らぶバト! (5) 決戦!! 覇王の瞳
- 接近する嵐
- 評価：☆☆☆☆★
-
“アイズ・オブ・グローリー（覇王の瞳）”天聖院麗華と“オクルス＝アウレウス（黄金瞳）”クロニカ・メル・ゴールドシュタインが消耗している隙を突き、“八咫鏡”御鏡宮朱鷺那が宵月戯曲の演出でニライカナイを攻める計画を立てる。そのサポートして雇われたのが、綺堂結人や朝倉奏の幼馴染にして、奏の祖母と阿鎖玖羅人形劇団の仇である迦陵刹那だ。
その頃、天聖院閃華の思いつきで、綺堂結人や朝倉奏は天聖院麗華、クロニカ・メル・ゴールドシュタイン、星薙フレア、鬼住山鬼火、九連寺早苗と共に温泉合宿に出かけていた。そんなとき、フレアと結人の前に刹那が現れる。一方、八雲凍子からの報告に依れば、ニライカナイには巨大な台風が接近していた。
若干、まとめた雰囲気を感じる。はっきり書かれてはいないが、ひょっとするとシリーズ最終巻となってしまうのか？売上が芳しくないのかも知れない。逆に言うと、売れればまだ続きそうではある。ひょっとすると、奏を主人公にして、世界漫遊記にした方が盛り上がるのかも知れない。
らぶバト! (4) 俺争奪! ?開眼者バトル!
- 王道展開へ
- 評価：☆☆☆☆★
-
ミスカトニック大学魔導司書大隊司令であり、“オクルス＝アウレウス（黄金瞳）”の開眼者であるクロニカ・メル・ゴールドシュタインは、“アイズ・オブ・グローリー（覇王の瞳）”の開眼者にして天聖妃代理の天聖院麗華とどちらが上か白黒をつけるため、ニライカナイに密かに侵入してきた。
それを止めるため、副司令フェリシア・ワーズワースとリルケ・シュレディンガー少佐も追いかけて来たのだが、リルケは逆にクロニカにとりこまれてしまい、フェリシアは天麒輪と綺堂結人を囮にしたことが朝倉奏にばれ、戦いを仕掛けられてしまう。
何とか開眼者同士の対決を避けるため、事情を知っている鬼住山鬼火と共に、フェリシアらと連携して麗華とクロニカが出会うことの無いよう、工作に努めるのだが…不穏な空気を感じた九連寺早苗や八雲凍子らも治安維持に動きだし、事態は制御不能の状態に至ってしまう。
かくて主人公はハーレムルートまっしぐらに進みつつ、彼らの幼少時代に関わる「迦陵」香涼刹那という存在が明らかになる。異能バトル学園ラブコメの王道展開と言うべきか。
らぶバト！ (3) 鬼っ娘ぼでーがーど覚醒！
- 風雲は事態を把握してないキャラのもとで発生する
- 評価：☆☆☆☆★
-
天聖院閃華に天麒輪を渡され抜けなくなった綺堂結人は、天聖院麗華の下僕として天聖院学園に転入することになった。それを聞きつけた幼なじみの朝倉奏も転入することになり、天聖妃を巡る戦いで、ミスカトニック大学からの留学生の星薙フレア、剣帝と称される九連寺早苗、五凶星の血を引く鬼住山鬼火たちとのバトルに巻き込まれたり、天聖院の守護九曜である九連寺家の反逆騒動に巻き込まれたりすることになった。そしてその過程で、八雲凍子や汐崎ここねこと塩田祥子と知り合ったのだ。
連続する騒動に天聖妃代理である天聖院麗華は、四聖将という直轄戦力を持つことを決定、その候補に、九連寺早苗、星薙フレア、朝倉奏、鬼住山鬼火が挙げられる。しかし、鬼火が麗華にかつて負けたことを引きずってその要請を拒否、懐柔は結人に託されることとなった。
また今回も朝倉奏が天聖院閃華の修行に拘束されている隙に、結人にまとわりつく幼女として鬼火があてがわれ、ミスカトニック大学魔導司書大隊司令クロニカ・メル・ゴールドシュタインが麗華とガチバトルをしに遊びに来るという状況の中で、まったりとした空気が流れる。
しかし、「神が与えし真理の瞳」麗華と「オクルス＝アウレウス（黄金瞳）」クロニカのバトルの影響の甚大さを憂慮した副司令フェリシア・ワーズワースとリルケ・シュレディンガー少佐が連れ戻しに来たことで、事態は徐々にきな臭くなっていく。
今巻では完結せず、ストーリー的には次巻が後半となる。
らぶバト！ (2) 反逆のサムライ乙女！
- ニライカナイに落ちる影
- 評価：☆☆☆★★
-
太平洋上に作られた人口島ニライカナイに観光で来た綺堂結人は、天聖院閃華に天麒輪という指輪を渡され、指から抜けなくなってしまった。ところがその指輪は、天聖妃というニライカナイのトップを象徴する指輪であり、当代の天聖妃である天聖院麗華に拘束されてしまう。
紆余曲折を経た末、幼なじみの朝倉奏と共に天聖院学園に通うことになった綺堂結人が今回遭遇するのは、天聖院の守護九曜の一である九連寺家の九連寺早苗が引き起こす事態だ。祖母の九連寺斎の命を受け、主君である天聖院閃華に牙をむくことになる早苗だったが、その影に御鏡宮の存在が関わっていることに八雲凍子が気づく。
ラブコメの主役である朝倉奏を天聖院閃華が課す修業で封印し、今回主役となるのは九連寺早苗…なのだが、主体性がないまま事態に流される期間が長いので、あまりパッとしない。それよりむしろ、影に回る八雲凍子の方が目立っているんじゃなかろうか。
どういう力学が働いているのかは分からないが、次巻もあるらしい。
らぶバト！ 俺が指輪でハメられて！？
- ラブコメバトル、タイトルそのもの
- 評価：☆☆☆★★
-
太平洋上に作られた人口島ニライカナイは、セレブ御用達のリゾート地であり、能力者たちが集う天聖院学園が置かれる地でもある。姉の彩音からもらったチケットでニライカナイへやって来た一般人の綺堂結人は、出会ったプラチナブランドの幼女から天麒輪という指輪をハメられ、抜けなくなってしまった。
ところがその指輪は、天聖妃というニライカナイの支配者の象徴。当代の天聖妃である14歳の少女・天聖院麗華に捕まった結人は、指輪の外し方が見つかるまで、天聖院学園に留置されることになる。ところが時は、新たな天聖妃を決めるための戦いの真っ最中！しかも決勝は、４人の実力者による天麒輪の奪い合い。当然、指輪が抜けない結人も戦いに巻き込まれることになる。
鬼の血を引く力持ちの12歳・鬼住山鬼火、剣帝の称号を持つ天聖院家の守護者・九連寺早苗、ゴーレムを呼び出す錬金術師の星薙フレアという能力者たち。そして何の関係もないのに結人を連れ戻すために追いかけてきた幼なじみの朝倉奏は、七罪・阿鎖玖羅人形劇団の生き残りの人形遣いの殺人技で結人を奪い返そうとする。そこに、三神の一角を崩そうとするミスカトニック大学の魔導師が絡んできて…。
異能バトルの主役たちが繰り広げる学園ラブコメなのだが、鬼火のバトル衣装がブルマだったり、フレアのそれがスクール水着だったりする必然性をもっと追求して欲しかった。なぜ彼女たちがその衣装でなければならないのかが明確でないと、ただマニアを刺激するためだけの物にしか見えず軽薄だ。イラストが上手いだけに、中身がないのは勿体無さ過ぎる。
こういう細部に魂を込めないので、バトルシーンも、ちっとも熱血の雰囲気にならない。売れ筋の設定を色々と詰め込むやり方は、商業的には結構なのだが、きちんと別の物語としてのセールスポイントを明らかにして欲しかったと思う。