天冥の標 (2) 救世群(小川一水)の書評/レビュー


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天冥の標 (2) 救世群

要素の付加による形質の変化
評価:☆☆☆☆☆
 時間は巻き戻り、西暦2010年代の日本に舞台は移る。国立感染症研究所に所属する感染症専門医の児玉圭伍と矢来華奈子は、アウトブレイク発生の報を受け、パラオに向かう。到着した島で初めに見たものは、浜辺に転々と転がる人の死体だった。
 多数の犠牲者を出しながらも、一次感染者の特定と檜沢千茅と一名の回復者という結果を残し、封じ込めは成功したかに見えたが、その淡い期待は破れ、世界的大流行につながっていく。

 冥王斑と名づけられた感染症は、その圧倒的な感染力と致死率もさることながら、回復者の体内に残るウイルスが感染力を失わないということに大きな特徴があった。つまり、回復しても一般社会に戻ることが出来ないのである。
 この事実は、未感染者と回復者との間に亀裂を生じさせる原因となっていく。

 奇数巻と偶数巻で時代を行ったり来たりしていくのだろうか?1巻で登場した謎の用語たちの来歴が、近未来のパンデミックを取り巻く出来事から明らかになる。
 治療をする医師の現場と、感染症の封じ込めという政治的立場、未感染者と感染者、そして回復者という様々な立場から、一つの事件が語られる。マイナスをプラスに変えようという人間の変わらぬ営みが作り変えていこうとしている世界とは?
 こちらのお話もまだ先が長いようです。

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