川岸殴魚作品の書評/レビュー

人生 第5章

さりげなく口説く
評価:☆☆☆☆★
 九文学園第二新聞部部長の二階堂彩香は、美少女コンテストを八百長で優勝しようとする生徒会長の白河香織の不正を暴くため、理系代表の遠藤梨乃、文系代表の九条ふみ、体育系代表の鈴木いくみ、美術系代表の村上絵美の協力を仰ぐことにした。優勝すればついでにおこめ券を50万円分もらえる。
 赤松勇樹は、生徒会長の秘密を暴く手伝いをしつつ、女の子たちとパジャマパーティをして秘密を聞いたり、緑色のスライムを女の子にたらして撮影したりするのだった。果たして二階堂彩香の目論見通り、白河香織の不正を暴くことはできるのか?

人生 第4章

真の目的が明らかに
評価:☆☆☆☆★
 九文学園第二新聞部は文化祭に参加することになった。二階堂彩香の命で出し物を考える赤松勇樹だが、良いアイデアが浮かんでこない。理系代表の遠藤梨乃、文系代表の九条ふみ、体育系代表の鈴木いくみにも協力してもらい、美術を巻き込もうということになったものの、美術部の村上絵美からオカルト部の黒川真理を何とかして欲しいと交換条件を持ちかけられる。
 芸術系代表として村上絵美も参加。二階堂彩香と対立する腹黒生徒会長の白河香織も登場する。九条流古流マインドマップが風刺的。アイデアに煮詰まるラノベ作家のパターンを表しているようだ。

人生 第3章

子どもの頃の憧れを強制的に現実化
評価:☆☆☆★★
 九文学園第二新聞部の夏合宿も終わり、いつの間にか夏休みは終了していた。赤松勇樹が合宿後の夏休みをごきげんようを見て過ごしていただけのを聞き、部長の二階堂彩香は強烈なダメ出しをする。なぜ自分から動かないのか、と。
 そんな話をしていたら、お悩み相談の投書箱が燃やされるという事件が発生する。理系代表の遠藤梨乃、文系代表の九条ふみ、体育系代表の鈴木いくみと共に、学校を飛び出し商店街でお悩み相談をしながら、犯人を追跡することになった赤松勇樹は、なぜか地域ヒーローのコガネンの二代目を襲名する運びになってしまうのだった。

 今回の相対的なヒロインは鈴木いくみ。彼女が子どもの頃からご執心のヒーローであるコガネンを展開の中に織り込みつつ、学校を飛び出して寂れつつある商店街に繰り出していく。コガネンの中の人の残念っぷりが凄まじい。
 基本、いくみは自分のことしか考えていないキャラクターなので、ハプニング的なことはあっても甘い展開にはならない仕様です。

人生 第2章

説得して水着を見よう
評価:☆☆☆☆★
 九文学園第二新聞部は、二階堂彩香が第一新聞部を離脱して立ち上げた部活だ。その従弟である赤松勇樹は、彼女の支配の下、学園人生相談の記事を担当している。回答者として彩香がキャスティングしたのが、理系代表の遠藤梨乃、文系代表の九条ふみ、体育系代表の鈴木いくみという、いずれも一年生だ。勇樹は、美少女だけれどそれぞれ癖のある彼女たちに振り回されながら、何とか相談コーナーを切り盛りして来た。
 もうすぐ夏休み。勇樹としてはみんなで海に合宿に行きたい気持ちがあるのだが、梨乃からは相談と合宿に関連性がないと言われ、ふみの祖父からは孫を誑かす男は伝来の十文字槍・飛蝗切りの錆にすると言われ、いくみは合宿に行くお金がないと断られてしまう。

 それに追い打ちをかける様に、第一新聞部の浅野浩太が、彼女たちとキャラをかぶせた回答者の志乃、くみ、よしたかを用意し、企画を丸パクリした相談記事を立ち上げて来た。
 そのまま流されて、今年も一人、完成したジグソーパズルをばらして組み立てるだけの夏が過ぎていくかと思ったのだが、彩香に発破をかけられ、相談にかこつけて、三人の回答者の少女を説得する試みが始まる。

 夏休みということで水着パラダイスを目指した相談の私的利用、そしてパクリキャラに対する対抗、楽しい夏休みを送るためには、事前の努力が重要となる。
 それほど濃い付き合いをして来たわけではないと思うのだが、免疫や慣れがない少女を相手にしているので、ちょっとした勇樹の行動が、大きく彼女たちの心に響いているように見える。

人生

日常系のQ&Aコメディ
評価:☆☆☆☆★
 赤松勇樹は、九文学園第二新聞部の唯一アクティブな部員だ。それもそのはず、部長は彼の従姉の二階堂彩香で、彼女には逆らいがたい。今日も無理難題を押しつけられて奮闘する。今度彼に押しつけられた課題は、人生だ。
 人生と言ってもそんな大きな話ではない。学園内から寄せられるお悩みにコメンテーターたちが回答し、それをまとめて記事にするのが勇樹に課せられたお仕事だ。ところがそのコメンテーターというのがくせ者揃い。美人で天才だけど人を寄せ付けない理系代表・遠藤梨乃、ふわふわとぼけかます文系代表・九条ふみ、努力友情勝利がキャッチフレーズに思える体育系代表・鈴木いくみがそれだ。

 彼女たちが繰り出す奇想天外、奇妙奇天烈、あんまり一般的には役立ちそうもない回答に振り回されながら、今日も彼は記事を書こうとがんばっている…だろうか?そんな日常系のQ&Aコメディ。
 新聞の投書欄の裏側でこんなイベントが繰り広げられていたら、絶対にそっちの方が回答よりも面白いと思う。

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