賀東招二作品の書評/レビュー

甘城ブリリアントパーク (8)

評価:☆☆☆★★


コップクラフト (6)

評価:☆☆☆★★


甘城ブリリアントパーク (7)

エレメンタリオの日常
評価:☆☆☆★★
 水の精霊ミュース、火の精霊サーラマ、土の精霊コボリー、風の精霊シルフィーの日常を描く連作短編集。

コップクラフト (5)

戦場の悔恨
評価:☆☆☆☆★
 マトバが陸上自衛隊時代に、セマーニ世界で共同作戦をしていた米軍の帰還兵が、巨大な狼の様な動物によって惨殺された死体が発見される。そしてその現場を見た帰り道、マトバとティラナは、見えない巨大狼の襲撃を受けるのだった。
 そして再び、同様の惨殺死体が発見される。被害者を詳しく調べたところ、整形の痕跡があり、復元した顔は、やはりかつて共同作戦を行った米軍の帰還兵だった。

 一連の事件はマトバの過去と何らかの関係があることが強く推認されることとなり、マトバはかつての戦友たちを訪ねることになる。そして明らかになることとは?

甘城ブリリアントパーク (6)

密かな告白
評価:☆☆☆☆★
 西也に与えられた王統の魔法の能力が明らかになってくる。犠牲を払いつつ、300万人達成のため奮闘する西也だったが、それを見る王女の目は悲しげだった。
 大手のアミューズメントパークを両天秤にかけての生き残り策が最後の希望に思えるものの、果たしてその選択は正しいのか?最後に西也が選ぶ道とは?

甘城ブリリアントパーク (5)

安達映子メイン
評価:☆☆☆☆★
 安達映子、伴藤美衣乃、中城椎菜のCD収録の帰り、彼女たちと食事に出かけたマカロンは、安達映子の婚約者だといういけ好かない野郎に遭遇する。ブチ切れるマカロンだったが、そのことを安達映子の父親である市会議員に告げ口され、たいへん面倒くさいことになってしまう。
 父親が視察にやってくる当日、マカロンの別れた妻に引き取られた娘も来園することになってしまい…。人型と獣型の変身ができる装置「鋼鉄のミッチ」を用い、ギリギリの攻防戦が繰り広げられる。

 モッフルのアトラクションが人気になり、長蛇の列ができるようになってきた。行列短縮のため、可児江西也は1回のプレイ時間を短縮することを命じる。アトラクションのコアなファンである瀬野浩二との間で板挟みになるモッフルだが…。
 「さべーじ」のバイトの高美と飲みに行ったり、ミュース、シルフィー、サーラマ、コボリー、千斗いすず(イースズルハ・セントルシア)のよる反撃、盲目の王女ラティファ・フルーランザとナイトパレードなどを収録する。

甘城ブリリアントパーク (4)

報われない努力
評価:☆☆☆☆★
 来客数が急速に改善していく甘城ブリリアントパークにあて、ティラミーのフラワーアドベンチャーだけは、前年比30%減という惨状を示していた。千斗いすず(イースズルハ・セントルシア)にその原因を問いただした可児江西也は、新人バイトの伴藤美衣乃が関わっていることを知る。
 可児江西也に平凡すぎるとPVをダメだしされたトリケンは、様々な人たちの意見を無節操に取り入れ、ミュース、シルフィー、サーラマ、コボリーらキャストたちの映像などを取り込んで、摩訶不思議なPVを作り上げていく。

 ボケかけの魔法医の往診を受けて伴藤美衣乃の呪いを解く儀式を始める幹部たち。その結果として現れた原因とは。そして意外な結末が訪れる。

コップクラフト (4)

入れ替わり事件
評価:☆☆☆☆☆
 ビズ・オニールのタレコミを受けて密輸犯捕縛に向かったケイ・マトバとティラナ・エクセデリカだったが、指揮の混乱により、密輸品は押収したものの犯人には逃げられてしまう。
 押収品の中から術(ミルディ)の匂いを感じるというティラナの言葉を受け、独断専行することにしたケイは、押収品を自宅に持ち帰り、ティラナに調査を託す。ところが、その中のひとつに「モーズ・ネル・バルバ」という術がかけられていたため、ティラナと飼い猫の意識が入れ替わってしまった。

 その事実に気づかずにケイが出勤した状況で、ティラナはセシル・エップスに助けを求める。ティラナとセシルの奮闘が始まった。

甘城ブリリアントパーク (3)

テーマパークの日常
評価:☆☆☆☆☆
 魔法の国メープルランドの出先機関である甘城ブリリアントパークの支配人代理に就任した元子役の高校生の可児江西也は、様々な危機に見舞われながらもあらゆる手段を取り、キャストたちのモチベーションを上げ、動員数300万人という大きな壁を抱えながらも廃園を先延ばしすることに成功した。
 しかし、動員数の壁を超えるためには生半可な成功では追いつかない。安達映子、伴藤美衣乃、中城椎菜ら新たなバイトを雇い入れ、モッフル、ティラミー、マカロンら古参キャストが派手なイベントを企画することで客を集めようとする。

 こうして忙しくなりすぎ、まともに高校へ通えなくなった可児江西也の出席日数を稼ぐため、魔法の道具を使って変装した代役を送り込むことにするのだった。忙しさが緩和された可児江西也も目に見えて穏やかになり、支配人である盲目の王女ラティファ・フルーランザとのお茶会を楽しむようになって丸く収まったかに見えたのだが、代役として高校へ行った千斗いすず(イースズルハ・セントルシア)、ティラミー、マカロン、モッフルがそれぞれ少しずつ問題を起こし、それがつながって大問題へと発展してしまう。

 バイトの中では中城椎菜にスポットが当たり、彼女の意外な才能が明らかになる。

甘城ブリリアントパーク (2)

冷徹な仮面の下は思春期
評価:☆☆☆☆☆
 魔法の国メープルランドの出先機関である甘城ブリリアントパークの支配人代理に就任することになった元子役の高校生、可児江西也は、支配人である盲目の王女ラティファ・フルーランザの衛士である千斗いすず(イースズルハ・セントルシア)を秘書室長とし、マスコットのモッフルと共にアルバイトの面接を行うことにする。
 やってきたのは、10本ものAV出演経験がある女子大生の安達映子、脇腹をナイフで刺されてもめげない伴藤美衣乃、見た目は小学生の女子高生である中城椎菜という変わり種ばかりだった。

 ひとまず人は雇うことにしたものの、社員に対する給料を払うことすらままならない財政状況は解消されていない。藁にもすがる思いで、かつて花の妖精ドルネルが姿を消したという、第二パークにある謎のほらあなの奥の財宝を求めて探検に赴く可児江西也、千斗いすず、モッフル、ティラミー、マカロンが見た真実とは?

 ラティファの登場は少なめ。今回はデレはじめた千斗いすずをいじくり倒す展開になっている。また、可児江西也の思春期っぽいもやもやも見どころだ。

甘城ブリリアントパーク (1)

現実世界における夢の国
評価:☆☆☆☆★
 自己愛をこじらせ気味の高校生である可児江西也は、美少女転校生の千斗いすずからデートに誘われた。ただし、シチュエーションがおかしい。放課後の教室で彼女はマスケット銃をかまえ、西也の眉間に照準している。
 嫌も応もなく連れて行かれた先は、うらぶれたテーマパークである甘城ブリリアントパークだ。モッフル、ティラミー、マカロンという、中の人が居ないマスコットを紹介された後、彼は甘城ブリリアントパークの支配人代行だという盲目の少女と引き合わされる。彼女の名はラティファ・フルーランザ、メープルランドという魔法の国の第一王女だという。

 彼女から接吻を授けられ、人の心の中を一度だけのぞくという魔法を得た西也は、イースズルハ・セントルシアが本名の千斗いすずから支配人代行への就任を要請される。魔法の国の住人たちが必要とするアニムスを集める為のアゲルである甘城ブリリアントパークは、契約条項をたてに、甘城企画の栗栖隆也から経営権の譲渡を迫られていたのだ。
 それを回避するためには、あと二週間で十万人の来場客を集めなければならない。得た魔法も暇つぶし程度にしか思わず、関わる気もさらさらなかった西也は、いったんは断るものの、キャストたちの意地を垣間見て、引き受けることを決意するのだった。

 「ララパッチのおまもり」という、人間に見える魔法の道具を使って飲み屋でくだを巻くマスコットたちがシュール。最後の解決はあまりにも現実的なもので引いてしまう人もいるかも知れないが、都合の良い解決は現実には滅多にない証左でもあろう。
 叔母の藍珠と暮す、以前は児玉誠也という名で芸能活動をしていた西也の事情や、ちょっと登場しただけで活躍できなかったミュースなど、見所は色々とありそうだ。

フルメタル・パニック! マジで危ない九死に一生?

その後のテッサ
評価:☆☆☆☆☆
「与太者のルール」
 都立陣代高校にサバゲー部ができる?その設立には相良宗介の撃破が条件。そんなことは可能なのか?

「ご近所のサーベイヤー」
 千鳥かなめのマンションのゴミ捨て場には、規律を守る掃除のおばさんがいる。そのおばさんに窃盗の疑いが…かなめはどうする?

「つぶらなテルモビュライ」
 晴海ふ頭のイベント会場にはあり得ない光景が広がっていた。300体のボン太くん。和やかな風景は、本来の目的に沿って荒事へと変化していき…。

「テッサのお墓参り」
 メリダ島の決戦から3か月。戦隊長だったテッサは、メリッサ・マオのもとに身を寄せていた。メリッサはクルツ・ウェーバーの子どもを妊娠中。ちょっと気弱な気分になる時期だ。
 そんなとき、テッサはとある南の島に墓参りに行くことにする。その墓に眠るのはバニ・モラウタ、アルの生みの親のウィスパードだ。そしてその島でテッサは、ひとりの少年に遭遇する。

 テッサの事後談なのだけれど、テッサ自身よりもアルの通過儀礼になってしまった墓参り。テッサにとっては新たな友人を得たことの方が重要だったかもしれない。
 「フルメタル・パニック! アナザー」への伏線も張られている。

コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED (3)

女子高生にコスプレするティラナ
評価:☆☆☆☆☆
 富裕層の師弟が通う高校の女子生徒ノルネ・ノーバムが、路上で全裸死体として発見される。しかし、その父親のモダ・ノーバムは警察上層部に圧力をかけ、事実が外部に洩れないよう手配する。彼はセマーニ人の運動家であり、直近の選挙に悪影響を及ぼす風聞を起こさせたくないのだ。
 サンテレサ市警特別風紀班はこっそりと真相を究明するため、ファルバーニ王国準騎士のテイラナ・エクセデリカを女子高生に変装させ、ノルネが通っていた高校に潜入捜査をさせる。ティラナが高校生活に親しむ間、相棒のケイ・マトバ刑事はモダ・ノーバムに面会し、その真意を探る。

 16歳の女子高生が麻薬使用と乱交の結果、全裸死体として発見されるという痛ましい事態があるにも拘らず、その父親は積極的な捜査を望んでおらず、調べても被害者のノルネの本当の姿が見えてこない。普段は真面目な生徒の乱心なのか、あるいは元々麻薬に関わるような少女だったのか、それがよくわからない。
 ケイとティラナはサンテレサ市の麻薬売人のルートから事件を探っていくのだが、その捜査線上で意外な人物が浮かび上がってくる。そしてやがて明らかになる事件の真相と結末は…。

 警官として曲がりなりにも機能し始めたティラナへの大きな試練。それは、自分が親しくなった人物が事件に関わっているかも知れないということ。そんな事態に冷静に対応することが出来るのか?
 そしてこの事件でティラナが抱く苦悩は、ケイの古い記憶も刺激し、二人の関係はまた少し近づいていくようにも見える。

 かなり暗い事件であるし、2巻までとは違って派手な銃撃戦があるわけではないのだが、普通に見える人の裏の面を描きつつ、相棒の二人の関係を深めていくという展開の妙がある。

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コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED (2)

1冊で2度おいしい
評価:☆☆☆☆☆
 前巻のアクションの流れを引き継いだ「忙しい夜」、ケイとティラナの日常を絡めて特別風紀班のメンバーたちを紹介する「10万ドルの恋人」を収録。

 前者は吸血鬼と襲われる美女、暗躍する敵、ミラージュ・ゲートに関する謎と、正統派のアクションになっている。
 後者は、戦士としてのティラナよりも女性としての彼女の面が前に出ていて、セシルが重要な役割を担っている。さらに、特別風紀班の個性的な面々、特にゲイのトニーの言動がコミカルさを加えていて笑いを誘う部分もある。

 あとがきの部分も前巻のテイストを引き継いでいて面白い。

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コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED

緩急を織り交ぜたストーリー
評価:☆☆☆☆☆
 15年前、太平洋上に出現したゲートにより、地球とレト・セマーニと呼ばれる異世界は結ばれた。レト・セマーニの文明は地球よりも数世紀遅れたものであり、その制圧は容易と思われたが、彼らは地球にはない術による魔法効果で兵器を強化し、若い文明らしい生命力によって対抗することで勢力は拮抗した。
 紆余曲折を経て外交関係が成立した現在、ゲートと同時に現れたカリアエナ島では、セマーニ世界の魔法製品と地球世界の科学製品が取引され、犯罪が渦巻く混沌とした状況が作り出されている。

 そんな島のサンテレサ市の刑事であるケイ・マトバは、セマーニ世界の大国であるファルバーニ王国からうら若き乙女の姿をした準騎士ティラナ・エクセディリカを迎え入れる命令を受ける。彼女はセマーニから地球に連れて来られた妖精を救出するため派遣されてきたのだ。
 元軍人で生粋の現場刑事であるケイは外交官のまねごとで少女のお守をさせられることにいらだち、ティラナは自分を子供扱いし無礼な態度を取るケイに反発するのだが、互いの目的を達成するため、仕方なく協力しあう。
 スラムの様な場所での違法すれすれの捜査、銃撃戦に剣戟戦や魔法戦、あるいは猫との穏やかな日常など、次から次へと様々な事態が引き起こされていく。その事件の中で少しずつ信頼関係をはぐくんでいく二人、そして明らかにされる事件の真実とは。

 初めの噛み合わない感じから、徐々にかっちりと噛み合っていくまでのステップが、きっちり踏まれている。その過程には緩急が織り交ぜられていて飽きさせない。それぞれの立ち位置が明確なので、それが近づいたり離れたりしても、ブレた感じがしないのだ。
 今回の事件でコンビとしての二人は成立した。あとはこれから二人の事件が始まって行く。

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フルメタル・パニック! (12) ずっと、スタンド・バイ・ミー 下

誘惑する、ありえた未来
評価:☆☆☆☆☆
 相良宗介を殺したという思い込みから、ウィスパードの始まりの女性であるソフィアに意識を乗っ取られてしまった千鳥かなめは、世界滅亡の引き金を引くべく、核ミサイル発射準備を整えようとしていた。
 ソフィアたちの陽動を見抜き、単身、メリダ島へと潜入した相良宗介は、テッサの兄レナードのアーム・スレイブと対決することになる。

 ソフィアが提示する、本来あるべき普通の幸せな未来。それはかなめの心を揺さぶるのだが、それは本当に二人にふさわしい未来なのか?これまで宗介とかなめが築いて来た関係が、世界の行く末を決定する。
 堂々の完結編。ずっと、スタンド・バイ・ミーな未来が彼らに訪れる。

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フルメタル・パニック! 悩んでられない八方塞がり?

所変われば人変わる
評価:☆☆☆☆★
「約束のバーチャル(前後編)」  風間が入り浸るネットゲームに、悪の魔王が現れた!特別職公務員にも拘らず税金を使ってゲームをし、ゲーム世界を支配しようとする、色んな意味でイタい女・ヨーコ。彼女を倒すために、相良が、千鳥が、ゲームの世界で大暴れする…恥ずかしい名前で。

「影武者のショウビズ」
 相良宗介に顔がそっくりなアイドル・吉良浩介は、偶然出会った相良と生活を入れ替えてみることにした。何と無謀な…。陣高では普通の生徒・相良が誕生し、芸能界ではサバイバル過ぎるアイドル・吉良が誕生する。果たして彼は失業せずに済むのか?

「対立のフェスティバル」
 相良宗介や千鳥かなめが所属するクラスの文化祭の出し物は喫茶店。サクラとして有人を呼ぶことになったのだが、相良の友人が普通であるはずがない。一転、喫茶店は戦場の香りがする危険地帯に変貌する!?

「愛憎のフェスティバル」
 東海林未亜の挑発を受けてミス陣高に出場することにした千鳥かなめ。ステージの上で繰り広げられる狂乱とは?

フルメタル・パニック! (8) 燃えるワン・マン・フォース

いまだ消えざる闘志の炎
評価:☆☆☆☆☆
 戦う手段を失い、護るべき人を奪われ、所属する組織もなくし、相良宗介はただひとりの人間となった。しかし、戦う意志と希望はなくしていない。かつてのつてを頼り、東南アジアの街ナムサクに潜伏する宗介は、アームスレイブの闇闘技会でその腕をふるうことになる。
 ナミというパートナーを手に入れ、仲の良い友人たちを得た宗介ではあるが、それはあくまで仮の姿でもある。そしてついに、彼の待ち望んでいたチャンスが巡ってきた。
 だがそれは、親しい人々を戦乱へと叩き込むということでもあったのだ。

 一方、囚われの身となった千鳥かなめは…。

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フルメタル・パニック! 安心できない七つ道具?

派手に爆発します
評価:☆☆☆☆★
「穴だらけのコンシール」
 陣代高校に都議会議員が視察にやってくる!教師陣は、相良宗介という異質なミカンを隠すのに必死。しかしその思いも報われることはなく…。

「身勝手なブルース」
 相良宗介が女子大生と合コン!?果たしてその顛末は…当然いつも通りです。

「ミイラとりのドランカー」
 林水敦信のお見舞いで垣間見た、彼の私生活。そのあまりに強烈な環境に、千鳥かなめは抵抗できない!

「義理人情のアンダーカバー」
 生徒会長・林水敦信が各所に送り込んでいるスパイたち。そのひとりの正体がばれそうになってしまう。スパイの身柄を救うことができるか、相良宗介!

「真夜中のレイダース」
 相良宗介と椿一成が用務員室で鍋をごちそうになっていると…。

「老兵たちのフーガ」
 テッサの知人である老提督たちの、ハチャメチャな暴れっぷり!

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フルメタル・パニック! (7) つづくオン・マイ・オウン

分かたれ始める道
評価:☆☆☆☆☆
 父母の墓標の前で久しぶりの再会を果たす、レナード・テスタロッサとテレサ・テスタロッサの兄妹の道は、いま完全に分かたれた。一人は世界の破壊へ、一人は世界の防衛へ、彼らに与えられた呪いを使い、その道を創造していく。
 一方、同じ様な別れは、相良宗介と千鳥かなめの間にも訪れようとしていた。様々な妨害がありながらも、少しずつ気持ちを近づけて来たふたり。だが、住んでいる世界が違うという、無視したい事実は、彼らの環境を徐々に蝕んできた。

 そして始まる、ミスリルとアマルガムの全面戦争は、彼らの通う学校を戦場へと変えていく。再び宗介とかなめに日常が訪れるときは来るのか?

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フルメタル・パニック! あてにならない六法全書?

受難の宗介
評価:☆☆☆☆★
「ままならないブルー・バード」
 部室争奪戦の競技として、ナンパ大会が開催されることになった。女の子をたくさん連れて来た部活が、晴れて部室を持てることに。宗介もそれに参加するのだが…。


「的はずれのエモーション」
 稲葉瑞樹に気に入られ付きまとわれる椿一成が、それを何とかしようと相良宗介に協力を求める。しかしその様が、一部の女子たちの妄想を刺激したらしく…。


「間違いだらけのセンテンス」
 学校案内パンフレットの文面を考えることになった、生徒会役員たち。当然、あの人やあの人も起案するわけで、まともなものが出来るとは思えないのだが…。


「時間切れのロマンス」
 映画研究会の撮影するラブロマンスに主演することになった千鳥かなめと相良宗介。しかし、まともなラブロマンスになるわけもなく…。


「五時間目のホット・スポット」
 相良宗介のもとに、手配違いで超危険な物質が届いてしまう。それがあやまって拡散し、大きな騒動に発展する。


「女神の来日(受難編)」
 普通の女の子としてかなめたちのクラスに転入してきたテッサ。マデューカスからのプレッシャーもあり、宗介はその対応に苦慮してしまう。


「作者の極秘設定メモ」
 作中世界の物理などに関する設定メモの抜粋。

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フルメタル・パニック! (6) 踊るベリー・メリー・クリスマス

大騒動のクリスマスイブ
評価:☆☆☆☆☆
 4月のテロ事件で修学旅行を台無しにされた陣代高校に朗報が届く。クリスマスイブに豪華客船の旅に行けるらしい。だが、そんな予算はどこにある?何と、奇特な篤志家が、修学旅行をつぶされた生徒を哀れに思い、招待してくれるというのだ。
 クリスマス・イブは、千鳥かなめの誕生日でもある。それにも拘らず、相良宗介はミスリルの作戦で欠席の予定という。おかげで二人の関係は少し険悪になってしまう。

 タダより高いものはないというのは、この世の真理だった。豪華客船への正体は、アマルガムの仕掛けた罠。陣代高校の面々は、シージャックにあってしまう。
 だが、それを事前に察知していたトゥアハー・デ・ダナンの作戦部隊は、いつも後手に回っているアマルガムに対し、攻勢を仕掛ける作戦を計画していた。

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フルメタル・パニック! どうにもならない五里霧中?

テッサにも光を!
評価:☆☆☆☆★
「純で不純なグラップラー」
 自称ライバル・椿一成の初登場。

「善意のトレスパス」
 相良宗介に突っかかって来る椿一成とのドタバタ劇。

「仁義なきファンシー」
 ふもっふのポン太くんが、ヤクザの抗争に介入する!

「放課後のピースキーパー」
 小学生の勢力争いに、相良宗介と千鳥かなめが巻き込まれる。

「迷子のオールド・ドッグ」
 荷物の置き引きにあった老人の手助けを相良宗介がすることになるのだが、相変わらず物騒な操作方法で…。

「わりとヒマな戦隊長の一日」
 マオに酒を飲まされたテッサが奇行を!サガラ軍曹の前で失態を演じ嫌われたと憂慮する彼女は、前日の行動を順に追っていくのだが…。

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フルメタル・パニック! (5) 終わるデイ・バイ・デイ 下

置いて行かれたかなめの取る行動
評価:☆☆☆☆☆
 ミスリルAS部隊の新指揮官、クルーゾー中尉とアームスレイブで対決することになった相良宗介は、自らのASアーバレストの非論理性に振り回され、自分の力を出し切れない思いにとらわれる。
 一方、相良宗介からおいてけぼりをくらう形になった千鳥かなめだが、彼女の性格からして、このまましおらしい乙女のように、黙って引き下がることなどあり得ない。そのことを宗介はまざまざと思い知らされることになる。

 そしてミスリルの敵、アマルガムのテクノロジーに、ミスリルのAS部隊はピンチに追い込まれる!相良宗介はアーバレストの力を引き出し、それに対抗することができるのか?

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フルメタル・パニック! 同情できない四面楚歌?

いかにして彼らは仲間になったか
評価:☆☆☆☆★
「磯の香りのクックロビン」
ダイクウマリュウキングガイという絶滅危惧種の貝をサザエと間違ってツボ焼きにして食った千鳥かなめ。相良宗介が指揮する捜査本部の手から逃れることができるか?

「追憶のイノセント(前後編)」
陣代高校生徒会長・林水敦信に黒い噂が。美樹原蓮の依頼で調査に取りかかる相良宗介と千鳥かなめ。その果てに知る、林水が陣代高校に入学した理由とは?

「おとなのスニーギング・ミッション」
イメクラに教師と生徒が出没しているという情報を得た生徒会は調査に乗り出す。そこで行われていた課外授業とは…。

「エンゲージ、シックス、セブン」
メリッサ・マオと、ソウスケ・サガラ、クルツ・ウェーバーの出会いの物語。

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フルメタル・パニック! (4) 終わるデイ・バイ・デイ 上

浮かび上がる敵の存在
評価:☆☆☆☆☆
 トゥアハー・デ・ダナンを危機におとしいれた裏切り者を追求するため、シチリア・マフィアのパーティに潜入したマオとクルツは、目的を達して脱出を試みる。そこに合流したのは、学校でまたもやトラブルを起こしていた相良宗介。そんなトリオの前に現れたのは、彼らも知らぬ第三世代アームスレイブだった。
 裏切り者の尋問により明らかになる、ミスリルに敵対する組織、アマルガム。つかの間の平和な日々の後、新たな敵に対抗するために組織として生まれ変わるミスリルは、相良宗介に酷な命令を下した。そのとき、千鳥かなめは…。

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フルメタル・パニック! 自慢にならない三冠王?

彼らを囲む人々
評価:☆☆☆☆★
「すれ違いのホスティリティ」
相良宗介がパンの売り子をすることに。しかし、彼にお仕置きをしようという教師がそのパンに仕掛けをしようとする!

「大迷惑のスーサイド」
女子生徒から球技大会を中止しないと自殺するとの予告状が来る。安全保障担当補佐官の相良宗介は問題の解決に乗り出すのだが…。

「押し売りのフェティッシュ」
痴漢撃退のためのおとり捜査を実行!そこに変な女性警察官が絡んでくる。

「雄弁なポートレイト」
美術の水星先生に恋した担任の神楽坂先生。そこに宗介やかなめが介入するのだが…。

「暗闇のペイシェント」
怪談に武力は通用するか?相良宗介が作戦を開始する。

「猫と仔猫のR&R」
マオとテッサがちょっとしたケンカからM9で対決することになる。宗介はテッサにアドバイスをするのだが…。

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フルメタル・パニック! (3) 揺れるイントゥ・ザ・ブルー

一変する楽しい夏休み
評価:☆☆☆☆☆
 夏休みの終わりまであと一週間。高二の女子高生の夏を文化祭の準備に費やしたまま終わろうとしていた千鳥かなめは、相良宗介からの全く予想もしなかった南の島へのお誘いに、ちょっとウキウキする。しかしそこは相良宗介、連れて行かれた先は、彼の乗り込む潜水艦、トゥアハー・デ・ダナンだった。
 はじめは楽しいパーティに参加するだけだったはずなのに、いつの間にやらテロの鎮圧作戦にも参加することになってしまった千鳥かなめ。そしてその簡単な鎮圧任務は、トゥアハー・デ・ダナンを揺るがす陰謀の入口に過ぎなかった。

 その過程で起きる、かなめと宗介のすれ違い。彼女たちはすれ違ったまま終わってしまうのか、あるいは…。

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フルメタル・パニック! 本気になれない二死満塁?

不良なんかメじゃないぜ!
評価:☆☆☆☆★
「妥協無用のホステージ」:千鳥かなめがヤンキーに拉致された。相良宗介は、対テロリスト仕様の作戦を展開する。
「空回りのランチタイム」:忘れ物を取りに帰るだけのことが、なぜかアクション映画になってしまう。
「罰当たりなリーサル・ウェポン」:とある神社に隠された秘密を探る。
「やりすぎのウォークライ」:気弱なラグビー部員たちを調教する。
「一途なステイク・アウト」:千鳥かなめの前に昔のあこがれの先輩が現れる。相良宗介の対応は?
「キャプテン・アミーゴと黄金の日」:メリダ島でのクルツとソースケのバカ騒ぎ。

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フルメタル・パニック! (2) 疾るワン・ナイト・スタンド

女子二人の板挟みになる戦争オタク
評価:☆☆☆☆★
 秘密軍事組織ミスリルの軍曹・相良宗介が普通の高校に転入し、ウィスパードとしてテロ組織に狙われる千鳥かなめの護衛任務を行いながら、いちおう普通の学生生活を満喫していた頃。
 ミスリルの強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナンの艦長であるテッサも東京へと来ていた。その彼女と捕まった仲間を狙って、テロリストのアームスレイブが強襲し、テッサは宗介のマンションへ身を隠すことになる。

 ところが、ちょうどシャワーを浴びていたテッサとかなめが宗介の部屋で遭遇、なぜか艦長であることをテッサが隠し、宗介と親しい関係であるかのようにかなめに見せかけてしまう。
 理解できない行動をとる上官と、クラスメイトの女子との間で板挟みになる戦争オタクは、そんな混乱を解きほぐし、事件を解決に導くことができるか?

 人間関係の複雑さは、銃の分解整備より難しいかもね?

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フルメタル・パニック! 放っておけない一匹狼?

宗介に振り回されるかなめ
評価:☆☆☆☆★
「南から来た男」:宗介が靴箱のラブレターを脅迫状と勘違いして…
「愛憎のプロパガンダ」:学校のトイレにかなめを中傷する落書きが…
「鋼鉄のサマー・イリュージョン」:海辺でかなめをナンパしたのは病弱な坊ちゃんで…
「恋人はスペシャリスト」:宗介に恋人役を演じる任務が与えられるのだが…
「芸術のハンバーガーヒル」:宗介が写生のモデルの役割を勘違いして…
「シンデレラ・パニック!」:フルメタメンバーによるシンデレラ

 本編とは全く違う学園ラブコメ風の短編集。本編ではかなめが格好良いけれど、短編では宗介に振り回されている感じがする。

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フルメタル・パニック! (1) 戦うボーイ・ミーツ・ガール

いつまでも古めかしくならない構図
評価:☆☆☆☆★
 初版は10年以上前だが、どうして戦う少年と少女という構図は古めかしくならないのだろう?

 軍事組織ミスリルに属する軍曹・相良宗介は、普通の高校に転校し、秘密裏に千鳥かなめという少女を護衛する命令を受ける。ソ連が秘密裏に行っている人体実験と関連して、彼女が拉致される可能性があるらしい。
 宗介の軍人としての実力は、幾多の戦場を生き残ってきた事実が示す通り、わずかの懸念も抱く余地がない。しかし心配なのは、彼が普通の生活を送ったことがないこと。そしてその懸念は現実となり、かなめが通う高校と彼女の生活に波乱を巻き起こす。
 そんな生活が日常になって来た頃、修学旅行に向かうかなめに恐れていた魔の手が忍び寄って来る。宗介は彼女を守りきり、再び日常の生活を手に入れることが出来るのか?

 かなめに潜在する能力とミスリルの超科学力との関係、アーム・スレイブという人型兵器による戦闘、宗介が日常に巻き起こす騒動と、見どころと伏線はたくさんある。先の長い物語の始まり。

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