青い星まで飛んでいけ(小川一水)の書評/レビュー


 青い星まで飛んでいけ(小川一水)の書評/レビューを掲載しています。

青い星まで飛んでいけ

人類の行き着く未来、そしてその先の宇宙
評価:☆☆☆☆☆
 人類の行き着く未来、そしてその先の宇宙を想起させるSF短編集だ。

「都市彗星のサエ」は、彗星にある鉱山街に生まれた少女サエが感じる閉塞感と、そこからの脱出を目指す少年ジョージィとの出会いを描く。
「グラスハートが割れないように」は、人の心を栄養にして育つという地衣類に関する、青年・日吉康介と少女・秋間時果の心の揺らぎを描く。このふたつには、閉鎖系で生きる人という共通点がある気がする。

「静寂に満ちていく潮」は、地球外知的生命体と地球生命テミスの出会いとその先を描く。
「占職術士の希望」は、他人の天職を見抜く力を持つ紺野哨平と、彼に才能を見出された女性・山科寛奈が遭遇するテロ事件を描く。これらは、生命体としての人と、社会生物としての人、それぞれの変化の可能性を示している気がする。

「守るべき肌」は、情報存在となった人類の選択を描く。
「青い空まで飛んでいけ」は、人類に地球外探査を義務付けられた存在の葛藤を描く。これらは人類の終着点と、その先に広がっている世界を提示している気がする。

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