アクセル・ワールド (10) Elements(川原礫)の書評/レビュー


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アクセル・ワールド (10) Elements

本編の補完的な短編集
評価:☆☆☆☆☆
 他シリーズとのコラボ短編も含んだ、本編の補完的な短編集だ。ハルユキ視点で描かれる本編ではみられようもない、中学生らしい黒雪姫の姿や、過去の意外なエピソードを知ることができる。

「遠い日の水音」
 有田春雪が黛拓武の協力を得てようやくレベル2に到達するポイントを獲得した頃。ハルユキのポカミスでレベルアップギリギリのポイントでそれを使ってしまい、レベル2になった代わりに全損の危機が訪れてしまった。
 タクムは自分のポイントを半分分けるというのだが、それを断ったハルユキは、低レベル者の全損危機を、ある代償を捧げることで守る用心棒を雇うことにする。アクア・カレントというそのバーストリンカーは、自身はレベル1でありながら、これまで護衛対象を全損させたことが一度もないという、伝説の存在だった。

 ある意味で今巻のサブタイトルともっともリンクした短編だ。つまりアクア・カレントは…。そしてハルユキがこのことを覚えていないことにも、きちんと理由がつけられる。

「最果ての潮騒」
 ハルユキが能美征二の策略で追い詰められていた頃(夕闇の略奪者参照)。黒雪姫は修学旅行先の沖縄で、生粋の沖縄生まれのバーストリンカー、安里琉花と糸洲真魚に出会う。東京23区以外で生まれたバーストリンカーという存在自体に驚愕した黒雪姫だったが、彼女たちの相談事の原因は、加速研究会が関わっている実験だった。
 黒雪姫の視点で、ハルユキや生徒会の友人である若宮恵、そして自分自身の彼らとの関わりを問い直しつつ、本編の裏側で繰り広げられていた事件を語る中編だ。

「バーサス」
 アラレちゃんと孫悟空はどっちが強い?という問いに作者自らが答えを出したみたいな短編だ。量子コンピューターの生み出したパラレルワールドとのリンクで、キリトはハルユキのシルバー・クロウと対戦することになる。果たしてその結末は…?
 「ソードアート・オンライン」「アクセル・ワールド」は共にバーチャル世界でのバトルを描いている訳だが、そのコントロールシステムの相違を、空を飛ぶ、という行為で説明している、とも見ることが出来る。

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