煙突の上にハイヒール(小川一水)の書評/レビュー


 煙突の上にハイヒール(小川一水)の書評/レビューを掲載しています。

煙突の上にハイヒール

100年前の人も、100年後の人も、環境はいろいろ変わっても、悩むポイントは同じ
評価:☆☆☆☆☆
 煙突の上にハイヒールというのは、国道に落ちている軍手とか、歩道脇に置いてある靴とか、どうしてこんな所にこんな物があるの?という日常の不思議の延長線上にあるもの、と解釈すれば良いのではないか。これは少し未来の物語なのだけれど、そこで使われている技術は頑張れば実現できそうなものがほとんど。だから、不思議に思うものは少し変わるかも知れないけれど、人間は今とあまり変わらないよ、ということだろう。(下に吹き付ける風はすごいんじゃないかと思うけどね。)
 発表時期は騒ぎが起こる前なのだけれど、ついこの間の騒ぎを思い起こさせるので、最後の短編がインパクトが強い。白鳥熱という、H5N1型の鳥インフルエンザの世界的大流行後の日本を描いている。実際に起こった、感染者に関する報道を思い起こすと、こういうことがあっても不思議ではないだろうなぁ。

 しかし、何年も前から同じ作家の作品を読んでいると、段々と表現方法が変わっていくのが分かって面白い。人は年齢を重ねるし、生活環境が変化するのだから、それも当然なのだろう。この前テレビを見ていたら、ある大物司会者が、芸人は同じ世代に楽しんでもらえると一緒に成長していけるので芸人人生が長くなる、みたいなことを言っていたけれど、これも同じことなのだろうか?

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