大桑八代の書評/レビュー


 大桑八代の書評/レビューを掲載しています。

カクリヨの短い歌 (3)

ゆだねられた選択
評価:☆☆☆☆★
 祝園完道のもとに、六歌澪最後の一人である朱鳥由良から招待状が届く。彼女は完道に歌典寮のトップに立って欲しいという。
 一方、梅の禍歌を持つ振根の友人の女子高校生の椿市は、桜の禍歌を持つ帳ノ宮真晴から桜を奪い、桜より梅が上位であることを示したいという。そこに、甕星明瓦が接近する。

カクリヨの短い歌 (2)

声を奪う理由
評価:☆☆☆☆★
 祝園完道と藍花のもとを、歌典寮の黄川田が訪れる。門江市穂の家で開催される歌典寮トップの六歌澪による会談を帳ノ宮真晴が襲撃するという予告がなされたという。
 訪れた門江家で祝園完道は六歌澪の一人である甕星明瓦と出会う。一方、藍花は市穂の部下である柄井夕暮と親交を深めるのだった。

 だが事態は、完道の友人である小糸を巻き込む展開となっていく。

カクリヨの短い歌

秘される歌、忌まれる歌
評価:☆☆☆★★
 ある時、三十一文字の歌は幽現界(カクリヨ)に失われ、そして突如、顕明界(ウツシヨ)へと戻って来た。その結果、歌は禍歌となり、世界に害をなすようになった。その歌を管理するために歌典寮が作られる。
 そんな歌を集める家があった。頂点に立つ祝園家は全ての歌を集め、秘匿している。現在の当主は、若き祝園完道である。彼は、狐に化ける狸の藍花と共にひっそりと暮らし、たまに友人の小糸と会うために街に出るくらいの生活を送っている。

 だが、そんな彼を放っておくものはない。なにしろ、禍歌は金になるのだ。ゆえにそれを狙って襲うものは絶えず、空しい争いを避けることができない。そしてついには、元婚約者である帳ノ宮真晴が、彼を歌から解放するため、全ての歌を奪いにやってくる。

 第7回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞受賞作だ。和歌を魔法のように扱う世界なのだが、和歌である意味が今ひとつ描き切れていないように思う。あくまで代替物であって、唯一無二、必然の要素に思えない。もう少し、歌の世界観を深掘りする構成にした方が、より、意味のある設定になったように感じた。

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