鴨志田一作品の書評/レビュー

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

評価:☆☆☆☆☆

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

評価:☆☆☆☆☆

Just Because!

評価:☆☆☆☆☆


青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない

評価:☆☆☆☆☆


青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない

評価:☆☆☆☆☆


青春ブタ野郎はおるすばん妹の夢を見ない

評価:☆☆☆☆☆


青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない

あこがれ、こじらせ
評価:☆☆☆☆☆
 ようやく桜島麻衣に会えると、意気揚々と二学期を迎えた梓川咲太だったが、その目論見は、思春期症候群により潰えてしまう。彼女と、彼女の異母妹である豊浜のどかに、入れ替わり現象が起きてしまったのだ。
 母親と喧嘩して家出中の豊浜のどかin桜島麻衣は、桜島麻衣のマンションに住むことになり、桜島麻衣in豊浜のどかは、梓川かえでに受け入れられ、彼の家で居候することになる。この事態の原因とは?

さくら荘のペットな彼女 (10.5)

その後の住民たち
評価:☆☆☆☆★
「長谷栞奈の突然な修学旅行」
 三鷹美咲によって、神田空太たちの修学旅行先へ北海道旅行へ行くことになった長谷栞奈。そこで彼女が見た、空太たちの姿とは?

「長谷栞奈の不器用な恋愛模様」
 姫宮伊織が骨折から復活を遂げ、コンクールに出場することになった。それを見て長谷栞奈の思うこととは?

「まだ夢の途中」
 ゲーム会社設立直前の頃。青山七海、赤坂龍之介、リタ・エインズワースらのその後の姿が描かれる。

「クリスマスに事件は起こる」
 蛇足的な、24歳の椎名ましろと神田空太の姿。

青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない

認められない自分
評価:☆☆☆☆★
 中学時代に咲太の前へ現れた高校生の牧之原翔子と同じ名前、同じ顔の女子中学生が、高校生となった咲太の前に現れた。彼女はかつて咲太と会った記憶はないという。
 さらには、いつも彼を助けてくれる友人の双葉理央が、ドッペルゲンガーを発現させるという現象を引き起こしてしまい、行き場を失くした片方を自宅に住ませることになってしまう。

青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない

見つからない平穏
評価:☆☆☆☆★
 一ヶ月のお預け期間の末、桜島麻衣と恋人同士になった梓川咲太だったが、翌朝目覚めると、前日だった。時間が巻戻ってしまったのだ。もう一度告白し、再度付き合うことになったものの、やはり目覚めると前日に。同じ日をループしてしまう。
 その原因を見つけるため、以前と別の行動をしている人物を探したところ、以前、お尻を蹴り合った後輩の古賀朋絵であることに気付く。彼女は友人の気になる先輩からの告白を避けるため、最適解を見つけるべく、無意識にループ現象を引き起こしていたのだ。

 事態解決のために彼女に偽の恋人を演じることになった咲太だったのだが…。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

誰も見ていない私
評価:☆☆☆☆★
 妹の梓川かえでとの経験がきっかけで、都市伝説「思春期症候群」の実在を知っている高校二年生の梓川咲太は、図書館でバニーガールの格好をしている美少女を発見する。彼女は元トップ女優で同じ高校に通う先輩の桜島麻衣だった。しかし、他に人もたくさんいるのに、彼女のことが見えているのは、咲太だけだ。
 彼女の助けになりたいと考えた咲太は、友人の双葉理央のアドバイスを受け、問題解決に乗り出すのだが、事態はさらに悪化していき…。

さくら荘のペットな彼女 (10.5)

評価:☆☆☆☆☆


さくら荘のペットな彼女 (10)

愛するゆえの選択
評価:☆☆☆☆☆
 青山七海をふって椎名ましろを選んだ神田空太だったが、赤坂龍之介、姫宮伊織、リタ・エインズワースと共にゲーム企画オーディション「ゲームキャンプ」に出品するゲーム制作に全力を注いだ結果、漫画がブレイクし始めたましろとは、距離が生まれるようになっていた。
 一方、空太を慕っているらしい長谷栞奈は、空太とましろが同じ部屋で暮らし始めたのを見て、夜遅くまで帰らないことが増えてくる。

 自分の夢に向かって突っ走ることで、一緒にいたい人との時間が削られていく。どちらも手放したくはないが、有限の時間をどちらにも割くことはできない。そんな悩みの中で、空太とましろが選ぶ結末とは?
 シリーズ本編の最終巻です。

さくら荘のペットな彼女 (9)

人間関係の総決算
評価:☆☆☆☆☆
 青山七海をふって椎名ましろを選んだ神田空太は、青山七海との関係復旧を時間に任せることにした。いずれにせよ、赤坂龍之介と共にゲーム企画オーディション「ゲームキャンプ」に提出する企画を練るために全力を傾けないとならない。
 そんな中でも、椎名ましろとの新たな関係を構築するために、二人でデートに出かけることにする。それを尾行していた長谷栞奈と、彼女についてきた姫宮伊織だったが、アクシデントが発生した結果、姫宮伊織は骨折をしてしまう。

 さくら荘に不穏な空気が漂い始める中、それをぶち壊すように千石千尋が紹介した新たな入居者は、リタ・エインズワースだった。

 次巻を最終巻に控え、さくら荘の人間関係の総決算が始まる。

さくら荘のペットな彼女 (8)

決断の時
評価:☆☆☆☆☆
 青山七海と椎名ましろからそれぞれ告白を受けた神田空太は、返事をするまで三週間の猶予をもらう。内部進学を決める試験が終わり、修学旅行から帰るまでの間だ。
 その間、さくら荘には微妙な空気が漂う。そんな空気を察した長谷栞奈はどこか不機嫌になり、おっぱい星人の姫宮伊織は初めて見た秘密の花園のせいでその信念を揺るがし始める。

 千石千尋から告げられた言葉で、七海とましろ、それぞれに対する思いに改めて向き合うことにした空太は、北海道へと修学旅行にやって来た。班員は、青山七海と赤坂龍之介、それに七海の友人の高崎繭と本庄やよいだ。龍之介はホテルで作業に走り、友人二人はそんな龍之介を追うという口実で、空太と七海を二人きりにする。
 旅先でのやり取りで改めて七海に対する感情を実感する空太だったが、翌日にはましろとの取材の約束が控えている。そして、ホテルで遭遇した龍之介の中学時代の知り合いの池尻麻耶は、空太に龍之介とは一緒にゲームを作らない方が良いと忠告してくるのだった。

 二人の少女から告白され、自分の気持ちを整理し、たった一人を選ぶ少年。ああ、そういう結果になったかという感じ。そしてゲーム作りにも新たな局面が訪れ、あと二巻で完結を迎えるとのこと。

さくら荘のペットな彼女 (7.5)

はうはうのなれそめ
評価:☆☆☆☆☆
 恋愛エピソードに絞った短編集。しかも今回最も紙幅が割かれているのは、さくら荘メンバーではなく生徒会長とはうはうだ。

「生徒会長のはうはうな彼女」
 演奏会で姫宮沙織に一目惚れしていた館林総一郎は、一年間、ずっと片思いをしてきた。それを知っている三鷹仁は、上井草美咲の友人である姫宮沙織との接点をことあるごとに作ろうとする。それはまるで、代償行為であるかのように。
 そんな三鷹仁のお節介を心底迷惑に思いつつも、本物の思いを抱えている館林総一郎は、姫宮沙織に自分の思いを伝えるため、生徒会が抱えるある案件を通そうとする。

 エキセントリックな登場人物が多い中で、いかにもありそうな高校生の恋愛という仕上がりになっている中編だ。はうはうの耳年増な行動をごらんあれ。


「風邪をひいたペットな彼女」
 風邪を引いて寝込んでいる椎名ましろのお世話をすることになった神田空太だが、今日のましろは熱にうなされているせいか、いつにも増して言動がえろい。
 溢れ来る青春のリビドーに押し流されそうになる空太に、ましろはダメ押しの誘惑をしてくる。果たして彼は耐え抜けるのか?


「青山七海のもっと乙女なスプリング」
 神田空太への恋心を自覚した青山七海は、友人の高崎繭と本庄やよいからハッパをかけられ、空太を落とすために頑張ろうと奮闘する。
 だが、ましろの積極攻勢はあまりにも協力で、わき上がる思いは後悔と自己嫌悪ばかり。しかし、本気の本気のアプローチで空太への思いの大きさを本当に実感した七海は、それを余さず空太に伝えようと決意するのだった。

さくら荘のペットな彼女 (7)

思いの丈を詰め込んで
評価:☆☆☆☆☆
 三鷹仁と上井草美咲は卒業し、美咲は三鷹夫人となって春がやってきた。神田空太、青山七海、椎名ましろ、赤坂龍之介たちさくら荘の住人も無事に三年生へと進級した。しかも、空太と七海、龍之介は同じクラスだ。どうやら問題児はまとめてコントロールしようという学園の方針らしい。
 いつもと変わらないメンツではあるけれど、彼らの関係も変化の時期を迎えようとしていた。七海は実家の両親を説得し、声優の夢を諦めない決意を固めたし、空太も自分のやりたいことがはっきりしてきた。ましろも、これまで気づかなかったことに気づく成長を見せている。

 そんなとき、監督教師の千石千尋がさくら荘に連れてきたのは、女子風呂をのぞきに行ったという新入生の姫宮伊織だった。彼ははうはうこと姫宮沙織の弟で、音楽科の生徒であるにも拘わらず、普通科に編入してラブコメをしたいとか宣う問題児らしい。
 一方、本当は水明芸術大学付属高校に合格していた神田優子のクラスメイトである長谷栞奈と廊下でぶつかった空太は、とある落とし物を拾ってしまう。それは、大人っぽい黒のパンツの形をしていた…。

 さくら荘にやってくる新たなメンバーが抱えている問題、いつものように龍之介にあしらわれるリタ・エインズワース、空太とましろの関係の変化を感じ取る深谷志穂たちましろのクラスメイト。七海は決意を込めて空太を演技の練習に誘い、ましろは空太をモデルに絵を描き始める。その至る場所で、空太は何らかの結論を出すことを求められるのだろう。
 あと一冊くらいで完結しそうな流れではあるが、アニメ化が決まったこともあり、引き延ばし戦術で次は短編集になるのではないだろうか?

 ましろが空太に完成した絵を見せるシーンはちょっといい。七海のそれまでの頑張りも、少し霞んじゃうな。そう思うと、人生とはなんて不公平なのだろう。
 ましろと七海、自分が本気になるものにのせて、思いの丈を空太にぶつけます。

さくら荘のペットな彼女 (6)

押し寄せる現実の波状攻撃
評価:☆☆☆☆☆
 せつね〜。何だこれ、せつねーよ。分かった様な事を書くのは簡単だけれど、ここでそれはちょっと控えておこう。
 ただ、現実は大概自分の理想通りには進まないし、頑張っても報われるとは限らないし、落ち込むことも多いけれど、ごくごくたまに、自分の理想を超えるような出来事が起きる。その時の快感は、筆舌に尽くし難い。だからこそ、絶望せずに生きていられる。

 さくら荘の監督教師、千石千尋から申し渡された、今年度限りでのさくら荘取り壊しの理事会決定。神田空太はそれに強く反発し、千尋に詰め寄るも、彼女は何も答えない。青山七海の提案で、全校生徒の三分の二の署名を集めれば理事会の決定を覆せることを知った空太は、やみくもに活動を始めようとする。
 しかし、赤坂龍之介は、それは現実的な対応ではないと断じ、そんな無駄な時間があるならば、ゲームのタイトル審査会に全精力を注ぐべきだという。空太にも理屈ではそれは分かるのだが、あまりにも冷徹にいう龍之介に、感情では全く受け入れることができない。

 そうこうしているうちに、さくら荘取り壊し決定の真相が明らかになり、そして七海のオーディション結果や空太の審査結果、三鷹仁と上井草美咲の卒業と、怒涛の様に様々な出来事が迫って来る。どれも重要だけれど、全てをフォローするには能力が足りない。空太が陥るのはそんな状況だ。
 そして事態の中心にいる椎名ましろは、いつもと変わらないようでいながら、確実に変化して、状況に対応しようとしていた。

 いっぱい失敗をして、痛い目にあって、それで初めて、本当は自分がどうしたいのかを自覚していくのだろう。

さくら荘のペットな彼女 (5.5)

挑戦する権利を持つものは
評価:☆☆☆☆★
 さくら荘に関わる面々を描く短編集。おおよそは5巻のエピソードに関連する内容なのだが、空太がはじめてさくら荘に来た日の話など、昔の出来事も少しだけ扱っている。基本的には、空太以外の視点から、これまでの象徴的なエピソードを扱った短編集と見て間違いない。
 本編は神田空太の椎名ましろと比較した悩み、天才とまだ何者とも知れない人間の絶望みたいなものを柱として、その周囲の人物を描いているわけだ。しかし、ましろにせよ、上井草美咲にせよ、赤坂龍之介にせよ、もはや社会で一流と認められるだけの実績を積んでいる人物に対しては、自意識の強い高校生たちが何も感じずにいられるわけもない。それぞれがそれぞれなりに、色々と悩みながら彼らと接し、自分の気持ちに折り合いをつけざるを得ないのだ。
 そこで、自分はあいつとは違って才能がない、と言ってしまえばそれで終わり。そこからの発展はありえない。しかし、まだ勝負はついていないと悪あがきをし続けることを選んだ人間だけが、彼らに追いつき追い越す可能性を残すことが出来るのだ。それは、無駄に終わるかも知れないけれど、十分に価値の高いことだと思う。

「神田空太の普通な一日」
 いや、全く普通じゃないから!女子高生がパンツをはいていないことに気づきそれのフォローに走り回ったり、同じく女子高生から一緒にお風呂に入るべきだと言われたりすることなんて…。

「三鷹仁の大人への階段」
 大阪の大学への進学を決めた仁が、彼が付き合っている6人の大人の女性たちにそれを告げ、解放してもらう過程を描いたもの。このときの彼の実感が、美咲への態度にフィードバックされているのだと思う。

「青山七海の乙女なクリスマス」
 空太をどうやって観劇に誘うか悩み、当日の服装をどうするかで悶え、周囲の人にアドバイスまで求めちゃう乙女な七海の努力が垣間見えるエピソード。空太は誠意を持って接すべき。

「もうひとつのクリスマスイブ」
 メインは美咲と仁のクリスマスエピソードなのだけれど、他にもさくら荘の面々のクリスマスの様子が描かれる。

「住めば都のさくら荘?」
 空太がさくら荘にやってくることになった時のお話。

放課後あいどる 僕と生徒会長の××(秋葉原ディアステージ)

夢に向かう熱意を笑うな!
評価:☆☆☆☆★
 バイト先がいつもつぶれてしまう不幸少年・成田佑介が新しくバイトをすることになったのは、秋葉原ディアステージ。所属アイドルがカウンターで接客をし、ライブも行う場所だ。そのお店で活躍する3人組のアイドル「コスモス」のセンター・石垣真帆に、佑介は呼びとめられてしまう。
 はじめは全く気付かなかった佑介だったが、彼女の名前を知り驚愕する。彼女は、彼の通う秋栄高等学校の生徒会長で、彼が氷の女王と名付けた人物だったのだ!

 図らずも氷の女王の秘密を知ることになってしまった佑介は、真帆から屋上に呼び出され、女の子にだけ使える最強最悪のネタを用いて彼を脅し、秘密をばらさないことを誓わされる。
 そんなわけで、あまり良い出会い方をしなかった二人ではあるが、同じグループの枕崎悠里や奄美つばさと共に、子どもの頃の夢に向かって真剣に努力する真帆の姿を見せられ、段々とほだされていく。

 そんなとき、秋葉原ディアステージの競合であり、真帆とも浅からぬ因縁のあるP@Iの釧路社長から持ちかけられ、P@Iに所属するメジャーアイドル「カラフルキス」と同じ舞台で、コスモスは勝負をすることになってしまう。
 圧倒的実力差にもかかわらず、自分こそ一番だと信じて頑張るコスモスだったが、真帆の思わぬ苦手がピンチを招くことになる。

 生徒会長のドSぶりと、それに対抗する男の子の、作者らしい掛け合いが見られる作品。逆にいえば、秋葉原ディアステージのバックアップを受けていることによる効果が見えにくい作品とも言えるかもしれない。
 最後は次巻への引きがあるので、次巻では取材ネタが生かせる要素もたっぷりと盛り込んで欲しいと思ったり思わなかったり。

さくら荘のペットな彼女 (5)

一夫多妻制を採用しています
評価:☆☆☆☆★
 年末年始はさくら荘が閉鎖されるため、住人は別の住処を見つけなければならない。しかし椎名ましろがひとりでイギリスに行けるわけもなく、実家に帰りたくない青山七海や、落ち込んで何もする気が起きない上井草美咲も含めて、自分の実家に連れて帰ることになってしまった神田空太。
 実家に帰れば、妹の優子はましろと張り合うし、母親は七海を気に入るし、ましろ当番の実態が知られ正座で説教されるし、空太にはあまり良いことがない。

 年が明けて、「ゲーム作ろうぜ!」のプレゼンが近づき、緊張の度合いを高めていく空太は、同じ様に自分の人生を決めるオーディションを控える七海と、共感する空気を作っていく。その空気に混じることができないましろは、なにやらご機嫌斜めのご様子だ。

 そして空太の心配の種のひとつが、仁と美咲の関係。クリスマスイブ以来会っていないふたりは、仁が大阪に行くまでに落ち着くところへ落ちつけるのか?それは、空太にとっても人ごとではない問題なのだ。

 それぞれがいろいろなことを自覚し、それについて真面目に考え始めた頃、さくら荘に最大の転機が訪れる。

   bk1
   
   amazon
   

さくら荘のペットな彼女 (4)

思うようにならない
評価:☆☆☆☆☆
 水明芸術大学付属高等学校の文化祭でゲリラ出展するゲーム「銀河猫にゃぼろん」の開発はギリギリまで引き延ばされ、開発に携わったさくら荘のメンバーはみんな寝不足状態。
 そちらのイベントは無事に終了し、気づいたら文化祭は最終日になっていた。

 文化祭の会場でゲーム作ろうぜ!の審査員だった藤沢和希と再会した神田空太は、学生時代の彼の努力を知り更にやる気を漲らせ、そして千石千尋と彼の当時の関係を知りモヤモヤした気分になる。
 一方、椎名ましろは念願の連載を勝ち取ったにもかかわらず、ときおりぼーっとしたり、とつぜん料理をすると言いだしたり、あの芸術家的な空気が薄れてきていた。

 三鷹仁が隠していた進学問題を知り、いつもに増した積極アプローチをする上井草美咲。漫画への純粋さが薄れているように見えるましろに、自分の努力が結果につながらない焦りと合わせて、イライラした気分を感じる空太。いろいろと見せつけながらも自分の気持ちをはっきり自覚する青山七海。
 同じさくら荘に暮らし、みんなでゲームを作り上げたりしながらも、各人の想いの全てが十分に満たされているわけではない。理想にめがけて突き進みながらも、ある者は誰かとの違いに悩み、ある者は突き放されて、現実と理想の乖離を突きつけられる。

 そこで挫折して立ち止まるのか、傷つきながらも諦めず進み続けるのか。そんな若さと葛藤の物語が描かれる。

   bk1
   
   amazon
   

さくら荘のペットな彼女 (3)

近いからこそより傷つく
評価:☆☆☆☆★
 夏休みが終わり二学期が始まる。文化祭の準備に向けて学校が動き始めた頃、ましろの友人リタ・エインズワースがさくら荘を訪れ、ましろをイギリスへ連れ戻そうとする。
 ましろの才能の凄まじさを第三者の口から改めて知らされた空太は、ましろを引きとめるべきか迷う。さくら荘の面々と文化祭の準備を進める日々の中、タイムリミットは刻一刻と近づいてきた。

 さくら荘における天才問題はある程度は片付いたのかな、と思っていたところで、また新たな犠牲者が登場するという展開。しかも、空太たちよりもましろに才能的に近い分、ましろには届き得ないことを肌で感じてしまっているのが、リタという人物だ。
 才能では及ばないと思っていても、諦めきれない道ならばどうすべきか。そういう視点で見れば、リタは空太や仁の先を進む人間でもあるだろう。

   bk1
   
   amazon
   

さくら荘のペットな彼女 (2)

向かい合う、立ち向かう
評価:☆☆☆☆★
 一巻に比べればハチャメチャさの度合いは下がり、さくら荘の人々の活躍とか悩みを知った上での空太の行動が中心になっている。彼は他の人に比べれば普通の人なので、普通の人が本気になった時の葛藤みたいなものが、その中核にはある。
 そして、さくら荘に引っ越してくる青山七海も、どちらかというと空太側の人間だろう。魅かれているけれどその間には才能という乗り越えがたい谷が存在するましろと、おそらくは自分と同じ立場で生きていける七海という二つの選択肢。その間で空太は揺れ動いちゃったりするのだろうか?

   bk1
   
   amazon
   

さくら荘のペットな彼女

頑張らなきゃなれない、頑張ったからといってなれる保証はない
評価:☆☆☆☆★
 他人がまねできないような才能を持つ少女たちと、あまりの才能の差に絶望し傷つきながらも、その側から離れることはできずにいる少年たち、そんな彼らが悩みながらも前に進んでいこうとする物語…という背景があると思うのだけれど、表面的には自分でパンツもはけない少女とそれをお世話する少年の物語という感じになっている。
 無邪気な少女と、お人よしの少年、そんな少年に思いを寄せていそうな少女がいるんだけれど、ほとんどまともに取り上げてもらえずかわいそうな感じといい、前作の要素を踏襲した雰囲気がある。色々と校外でのイベントがあった様なのに、その描写は全てカットで、ほとんど寮と学校の描写しかないのも特徴的だと思う。

   bk1
   
   amazon
   

Kaguya 月のウサギの銀の箱舟 (5)

最後の最後の部分が本当に書きたい分野なのかも
評価:☆☆☆☆★
 相変わらず表紙がすごい。店頭で購入する者には覚悟を求めているとしか思えない。何の覚悟かはよく分からないが…

 肝心のストーリーはというと、どうなんだろう?
 7人目のかぐや姫が登場したり、銀の方舟のメンバーたちの意外な素顔が見れたり、入りは良い気がするが、後半の展開が無理やりまとめる方向になっている様に見えなくもない。銀の方舟メンバーとの葛藤をもう少し深彫りしても良かった気がする。何せその辺は、全て上杉杏奈にぶった切られてしまった感があるから。

 まあ、色々と大人の事情があるのかも知れませんけれど。

   bk1
   
   amazon
   
ホーム
inserted by FC2 system inserted by FC2 system