ソードアート・オンライン (8) アーリー・アンド・レイト(川原礫)の書評/レビュー


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ソードアート・オンライン (8) アーリー・アンド・レイト

様々な変化の瞬間を切り取って
評価:☆☆☆☆☆
 SAOの旧アインクラッド時代のアスナとキリトのミステリー風味中編「圏内事件」、地下世界ヨツンヘイムにあるエクスキャリバーを手に入れるエピソード短編「キャリバー」、ソードアート・オンラインでレベル1だった頃の霧との姿を描く掌編「はじまりの日」を収録した短編集だ。

「圏内事件」
 まだ前線が57階にあった頃。お昼寝をしているキリトのところに、血盟騎士団・副団長アスナがやってくる。気まぐれでお昼寝に誘ってみたところ、隣で熟睡しだし…結果、ご飯をおごってもらうことになった。
 そして向かった街で、キリトとアスナは、原則として安全な街の中・圏内で、連続貫通攻撃で男が死んでしまう瞬間を目撃する。新たな圏内攻撃の手段を見過ごすことができず捜査をすることになる二人だが、それは半年前の事件を暴く結果になるのだった。

 アスナがキリトに好意を持った瞬間の物語であり、SAO世界が明らかにした人間の本質が見せる醜さを教えてくれる、好意とは対極的なエピソードになっている。


「キャリバー」
 ついにヨツンヘイムのエクスキャリバーを獲得するクエストが発見された。一年前に既にそれを発見していたキリトたちは、他のゲーマーに獲得される前に、もう一度チャレンジしてみることにする。パーティはキリト、アスナ、リーファ、リズベット、シリカ、シノン、クライン、そしてユイだ。
 ところが地下世界に下りた彼らは、ニブルヘイムの王スリュムが、プレイヤーたちを巻き込んだ壮大なクエストを起こしていることを知る。全ては本来のカーディナル・システムが開放されたせいだ。

 GMも知らないSAO世界のピンチを知ってしまったキリトたちは、否応なくクエストに関わっていくことになる。コンバートしてアーチャーとなったシノンと、女好きクラインがさりげなく大活躍するエピソードだ。
 そしてこのことからも分かるように、本質的にソロプレイヤー気質のキリトが、仲間の大切さを実感した瞬間の物語でもある。


「はじまりの日」
 茅場晶彦の本来の計画であるデスゲームが始まった瞬間、クラインを置いてキリトは駆け出した。全ては自分が生き残るために。βテスターであることを利用してとある村に向かったキリトは、初めての愛剣を手に入れるため、コペルというβテスターと協力することになる。
 キリトがSAOの本質を体感し、その剣技の鋭さと、それを裏付ける生き残るために努力するという覚悟を決めた瞬間の物語となっている。

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