柑橘ゆすら作品の書評/レビュー

ソード&ウィザーズ (3) 覇剣の皇帝と七星の姫騎士

ご奉仕バトル
評価:☆☆★★★
 男子寮が完成し、一人、男子寮に移ることになった空太だったが、そこに雷領域の七星騎士ルミナスが押しかけてきて、一緒に暮らさせてほしいという。当然、フェリシアや冬華が黙っているはずもなく、3人はご奉仕バトルを繰り広げることになるのだった。

異世界支配のスキルテイカー ~ゼロから始める奴隷ハーレム~

最強武術科の快進撃
評価:☆☆☆★★
 近衛流體術という、全ての武術の長所を寄せ集めた武術を身に着けた、普通の男子高校生である近衛悠斗は、オークキングによって異世界に召喚される。奴隷にされるところを返り討ちにして金品を強奪した近衛悠斗は、自身が能力略奪というユニークスキルを持っていることに気付くのだった。
 宿屋で働いていたスピカ・ブルーネルを悪徳金貸しから助け、シルフィア・ルーゲンベルクという敗戦国の騎士を買い取った近衛悠斗は、異世界で生き残り、元の世界に帰るための方法を探すのだった。

ソード&ウィザーズ 覇剣の皇帝と七星の姫騎士

HJの定番
評価:☆☆☆★★
 魔術の才能がないために暗殺剣を磨いた皐羽空太は、妹の皐羽愛海が所属する、女性しかいない魔術師育成学園に特待生として入学することになった。そしてそこで、七星騎士のひとりであるフェリシア・フォン・フランベルクと出会い、トラブルになる。
 一方、彼には七年前の出来事に後悔があった。守ると約束した幼馴染を見捨ててしまったというものだ。そんな彼の前に、かつての幼馴染が七星騎士のひとり、雪城冬華として現れる。

 魔術全盛の時代にあって、彼は自らの価値を示すことが出来るのか。

魔王なオレと不死姫<グール>の指輪 (5)

合法的ハーレムエンド
評価:☆☆☆★★
 グールのゾンミ・ラ・マッケンシー、レッドドラゴンのアイリス・スカーレット・リンドブルム、ネフィリムの黒瀬杏子から告白され、妹の久住愛美やサキュバスのリリス・アルテミシアとも同居する、魔物使いで魔物ハーフの久住千春の前に、特級魔物使いである母親の黒の久住奏恵が現れる。
 息子を愛しすぎる母親である奏恵は、幼少時の証文を持ち出して婚約を破棄しようとするが、少女たちの固い決意を見て、魔物使い合宿のMVPを取れば、プラトニックな関係は認めようと譲歩する。

 やる気になる少女たちの一方、妹である久住愛美は、初恋の失恋の訪れを感じ気落ちするのだった。そんなとき、黒の背信者を率いた特級魔物使いのルカが現れる。

 シリーズ最終巻。

魔王なオレと不死姫<グール>の指輪 (4)

ゾンビの王女様
評価:☆☆☆☆★
 グールのゾンミ・ラ・マッケンシーとネフィリムの黒瀬杏子、レッドドラゴンのアイリス・スカーレット・リンドブルムと契約を結んだ魔物使いで魔物ハーフの久住千春は、サキュバスのリリス・アルテミシアの導きで、彼の身柄を狙う黒の背信者から身を守るため、妹の久住愛美と共に魔界に避難した。
 じかし、その拠点が襲撃され、防御力はガタ落ち。その機会を利用して、ゾンミの故郷へと向かうことになった千春は、ゾンミが不死族の王女であることを知り驚く。

 ところが彼らを迎え入れた王様は、黒の背信者の悪行を見て、人間に嫌悪感を抱くようになっていた。そして、千春にゾンミとの契約を解除するように迫る。その撤回を願うため、千春は不死族の伝統的なイベントに優勝して、人間を見直してもらおうとするのだった。

俺と彼女のラブコメが全力で黒歴史

底辺から始まる関係
評価:☆☆☆☆★
 可愛い彼女が欲しくて受験勉強を頑張って入学した星光学園が、入学と同時に男女別学化した。おかげで、黒須龍騎の視界に映るのは、男、漢、オトコばかりだ。中二病気味の成宮陽平や、どう見ても男の娘の嵐水日向と共に、彼女を作るための同盟を結んだのは良かったものの、街で女子に声をかける勇気もなく、接点がない。そんなある日、黒須龍騎のケータイに、同い年の女子からメールが届く。それは、風船につけて送った連絡先を見てくれた女の子からのメールだった。

 …そんないい話で始まる恋愛が、現代にあるわけもない。それは盛大な釣りで、衆人環視の下で散々に笑い物にされた黒須龍騎は、ゲロをはいてしまう。雨に濡れ、ショックで動けない黒須龍騎に傘をさしかけてくれたのが、東雲ササラだった。
 幼稚舎から男子と関わりを持つことがないお嬢様校の白雪女学園に通う東雲ササラは、男子とのきっかけをつかむべく、偶然握った黒須龍騎の弱みに付け込み、合コンのセッティングを命じる。そして、黒須龍騎、成宮陽平、嵐水日向の男子と、東雲ササラ、七海月夜、奈多出心美(予定)の女子による合コンが始まるのだった。

 第6回HJ文庫大賞奨励賞受賞作品だ。女子と関わりが薄い男子と、男子と関わりが薄い女子による、偶然の出会いからもたらされるラブコメ。免疫がないから女子のガードは低いし、男子は惚れやすい。そこに男の娘の要素や、七海組組長の七海誠や法務大臣の東雲源三の娘という要素がからみあい、結局、どこかで見たような作品を混ぜ合わせた印象の作品になっている。しかしそれは、シチュエーションラブコメとして楽しめないというわけではない。

魔王なオレと不死姫(グール)の指輪 (3)

出生の秘密
評価:☆☆☆☆★
 グールのゾンミ・ラ・マッケンシーとネフィリムの黒瀬杏子を契約を結び、久住千春は全国魔物協会の初級魔物使いとなった。そして夏休みになり、母親の久住奏恵から豪華クルーズのチケットを受け取った千春はは、妹の久住愛美や、ゾンミと杏子、レッドドラゴンのアイリス・スカーレット・リンドブルムと共に、バカンスに出かけることにした。
 ところが集合場所には豪華客船の姿は影も形もなく、何やら嫌な予感がしてくる。そしてそれを裏打ちするように、魔族であるサキュバスのリリス・アルテミシアがやって来て、彼らを魔界へと誘うのだった。

 千春の出生の秘密が明かされ、なぜ彼や妹が人外じみた力を備えているのかが語られる。そして流れからいって今回は当然、アイリスとの契約話が持ち上がるのだが…。
 真面目なサキュバスが実はむっつりという話でもある。

魔王なオレと不死姫(グール)の指輪 (2)

幼馴染の逆襲
評価:☆☆☆★★
 グールのゾンミ・ラ・マッケンシーと契約を結び、全国魔物協会のルカの下で初級魔物使いとなった久住千春が袖にした、幼馴染にしてネフィリムの黒瀬杏子は、父親から千春をあきらめ、新たな契約者と契約するように勧められていた。彼女に許された猶予はわずか一週間。その間に、何とかしてゾンミから契約を奪い、千春と契約することを考える。
 ブラコンの久住愛美のアドバイスを受け、杏子が取った手段は色仕掛け!スカートをめくってパンツを見せてみたり、拘束して夜這をかけてみたりするものの、なかなかうまくいかない。そうこうしているうち、レッドドラゴンのアイリス・スカーレット・リンドブルムの一族を滅ぼした黒の背信者の一味であるノエル・ノース・ノームが千春にちょっかいを出すため、杏子を利用しようとしてくるのだった。

 薄い感じの物語が、テンポだけは良く展開していく。本来なら杏子のアプローチにはゾンミを絡ませて展開させるのが筋だと思うのだが、杏子の一人相撲でしか展開しないところがいかにも薄い感じ。しかしテンポは良いので、楽しめる人は楽しめるだろう。

魔王なオレと不死姫の指輪

本当の意味で腐った少女とラブコメ
評価:☆☆☆★★
 ブラコンの妹である久住愛美に迫られ辟易する生活を送っている久住千春のもとに、一通のメールが届く。それは彼が魔物使いに選ばれたことを伝えるものであり、三体の魔物の中からパートナーを一体選ぶように伝えるものだった。
 あからさまな迷惑メールとして処理し、受信拒否まで設定した久住千春のもとに、一箱のクール便が届く。その中にいたのは、選ばれるべき魔物のうちの一体、グールのゾンミ・ラ・マッケンシーだった。

 既に久住千春が自分を選んだ前提で彼に契約を迫ってくるゾンミだったが、久住千春にはそんな記憶はない。しかも、女の子とはいえ、相手は腸を腹からはみ出させているグールなのだ。ラブコメにはなりがたい。
 そうこうするうち、今度は幼なじみの黒瀬杏子が、自分もネフィリムという魔物であると言い出し、千春に契約を迫ってくる。もう一体、レッドドラゴンのアイリス・スカーレット・リンドブルムと共に、自分が千春に契約相手として選ばれたと思い込んでいたのだ。

 そもそも千春にメールを送って来た全国魔物協会のルカに相談し、解決の糸口を探ってもらおうとするが上手くいかない。やがて、全国魔物協会とは別の勢力が、千春を手に入れようと介入してくることになるのだった。

 第6回HJ文庫大賞大賞受賞作品。ストーリー性はあるようでない。結局、四人だか五人だかの少女たちとラブコメするための舞台があれば良いのであって、さらにそれが普通に考えたらラブコメしようもない相手であるという意外性があれば良いという風にしか思えない。
 これも行き過ぎると、物語というよりはエピソードやカットの断片集に過ぎなくなるので気をつけたいところだ。

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