小椋正雪の書評/レビュー


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八丈島と、魔女の夏

八丈島でもどこでも同じ
評価:☆☆☆★★
 火山学者である真名部猛と真名部佳枝がアイスランドに長期滞在することになったため、その息子である真名部学は父親の友人に預けられることになった。その友人が住んでいるのは、東京都の八丈島だ。
 喫茶店「アハトブルク」にいるという友人エーファ・バイスシュタインの事を、父親は魔女と称していた。恐る恐る行ってみると、そこにいたのは彼と同じく転校して来たばかりのクラスメイト高遠真奈だった。

 そしてあとから出て来たのは、父親たちとは同年代とは思えないエーファ。正真正銘、文字通りの魔女らしい。事情を聞くと、真奈もエーファのところに下宿しているらしく、ある理由から同居することを遠慮した学は、近くのぼろアパートに住みながら、放課後はこのアハトブルクで過ごすことにしたのだ。
 この喫茶店にはめったに客が来なく、来たとしてもやはりクラスメイトの神崎鈴佳、水沢雪子、古田潮実あたりだけ。自然、店内は友人同士のバカバカしい語りあいの場となってしまうのだが…。


 第一回キネティックノベル大賞佳作受賞作。せっかく八丈島を舞台にしているのに、旅行者みたいにひとめぐり観光をした以外は、八丈島の生活感が全く出ていない。物語の舞台は喫茶店の中がほとんどなので、それも当然と言えば当然だ。
 つまり総括すると、生徒会室でだべっている様な日常系ラノベの劣化再生産品と言えるだろう。そもそも、続巻がある前提で、うす〜い設定を引き延ばしにしている感がぬぐえない。

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