神秋昌史作品の書評/レビュー

保育の騎士とモンスター娘 (2)

恋する乙女の独占欲
評価:☆☆☆★★
 魔族保育園にデルク・ライシード一級騎士見習いの後輩で魔法騎士のエリエラ・カミーネン三級騎士がやってくる。彼女は、魔族が常駐することにより生まれる気脈の綻びを調整すると共に、デルクを最前線に戻すためにやってきたのだ。
 エリエラが現状を把握するのに四苦八苦する中、デルクの作ったブランコを原因として、ティアマトのラミーネとアラクネのイナーシャの間で意地の張り合いが発生するのだった。

精霊医は勇者の変態を癒せるのか!? (2)

もう一人の精霊医
評価:☆☆☆★★
 カモとなる貴族の娘アイリーンの治療にあたろうとしたテトリアだったが、国家認定の精霊医であるユーエミルがやってきて、仕事を取られてしまう。むかついたテトリアはユーエミルが失敗するのを望んで覗き見するのだが、そこで見たのは、治療部から現れた見たことのない強力な魔物だった。
 さじを投げたユーエミルに代わりアイリーンの治療に当たることになったテトリアだったが、この貴族家はある事情を抱えていた。一方、リッシードはユーエミルから仕事仲間になるように誘いを受ける。

 今回はあんまり間違えちーと言わない。

精霊医は勇者の変態を癒せるのか!?

間違えちー
評価:☆☆☆☆★
 九日勇者の称号を剥奪されたリッシード・ハズバドルは、聖剣返還をやめて旅に出ようとするところ、どぶに落ちて骨折してしまう。その時、けがの原因となった少女テトリア・ハルスハイファンが、アニス・ノーホート、イニス・ノーホートと共に、精霊医術によって骨折を一瞬で直してしまう。
 幼少の頃のかすかな記憶と共にある誓い、この世で守るべき3つのものである国と誇りとおっぱいを知るため、テトリアにくっついていくことにしたリッシードは、謎の奇病のために二次閉鎖されている村に辿り着く。そこで、レクセンタル王国第一軍第二騎士団エレナーレ・ハートランと再会することになるのだった。

保育の騎士とモンスター娘

だいたいコメディ
評価:☆☆☆★★
 騎士見習いのデルク・ライシードは、停戦条件の一つである魔族保育園の護衛任務を受け、園長代理のティリア・クオランと出会う。彼女は、ティアマトのラミーネをはじめとする難しい園児たちをまとめ、保護者である魔族たちもあしらう人物だった。
 だいたいコメディーだが、ちょっとだけシリアス要素もある。

銀麗弓姫と甘くない魔法

ぺろぺろしちゃうぞ
評価:☆☆☆★★
 甘味を食べることで魔力を回復させることができるため、甘味に対する信仰が強い世界にあって、甘いものを食べることができないのに大魔道士であるミスニア王国国境軍魔道参謀のジア・ロンセスは、魔力を使うと甘い匂いをさせ、体液が甘くなる。
 そんな世界にあって、あらゆる果物から甘さが消えてしまった。原因は龍脈の変化にあるらしい。甘味がなくとも直接魔力を回復させられるフーデルゲン教司教のミレッタ・パルハイデや、マキーナ・オータン歩兵隊総司令配下の歩兵隊隊長ハーシュア・ヨードリアスと共に、異常の原因があると思われる魔女領を目指すジア・ロンセスだったが、その一行に、留守番を任せた総統姫メイリー・E・ホイロッサが紛れ込んでいた。甘味好きの彼女は、甘味を供給してくれるジアから離れたくなかったのだ。

 いろいろありながら魔女領についた一行は、魔女ヴァニーチェから事態の真相を聞かされる。

俺の目を見てボクと言え! (2)

男慣れしない先輩たち
評価:☆☆☆☆★
 世界一のボクっ娘を見つけるため、今年から男子の入学が許可された嶺永学園に入学した真木路大智は、欲望の赴くままに暴走したところ、風紀委員の小椿淵花に目をつけられてしまう。自分のことをオレという小椿淵花は、実は幼馴染であり、子どもの頃の真木路大智をヒーロー視している故、変態となった現在の真木路大智を幼馴染とは認めない。
 美少女を探すために入学した古枯葉月や、目立つことを第一に考えるお嬢様の雲八木澄帆を巻き込み、どうにか学園生活に慣れ始めた真木路大智は、小椿淵花に自分のことを認めさせるため、先輩の渡湖透子に唆されても小椿淵花が手を出さない、二年生の規律を回復されることに乗り出すことにした。

 権限を得るため、生徒会役員に立候補した真木路大智は、先任の佐日優美に連れられて、二年生の現実を見せつけられ、心折れかける。二年生の中でも校則違反の急先鋒は、なんと風紀委員である左癒さゆりと右常みのりだ。ところがこの二人が、こともあろうに真木路大智に惚れてしまったため、騒動が巻き起こることになる。
 見た目は派手で薄着をしている狂犬の左癒さゆりは、恥じらいながら真木路大智と仲良くなろうとし、冷静そうに見える厚着の右常みのりは、大胆に服を脱いで関係を迫ってくる。そこに小椿淵花も加わってきて…。

 う〜ん。ボクっ娘はもはや中心じゃないんだね。

俺の目を見てボクと言え!

ボクっ子を強制する変態
評価:☆☆☆☆★
 理想的なボクっ子を求めて昨年まで女子高だった嶺永学園に入学した真木路大智は、入学初日から、女の子たちに話しかけては「ボク」と言ってもらえるように懇願していた。そこに現れたのは、風紀委員の小椿淵花だ。彼女は自分のことを「オレ」といい、青い竹刀で真木路大智を制裁し去っていく。
 実は彼女は真木路大智の幼馴染であったのだが、あまりに堕落した彼の姿に失望し、現在の彼と過去の彼が同一であることを頑として認めようとしない。さらに彼女が「オレ」というのにイラつく真木路大智は、小椿淵花にどちらが格好良いかを決める勝負を持ちかけ、あっさりと敗北してしまうのだった。

 気持ちがおさまらない真木路大智は、小椿淵花攻略の方法を、同じ中学から進学した、理想のおにゃのこを探す少女の古枯葉月に相談する。さらには、小椿淵花のライバルを自称するお嬢様、雲八木澄帆とお付きの閑崎まで加わり、小椿淵花の手を煩わせるのだった。
 しかし、先輩の渡湖透子から、小椿淵花がなぜ風紀委員になったのかを聞いた真木路大智は、彼女に別の感情を抱き始める。

 冒頭からの主人公のキモさがすごい。中盤では変態度も増していくのだが、終盤にかけてはヒーロー的な動きも志向し始めるという、なかなかに一筋縄ではいかないキャラクターが暴れまわる。

オワ・ランデ! えろすとら 小さな想いのアツメ方

最後の思い出づくりに終わらせない
評価:☆☆☆★★
 本編が完結したと思った後の短編集。例によって大人の事情が絡んでいるのでしょう。合掌。
 時系列的に言えば、3巻と4巻の間のエピソードが一本、4巻後のエピソードが四本なので、ロセリーとオズの絡みはあまりないのが残念だ。

「ずっと遊んでいたいから」
 夢魔の貴族ロセリアーニ・エミテオ・フォルケシュアルが落ちゲーにはまった。オズ・ザ・ウィザードこと佐品直純と勝負をするため、練習にはまっているらしい。しかし、ぶっ続けで30時間以上もゲームをしていたところ、足が痺れたような状況になって、下半身の感覚はあれどもピクリとも動かせないようになってしまう。
 そんな状況に遭遇して、エロ神であるオズが何もしないわけはない。遠大な策略をめぐらし、ロセリーが自らオズを求めるような舞台を作り上げていく。そしてついには…。

「だってあそこは怖いから」
 ダオことアルンポーン・ルークサクワン・チアオノーイの様子がおかしい。ロセリーの再召喚を目指して部屋に引きこもって研究を続ける佐品直純と、その彼につきあっている桐河ひめみのもとに夕飯をおすそ分けに来るのはいつものことなのだが、いつもと違って元気がない。
 その理由は、見た目は幼女だけれど実は50歳過ぎの吸血鬼とは思えぬ、まるで小学生の様な理由があったのだが…。

「そのころ彼女は!」
 リスキス・ヴェールワーズやペプデビロンらを館に呼んで謝罪させるロセリーだったが、彼女たちの挑発に乗ってある勝負をすることになる。

「どんなお顔か見たいから」
 三鳥居奈津子は解せなかった。ひめみをふり、玉の輿を目指して言い寄る新一年生たちを寄せ付けもしないエロ・ザ・ウィザードの姿は、彼女が知る直純のものではない。しかも噂では、彼女がいるらしい。
 未だ姿を見せないオズの彼女をあぶり出すため、サントリーは後輩の幕戸鳴子を利用して、オズのエロぶりをあぶり出す作戦を決行するのだが…当然、最後には自爆攻撃を仕掛けることになる。

「そんな薬をのんだから」
 ロセリーと再会した後につつがなくエッチをするため、夢魔の誘淫作用を軽減する薬の開発に勤しむ直純。そこに、かつてエッチをさせるという約束をしていたことを思い出した夢魔のモリーがやってくる。これは実験の好機と喜ぶオズだったが、その薬には意外な副作用があった。
 今ここに、モリーの女としてのプライドをかけた戦いが始まる。

オワ・ランデ! (4) はるかなエンのムスビ方

最後の思い出づくりに終わらせない
評価:☆☆☆☆★
 佐品本家に復讐するために、サキュバス六傑の一人である【館長】ロセリアーニを呼びだした佐品直純であったが、様々な事件を通じてお互いの気持ちを確かめあうことで、彼にも復讐以外の目的が生まれて来た。
 しかしそんなとき、佐品本家の当主である汰二郎は女神を召喚しようとして誤り、サキュバス反体制派の最後の一人【城主】リスキス・ヴェールワーズを召喚してしまったことで、ロセリーと直純の蜜月も終わりを告げることになってしまう。

 一方、新たな扉を開きかけた桐河ひめみと、それをしてしまった三鳥居奈津子の関係はというと…。

 シリーズ最終巻。佐品本家が天才を求めて来た理由と、それとの直純の決別が描かれる。その理由が、今回、リスキスを巻き込んでアンツェ自体を揺るがしかねない騒動に発展していくのだ。
 真面目モードで事態の打開を図っている部分が多いので、いつもよりエロ成分は少なめである気がする。その代わりと言っては何だが、今回はきちっと結果を残すわけでもあるが…。盛り上がったのだけれど、盛り上がりに欠けた印象は否めない。エロく騒いでこそ直純だろ、みたいな。素直に成長を喜べない。

オワ・ランデ! (3) デキないキモチの伝え方

魔術師の本流、登場
評価:☆☆☆☆☆
 実家に復讐するため魔術に手を染めた佐品直純は、サキュバスの貴族、館長・ロセリアーニと契約を結んだ。
 召喚魔術は世界反逆罪を構成する行為であり、まだ捕まるわけにはいかないオズは十分注意していたはずだったのだが、その筋には筒抜けだったらしく、アルンポーン・ルークサクワン・チアオノーイ、愛称ダオという、見た目は少女、中身はおばさんの吸血鬼が彼を拘束にやってくる。

 一方、オズの養父・佐品汰二郎に契約を切られた世界有数の魔術師ジャスティン・アパカルフは、その原因がオズにあると逆恨みし、彼にちょっかいをかけてくる。
 その実力はロセリーすらも驚くもので、彼の登場によりオズのレベルも上がっていくのだが、彼の暴走が教主・アルディの登場を招き、事態を混乱させていく。

 親子間の確執、仲間の裏切り、種族内の対立、そして世界の運命、様々な要素が絡み合いながら、徐々に一点に向かって収束する。
 そんな反面、物語の本筋は全く関係ないところで、桐河ひめみと三鳥居奈津子が変な階段を登っていったり、えろえろな展開も満載です。

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オワ・ランデ! (2) とろけるモノの愛し方

ネコ耳ロセリーの来訪
評価:☆☆☆☆★
 暗い情熱を秘める高校生・佐品直純は、同級生の桐河ひめみと共に、サキュバス正統派三貴族の一人、ロセリアーニ・エミテオ・フォルケシュアルを再び召喚するため、いつものエロを封印して魔術の向上に励んでいた。
 そんなとき、虫の伯爵レグリッドの情報から、反体制派貴族のペプデビロンが地球側で復活し、ロセリーが契約の影響で苦しめられていることを知る。そこで、訓練した魔術を用いて扉を開いたのだが、こちらに来たのはネコ耳しっぽ装備のちびっ子ロセリーだった。

 そもそもペプデビロンが復活した原因には、こちら側に召喚されたスライムの王、トルテ・ディアルド・ジョウビレックスが関係しているらしく、その召喚を行ったのは研究所に勤務する女性、佐品小津子といった。
 ちびっ子ネコ耳になってしまっているため、サキュバス貴族としての能力はほとんど使えなくなってしまっているロセリーをサポートするため、地上勤務のサキュバスたち3人が呼び集められるのだが、その魅力に直純は陥落寸前。加えて、ひめみの友人の三鳥居奈津子までもが事態に関わってくる。果たして無事に問題解決まで至ることができるのか。

 今回の直純は、根底にある暗い情熱に変わりはないのですが、引き起こした事態に対する責任の取り方については色々と考えさせられているみたいです。

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オワ・ランデ! ヤレない貴族のオトシ方

後ろ向きな理由で突っ走る前向きさ
評価:☆☆☆☆★
 佐品直純はある目的を持ってサキュバスの召喚に臨む。結果現れたのは、ロセリーというサキュバス正統派の貴族だった。ところが貴族ゆえにその力は普通のサキュバスの数百倍というもので、普通の人間が彼女に触れれば数秒で死んでしまうという。
 何とかロセリーに触れようと様々な策を練る直純だったが、彼には伏せている本来の目的が別にあった。

 ある意味前向きな願望で突っ走っているように見える直純だが、その実際の目的は非常に後ろ向き。そこを曖昧にしたまま終盤まで引っ張り続けるところはすごいかも知れない。
 その分、サキュバスの世界の対立があっさりしたまま終わったのは、続巻があるという事なのだろうか。

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