小鹿野君則の書評/レビュー


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我が妹は吸血鬼である

挫折する復讐
評価:☆☆☆★★
 幼い頃に両親を吸血鬼に殺され妹の笹森幾夜を攫われてしまった笹森総一郎は、吸血鬼への復讐だけを胸に、日本へ教導にやってきていた聖ストア騎士団の騎士修道士トミスラフ・シュトロスマイエルに師事した。彼の娘のスヴェトラーナ・シュトロスマイエルと兄妹同然に暮しながら、聖ストア騎士団の従者となった総一郎は、秩父に出没した吸血鬼を単独撃破する。
 そんな笹森総一郎が独居する部屋に、宅配便が送られてくる。その段ボール箱から飛び出してきたのは、吸血鬼に攫われた妹の笹森幾夜だった。吸血鬼となった彼女は、前の事件で兄の居場所を知り、一緒に暮すために訪ねてきたのだ。

 吸血鬼狩りの使命よりも妹を選んだ笹森総一郎は、笹森幾夜と共に暮すことにする。日中は外出しがちな兄がいない間の妹の無聊を慰めるのは、インターネットとアニメだった。
 だがそんな生活も長くは続かない。国外に出ていたトミスラフ・シュトロスマイエルスが戻り、さらには幾夜を連れ戻すべくイリュリア戦士長エウアドネがやってくる。

 妹がオタクという設定なのだがいまひとつ。ライトなのかヘヴィーなのかよく分からない。整合性を持ったオタク像を構築して欲しい。スヴェ子にはほとんど活躍の場が与えられず、エウアドネも噛ませ犬化してしまったため、ヒロインが不在の状況だ。このあたりにも一考の余地があったと思う。

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