春日秋人作品の書評/レビュー

絶対服従カノジョ。 3. いいか、俺に服従してくれ!

魔眼では見えない心
評価:☆☆☆★★
 他者を絶対服従させる魔眼の持ち主マナは、初めて出会った魔眼が効かない人間である雛谷伊織を絶対服従させるため、あの手この手で攻略しようとしていたところ、本気で彼のことが好きになってしまった。このままでは逆に絶対服従してしまいかねない。そう思い込んだ彼女は、自分に魔眼を使ってしまい、伊織のことが嫌いだと思い込んでしまった。
 せっかく魔眼を使わず、藤村景らの友人が出来たにもかかわらず、このままでは元の木阿弥に戻ってしまう。なにより、マナのことが好きになっている伊織は、何とか元の状態に戻すべく奮闘するが、マナから敵意を向けられ、すごすごと撤退するしかなくなってしまった。

 そんな彼の前に藤村景が現れ、逆に伊織がマナに絶対服従することで、マナの心中の矛盾を突いて元に戻させる策を提案してくる。
 一方、伊織のことが小学生の頃から好きなソフィアは、伊織に告白しようにもタイミングがつかめないうちに、完全に伊織の心はマナに移ってしまった。それを憐れに思う椎名いねは、一人だけでもソフィアに味方して事態に介入しようとするのだった。

 シリーズ最終巻なんだろうな。もし続けば、女たちによる男の奪い合いが繰り広げられるのかも知れない。

絶対服従カノジョ。 (2) いいか、俺の布団には入ってくるなよ?

はじめての絶対服従
評価:☆☆☆☆★
 魔眼の持ち主マナは、初めて出会った魔眼が効かない人間である雛谷伊織を絶対服従させるため、マナを愛でることに生きがいを感じる藤村景や、ネット掲示板で恋愛相談をする師匠のアドバイスを受け、ネコミミシッポなど、様々な趣向を凝らして伊織に迫る。
 一方の伊織は、マナを好きになってしまったのだけど、あくまで両想いになって普通の彼氏彼女になりたいだけなので、マナのいう、絶対服従して足をなめるなどということは何か違うと思う。ゆえに、互いに好きなはずなのに、妙にすれ違いを続けている。幼なじみのソフィアからすれば、一安心の状況だ。

 しかし、伊織が魔眼を禁じたことで、マナは住んでいた部屋を追いだされてしまい、紆余曲折の末、雛谷家に居候をすることになってしまう。長女の静は伊織に彼女が出来たと喜び、次女の咲はマナを使って伊織をからかい、三女の琴音は兄を盗られて複雑な気分だ。
 一方、マナ信者である生徒会長の時雨総一郎の気を惹くため、三葉学園のアイドル椎名いねは、妙に複雑な思考を経て、マナから伊織を奪おうとする。

 そして肝心のマナは、伊織を絶対服従させるつもりが、何故か伊織に絶対服従しそうになっている自分に気付き、そこから脱するために伊織と距離を取ろうとするのだが…。

 毎度おなじみバカバカしいラブコメではあるが、これはこれでターゲット読者にマッチした展開のはずなので何ら問題はないと思われる。まあ、なるべく息長く続けるため、あえて混迷する選択肢を選んでいる気はしなくもないけれど。

絶対服従カノジョ。 1.いいか、魔眼はつかうなよ?

言うことを聞かないから聞かせたい
評価:☆☆☆★★
 雛谷伊織の前に現れたマナは、魔眼の持ち主だった。彼の周囲の男たちを絶対服従させ伊織に迫って来て、絶対服従するように言う。だがそれに対する伊織の答えは、断る!伊織にはマナの魔眼が効かなかったのだ。
 はじめて魔眼が効かない人間に出会ったマナは、何とかして伊織を絶対服従させようとアプローチしてくる。それに対して伊織の出した条件は、魔眼を誰にも使わないこと。使えば絶交という脅しに怯え、マナは魔眼を封印し、伊織を振り向かせようと必死になるのだった。

 友達になった藤村景に伊織の落とし方を相談し、そんなマナのアプローチを伊織の幼なじみのソフィアは不安視し、パーフェクトな生徒会長の時雨総一郎はマナに懸想し、マナにプライドを傷つけられた美少女の藤村いねは伊織を奪おうとして騒動を巻き起こす。
 そんな学園ラブコメであり、魔眼は動機付け以外には特に使われていない。

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