指したやり方でもあるし、これからエナ・ガゼという世界が発展界からの侵略を排除するために目指す道でもあるだろう。
 あくまで今回は小手調べ。アルマダートからの戦力は、クルァシンと因縁深い神も含めて、どんどんと増えていく。だが、そんな状況だからこそ、メリェ、コリォといった女性たちから得られる安らぎも重要だ。そんなひと時くらいは、彼にも許されて良いだろう。

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神と奴隷の誕生構文

SF的な要素にファンタジーの要素が組み込まれる
評価:☆☆☆☆★
 有角種族や有翼種族などがそれぞれが国を持って対立する世界で、いま一つの国が滅びを迎えようとしていた。有角種の皇子セレィが討ち取られようとした時、彼女の前に一柱の神が舞い降りる。彼らの世界とは異なる世界から訪れたその神の名は奄倉信。彼は、アルマダートという世界からの侵略に対抗するため、セレィがこの世界を統一する手助けを申し出る。

 発展途上にある世界に対して行われる、進歩した世界による介入。この介入の目的は何か?そしてなぜ奄倉信はそれを妨げようとするのか?そこにあるSF的な要素にファンタジーの要素が組み込まれる。
 多くの人の死を背負い孤独に闘い続ける存在と、彼を助けようとする女性たちの物語。

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