大竹康師の書評/レビュー


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美少女と一緒にゲームを作ったら死ぬほど楽しいに違いない

ゲーム作ってましたっけ?
評価:☆☆★★★
 ゲーム好きだが成績が悪すぎてゲーム機を親に捨てられ、将来への夢ももてず、ゲームショップに日参して熱気を感じることだけが楽しみの高校生である坂本龍麿に声をかけて来る女子高生の頼長仁呼が現れた。
 彼女に誘われるままにゲーム部を設立したものの、仁呼は単独行動ばかりで、龍麿が勝手に部員を集めようとすると激怒する。幼なじみの女子大生の美田加美柚や中学生の美田絵馬も、他に男を作って、龍麿とはちっとも遊んでくれない。

 しかし、暇つぶしにゲームクリエイターを養成する専門学校の体験入学を受けてみたところ、状況が一変する。そこに特別講師としてやって来ていたのは、博士号を取得したゲーム界のカリスマとして紹介される、頼長仁呼の姿だった。
 それからアシスタントとしてゲーム業界を引っ張りまわされたり、監禁されてゲームをやり込まされたりするのだが、どうも仁呼の対応がちぐはぐでかみ合わず、二人の仲は深まっていかない。そうこうするうち、龍麿の声に注目する人々が現れ…。

 ヒロインに対する仕掛けは分かるのだが、ゲーム業界のシナリオライターが書いたという割に、自分が関わる様な領域ばかりをざっくりと書いて、ゲーム業界全体や開発工程のポイントなどについては全く触れられていないことにガッカリした。素人が外側から適当に書いてもこのくらいのことは書けそうに感じるレベルだ。
 そして、幼なじみの二人が登場する理由が全く分からない。正直、別にいなくても良い。もしかするとメインヒロインすらいらなくて、担任の葛切が最もヒロインのポジションに近いとすら思える構成になっていることには、どんな意図があるのだろう?

 ゲーム業界の人が書いたラノベということを推したいならば、もっと自分の分野以外のことについても取材をして書きこむべきだし、ラブコメとして盛り上げたいならば、女子キャラと主人公が絡むシーンをもっと真面目に組み立てるべきだと感じた。

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