来生直紀作品の書評/レビュー

新世の学園戦区 (2)

バラバラになるチーム
評価:☆☆☆★★
 世界初のイーサ教育を行う公的機関である東十字学園は、超能力、霊能力、魔術師、管理者をそれぞれ養成している。魔術師として教育を受ける玖式ショウは、超能力や霊能力も使える特異な能力者であり、魔術師トップクラスの璃理佳ネイや、神霊クラスを扱う霊能者の霧生フミカ、巨大グループの跡取りである主城アキラ、吸血鬼ハーフのレディ・エリフェリスと共にチームを組んでいる。
 ある日、主城アキラのもとを有良ミランというメイドの格好をした少女が訪ねてくる。父親の主城ユタカが、アキラを転校させようとしているらしい。また、在世羅理事長に示唆された霊能者トップの天宗寺カナメが、玖式ショウに接触してくる。

 チームメンバーがバラバラになっていく中、玖式ショウは天宗寺ナギサの企てる霊災に巻き込まれていく。シリーズ最終巻。

新世の学園戦区

混じり合う異能
評価:☆☆☆★★
 東十字学園は世界初のイーサ教育を行う公的機関だ。新世の学園戦区(ネクスト・ヘイヴン)と呼ばれるこの学園では、超能力、霊能力、魔術師、いずれかのイーサ能力適性を持つ生徒たちが、定期的に戦うことで腕を磨き、将来、公務員として働くことを期待されている。このため、イーサ能力適性のない一般学科も併設されており、こちらの生徒たちは将来、官僚になることが期待されている。
 幼い頃、白髪の吸血鬼に母親を殺された経験を持つ玖式ショウは、極めて特別なイーサ能力適性を持っている。中学時代まではせき立てられるようにその能力を伸ばすべく努力を続けていたショウだったが、高校生になり、いつしか落ちこぼれ魔術師として蔑まれる存在となっていた。

 そんなある日、特別試験の班編制で、トップクラスの魔術師にして幼馴染である璃理佳ネイから、チームを組んで欲しいと誘われる。
 この特別試験は、半数の生徒を一般学科に転科させることを目的とするもので、極めて重要な試験であり、そこに足手まといとなる生徒を加えるのは合理的とは言えない。それにも拘わらず、璃理佳ネイは、結界を張って霊体とぼっち飯をしている霊能力者の霧生フミカや、一般学科の生徒でお掃除ロボを連れている主城アキラなど、変わった生徒ばかりを仲間にして行く。

 いぶかりながら劣等生としての生活を送る玖式ショウの前に、レディ・エリフェリスという、世間知らずの奇妙な少女が現れる。在世羅理事長の一存で学園に編入された彼女は、実は、吸血鬼と人間のハーフだったのだ。そして彼女を狙う人間たちが現れる。

 ごちゃ混ぜ異能バトルなわけで、主人公がもっともごちゃ混ぜ能力を持っている。ごちゃ混ぜゆえに世界設定はしっかりして欲しいのだが、能力の理論的な設定などはあまり細かくしていないようだ。ゆえに、何となくそうなっているというフワフワ感を感じてしまう。表に出ることはなくても、理論的裏付けは物語にリアリティを持たせるのだから、そのあたりはしっかりした方が良い。

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