北川拓磨作品の書評/レビュー

A&A アンドロイド・アンド・エイリアン 星にいくつかの願いを

その2種を分けるもの
評価:☆☆☆☆★
 地球人の恋の研究するために、アンドロイドになった神崎光輔だけでなく、佐藤日奈子や渡良瀬蒼馬を巻き込んで、様々なイベントを引き起こしていく宇宙人の月夜野イリア。恋を知るためということで形だけを真似ていたはずなのに、段々とそこに本当の心が紛れ込んでいく。
 一方、元の人間に戻りたい光輔は、保健医で宇宙人の八木沼艶子から、自分に起こった現象とイリアの関係を知らされ、意識転移現象の終わり方について具体的に考え始めるようになる。そんなとき、ゴールデンウィークにイリアと二人で出かけていたことを日奈子に知られ、人間関係が少し複雑になっていく。

 5人の登場人物たちに少しずつ変化の兆しが見えて来たところで、はっきりはしないけれど、どうやらおしまいになってしまったみたい。人間の心というか意識にスポットが当たっているので派手さはまるでないのだけれど、普通のことを真面目に考えるみたいな切り口がまあまあ好きだったので、少し残念な気がする。

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A&A アンドロイド・アンド・エイリアン 未知との遭遇まさかの境遇

人間から離れた少年と、人間に近づこうとする少女
評価:☆☆☆☆★
 日課の夜のランニングの途中、学校で見慣れない少女の人影を見つけた神崎光輔は、不思議に思い彼女に近づく。そこにいたのは銀髪の少女と、岩の怪物。少女の手を引いて逃げようとした光輔は、岩の怪物に左胸を貫かれて意識を失う。
 次に目覚めたのは少女の部屋。目の前の銀髪の少女は、彼は死んでしまったと言う。いまの彼は、アンドロイドのボディに意識が乗り移っているだけの存在だと。そんな彼女の言葉を信じられず、部屋を飛び出し自分の家に帰った光輔だが、翌日の教室には、月夜野イリアと名乗る昨夜の少女がいた。

 走ることと国語が好きという程度の、特に突出したところがない少年と、駄洒落みたいな言い間違いばかりする宇宙人が主人公で、その脇を少年の幼なじみの少女佐藤日奈子と、友人の少年渡良瀬蒼馬が固める。悪役は類型的な分かりやすい人。
 全体的に筆致は落ち着いていてすんなり読めるけれど、人によっては起伏がなさ過ぎると感じるかも知れない。ただ、日常から乖離してしまった少年が、日常を取り戻すということがテーマになっていると思うので、あまりハイテンションだとテーマと合わないだろう。

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