初心音コマ作品の書評/レビュー

ネトゲ廃悪魔の願い叶えます。

悪魔のお願い
評価:☆☆☆☆★
 黒猫の二つ名を持つ天才魔法使いのピノ・メルフォートは、子供の頃から自宅にいる少女ファナミナから衝撃の事実を明かされる。それは、ファナミナが異世界である悪魔界の闇金業者の社員であり、彼の祖父母、両親が彼女から魔力の融資を受けた結果、名門として扱われるだけの力を得たという事実だった。それにもかかわらず、メルフォート一門はその返済を行っていないという。
 自身の魔力は純粋に努力の結果であることと、天才としてのプライドから、代わりに返済を引き受けることにしたピノは、よく契約書を見ないで契約した結果、担保として魔力を奪われ、魔法が使えなくなってしまう。

 そんな彼に課された返済業務は、悪魔界がこの世界を舞台に展開するVRMMORPGの苦情処理係だった。この世界にアバターで暮らす悪魔たちからの要望を、魔力の代わりに得た超人的な筋力と、持ち前の率直さで解決していく。

ノニアレ 人ノ子ニ幸アレ

世界の命運を握りながら、平凡な人の幸せを求める物語
評価:☆☆☆☆★
 死に至る病、それは幸福である。アズフリック症候群罹患者である水乃日美樹は、幸福感を覚えると脳細胞が死滅し、やがて死に至る。寿命の引き延ばしを図るため、罹患した二歳から彼は不幸であることが義務づけられてきた。
 そんな彼の前に現れた月崎ルナは自らを神のような者と名乗り、彼を本来的な意味で食べると、ヒビキをルナの子供として産み直して、彼に幸福というものを授けた。その代償は、ルナと共に【破滅をもたらす者(ルインブリンガー)】となり、人類の敵となって滅びをもたらすことである。

 だが人類は、ルイブリンガーの出現を予見し、【上質なる存在(スペリアーイグジスタンス)】を生み出して対抗しようとしていた。その先兵として、裸サロペットのDカップ少女、綾見マコトが現れ、ヒビキに戦いを挑む。
 それに対してオーディンとして覚醒したヒビキは、グングニルを揮ってマコトを撃破。そして餌付けされたマコトは、月崎邸に入り浸るようになってしまう。
 やがて、ヒビキは異世界【レ・クラン】からやって来たライカンスロープの少女コロンを拾い、彼女を追いかけてやって来た飼い主の貴族ルーシャス・レヴァンドロ・ギルスタインらと共に、奇妙な同居生活を営むことになるのだった。しかしその日常は、荻野目リュートの登場により破られることとなる。

 猟奇的な映像から始まり、天然ジゴロ系主人公が敵を誑し込みつつ、人類の敵なのにのんびりと暮したり、チートな能力でバトルしたりする。つかみはバッチリなのだが、壮大な設定の割にはこじんまりとしそうな予感がして、発展性があるかどうかの判別がつかない。
 世界の命運を握りながら、平凡な人の幸せを求める物語がどこへ向かうのか、見極めにはもう少し時間が必要そうだ。

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