内田俊作品の書評/レビュー

喰-kuu- (3)

忘れていた想い
評価:☆☆☆☆★
 東北大会を目前に控えて、過食倶楽部に異変が発生。戌井八千代と共に行った食べ放題の焼肉店で挑まれた大食い勝負に、井ノ原みのりが敗れてしまったのだ。それを受け止めきれなかったみのりは、過食倶楽部からの退部を宣言し、食べることを楽しむのではなく、ただ勝つために、怪物となる道を選ぼうとする。
 それに対し、彼女を大切に思いながらも何もすることができない仙石舞や、彼女を突き放し解散の危機を引き起こしてしまう丑米満たち。そしてそのままやって来てしまう東北大会。会場にはみのりは現れない。その時、町田真白は、ステーキハウスで野試合をするみのりを見つけていた。

 今回で完結らしい。大食いの話なのに食べる描写が淡白なのが残念。


おらくる☆ヒミコさん

評価:

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喰-kuu- (2)

居場所を守るための戦い
評価:☆☆☆☆★
 怪我で野球を断念した高校生の戌井八千代は、同級生の井ノ原みのりの大食いの美しさと情熱に魅かれ、大食いの世界にデビューした。ところがその部活、過食倶楽部が生徒会長に目をつけられ、部室を召し上げられそうになってしまう。
 それを阻止するには実績を上げなければならない。大会優勝を目指すため、強豪校との交流試合が組まれることになった。その熱闘の中で、生徒会役員鴨川こころと大食いの意外な関係が明らかになる。

 そしてそんな大食い対決とは別に、ハチを巡る女の戦いもヒートアップ。町田真白の県大会出場を祝うため、町に食事に繰り出したハチと真白の前に偶然に通りかかるみのり。なぜか一緒にご飯を食べに行くことになり、真白の不用意な一言から大食いバトルに発展してしまう。
 そんなこんなを乗り越えて、ハチは新しい世界に自分の居場所を見つけ出すことができるのか?

 新たなキャラを登場させ、大食いの団体戦が執り行なわれる運びとなりました喰-kuu-の第2巻。熱い戦いが繰り広げられているはずなのに、なぜか本当に大食い戦士に作者が敬意を抱いているのかを疑問に感じてしまう。
 とりあえず自分がチャレンジしてみて、大食いが如何に困難なことかを身にしみて知る努力をした方が良いのではないかと思う。

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倒錯クロスファイト

もっと突っ込んで欲しい
評価:☆☆☆★★
 「喰-kuu-」でデビューした作者の、別レーベルから出版された作品。向こうはフードバトルだったけれど、こちらは布フェチたちのバトルを描いているだからクロス(=布)ファイト。口絵に趣向が凝らしてあってちょっと面白い。
 内容はというと、レーヨンとかナイロンとかコットンとか、布の精霊に選ばれた人間たちが、どの布がもっとも価値があるかを競うという物語だ。こんなストーリーなので、登場する人物たちは、オーソドックスなところでいうとショーツを頭にかぶっていたり、黒ストッキングを履いた脚で踏まれるのが好きだったり、変な性癖を持った人たちであり、彼らが主要な役割を占めている。

 ただ、ここまでフェチ押しで来るならば、もっと多種多様なフェティシズムを胸に抱く人たちを登場させて欲しかった。途中からは、単に下着っぽいものを着た人たちの青春ドラマになってしまったような気がしないでもない。喰-kuu-でも思ったことだが、キワっぽいところを突く割には突ききっていないのが少し不満に感じてしまう。
 アニメやマンガのパロっぽいセリフを多用したり、黒崎ストライフという名前の人物を主人公にして見たり、面白そうなネタをいっぱい突っ込んでみました、という感じの作品になっている。

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喰-kuu-

大食いに本気で打ち込む小さな少女
評価:☆☆☆☆★
 高校入学前の春休み。叔父のラーメン店でバイト中の戌井八千代は、中二の時の同級生、井ノ原みのりに再会する。見た目は美人だが性格が壊れている仙石舞と来店した小柄なその少女は、ラフレシアと呼ばれる8人前の巨大ラーメンを注文し、吸い込む様に食いきってしまう。
 みのりの食べる姿に本気さを感じた八千代は、心を突き動かされるものがあって、彼女に告白してしまうのだが、付き合う条件として出されたのが、街の代表的な大食いメニュー、30人前の巨大ラーメン食神を完食する事だった。

 最初の挑戦に失敗したハチだったが、ようやく見つけた本気になれそうなことを諦められず、大食いに本気で取り組むために、高校の暴食部という部活に入部することにする。そこにいたのは、クアッドコアという二つ名を持つ部長・牛米満や、フリージア・仙石舞、そしてかつてはブラックホールと称された井ノ原みのりだった。

 中学時代は野球に打ち込んできたものの、肘の故障でそれを諦めざるを得なくなったハチ。そんな彼を見ていられない幼なじみの町田真白は、何とかもう一度本気になってもらいたいと思っている。  そんなときに見つけた大食いという種目は、誰もが納得してくれる打ち込めるものというわけではない。しかし、それに一生懸命挑む人たちを見て、ハチは誇りを持って大食いに取り組めるようになる。

 テレビの大食い番組を見ても、何故か小柄な女の人が大食いだったりすることも多いわけで、見た目とは全く違う凄まじき食いっぷりには敬意を表さざるを得ない。
 そんな大食いを扱ったこの作品。明らかにアサウラ「ベン・トー」の影響を受けた部分があると思うが、題材的にはマイナーっぽいにも拘らず熱くなれそうな所が良い。ただ、今のところ、熱量というか密度的な点で、そこまで大食いに入れ込んでいる様でもない印象を受ける文章なので、今後は是非とも本気で大食いの世界の魅力を伝える作品にしていって欲しいと思う。

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