樹常楓作品の書評/レビュー

シェーガー

感性の差異
評価:☆☆☆☆☆
 何者かの起こしたテロ事件で、目の前で幼馴染が消滅するという経験をした羽柴レッドは、自らもその後遺症で、いずれ精神に異常をきたして死んでしまうという運命を背負った。
 入院先で狂っていくわずかな生き残りを見ながら無力感にさいなまれる少年の前に、柊カイエという、口の悪い少女が現れる。彼女は彼に、シェーガーという強化骨格の実験台になるという案を提示する。それを受け入れれば、テロ事件の調査をする組織に加わることができるという。その手を取った少年は、自らをゴーストと名乗り、調査に着手するのだが、彼の取った手は悪魔の手だった。

 多くの読者はバッドエンドに近いと感じることであろう。

無限のドリフター (2) 世界は天使のもの

新しい死の形
評価:☆☆☆★★
 トマホークを武器とする少年ラビットは、一緒に暮していた天使、頬にNo.49の刻印があるトトが衰弱死してしまったため、自暴自棄になってクークの巣に出かける。そしてそこで、クークに襲われている天使、No.81の刻印のあるララに出会う。
 彼女を輸送していたスキャナー・ライトが全滅したため、彼女を最寄りの街まで連れて行くことにしたラビットは、紆余曲折の末、彼女の目的地である那由多のライブラリまで付きそうことになる。

 シリーズ最終巻。前巻のマサキたちも登場する。

無限のドリフター 世界は天使のもの

絶望と希望
評価:☆☆☆★★
 地上は滅亡した世界だった。九つある空中都市は地上と干渉することはなく、地上に漂っているのは悪徳と諦観だ。人は死ぬと記憶を受け継ぐティスの花を咲かせ、クークという白い人が人間を襲う。そんな世界には秩序があるわけもない。
 地上に生きるマサキは、10年前に奪われた少女を探し世界を彷徨っている。その少女の名はルーフィス。失われたSFやロックが大好きで、空中都市から下りてきた、歪な羽のある少女だった。

 そして現在、空中都市から研究のためにやって来たグレッグ・ダグラスと出会ったマサキは、ルーフィスそっくりの少女リューンと出会うことになる。

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