天冥の標 (6) 宿怨 PART 2(小川一水)の書評/レビュー


 天冥の標 (6) 宿怨 PART 3(小川一水)の書評/レビューを掲載しています。

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天冥の標 (6) 宿怨 PART 2 天冥の標 (6) 宿怨 PART 3 未定

天冥の標 (6) 宿怨 PART 3

振り回される人類
評価:☆☆☆☆☆
 太陽系外生命体カルミアンとの契約で、全構成員の甲殻化と、太陽系への原種冥王斑の潜在的感染を成し遂げた《救世群》は、それらを背景として太陽系の支配に乗り出した。対抗するロイズ非分極保険者団とマツダ・ヒューマノイド・デバイシズは、太陽系艦隊を出動させるものの、技術力の差によって圧倒されてしまう。
 狙われるジニ号と郷土を守るため、皇帝モウア・ヤヒロと准将オガシ・ヤヒロに対抗する力を得るべく、MHD筆頭執行責任者ジェズベル・グレンチャカ・メテオールに促されてドロテア・ワットに向かったアイネイア・セアキは、現在起きていることの真相を知ることになるのだった。

 太陽系を急速に支配していく《救世群》に対し、暴動や懐柔など、様々な手段で対抗しようとする各国政府だが、事態は彼らの手の及ばないところで進行し、彼らの必死の努力をあざ笑うかのような結末に至っていく。
 太陽系外生命体を背景とする勢力間の争いが事態のキモであり、それがいずれに傾くかで、オセロの盤面がいきなり変わるかのように、展開が二転三転するところが忙しい。きっと、当事者のほとんどは、何が起きたのかも分からないままに、結論だけを突きつけられることになったのだろう。

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