形代小祈作品の書評/レビュー

異端児たちの放課後

強いと言わなければ守れない弱い心
評価:☆☆☆☆★
 ヒナモリ・ヒナタは自分が何かを知らなかった。ただ生き残るために人間のフリをし、人間社会で学生として生きてきた。そんなヒナタの前に、ヒヒイロ・ホノカという少女が現れる。彼女は魔を狩るものを名乗る魔法少女だった。
 人外であることをホノカに気づかれたヒナタは、夏祭りの日の放課後に滅殺されそうになってしまう。自分がどれだけ無害だと説いても、ホノカは聞く耳を持たない。もはや生き残れないと思ったとき、異邦人学園野学園長だというエルフの夜縫ど群体人間のサトーが現れ、二人を新宿地下空間へと連れて行く。

 そこで学園に放り込まれ、学生寮では同部屋とされてしまった二人は、またしてもヒナタはホノカに敵視されながら、少しずつ誤解を解いていく。そしてついに二人が友人となったとき、ホノカにヒュドラー狩を命じた純人間共和国親衛隊骸骨部隊親衛隊曹長エルリッヒ・ジーベルが現れる。

 白髪、桜色に見えなくもない白髪、桜色の髪とホノカの髪の表現が変わって行くのは、イラストに合わせたからでしょうか?だとしたらきちんと整合性を持たせて欲しいものです。こんなやっつけチェックで刊行するようでは、貴方がラノベ業界を衰退させる原因を作ることになりますよ。
 そんなわけでダメダメという評価で終わるのかと思ったのだが、後半になってかなり良くなった。大勢の中に紛れ込んでいながら異物感を感じる人間が、寄り添おうとして失敗する。それでも大勢の中に混じることを諦めきれない。そんな似た思いを抱えながら、真逆の思想を植え付けられてしまったゆえに衝突し、戦わなければならなかった二人の出会いと、後悔、贖罪、再生を描いている。

 川に本を放り投げるとか、妙に個人的にこだわりのありそうな描写も含めて、中々にニッチな心の領域をつく作品であるような気がする。

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