慶野由志作品の書評/レビュー

正直バカはラブコメほど甘くない青春に挑む

評価:☆☆☆☆☆


つくも神は青春をもてなさんと欲す (3)

恋のライバル、ペルソナの心
評価:☆☆☆☆☆
 生徒会長の突然の乱心により、学園祭の人気投票で最上位は掃除免除、最下位は生徒会の雑用係というルールが成立してしまった。本気になって出し物を考える教室に、隣のクラスの久岐波海人が乱入してくる。そして月野原鞘音に一目ぼれした久岐波海人は、一日デート権を賭けて出し物対決を挑んでくるのだった。
 あまりの行動に怒り心頭の物部惣一は、実行委員長に立候補し、久岐波海人をギタギタにすることを決意する。そして女子の委員長に就任したのは、姫風紫乃だった。
 実は対人恐怖症気味の姫風紫乃は、他人とまともに会話できない。物部惣一との初打合せも、ダッシュで逃げ帰ってしまう。ところが翌日やってきた姫風紫乃は、性格が一変、社交的な性格になっていた。

 一方、学園祭に打ち込む物部惣一を見て、つくもは四画崎比良やアンジェに相談し、あることを計画する。

つくも神は青春をもてなさんと欲す (2)

お金も大事だよ
評価:☆☆☆☆☆
 茶釜の付喪神つくもと暮らすことになった物部惣一は、紙漉粋華から相談を持ちかけられる。彼女の家の神社に持ち込まれた小槌の付喪神をつくもに鑑定して欲しいというのだ。
 その結果、持つものを金持ちにする打ち出の小づちであることが判明するのだが、その時、小槌を狙う忍者の襲撃を受け、小槌は街に逃げ出してしまう。

 祖父が生活資金の口座から買い付け費用を引き落としてしまったため無一文になった物部惣一は、生活資金を稼ぐため、四画崎武尊と四画崎比良の喫茶店でバイトをすることになる。
 お金が入るまでの間、好意から月野原鞘音がご飯を作りに来てくれるのだが、物部惣一はそれを拒否し、鞘音を落ち込ませてしまうのだった。

つくも神は青春をもてなさんと欲す

一服の至福
評価:☆☆☆☆★
 骨董屋で独り暮らす高校生の物部惣一のもとに、世界を放浪中の祖父から荷物が届く。その荷物から出てきたのは、幼い女の子に変化できる茶釜のつくも神だった。
 名前のない彼女につくもと名付けた惣一は、仕方なく彼女を家族としてしばらく暮らすことにする。そんなある日、惣一は月野原鞘音に出会う。彼女は周囲に不幸を振りまく美少女として、孤独に生きていた。

 そんな彼女の表情にイラっときた惣一は、鞘音を笑顔にするために何かをしようと決意する。そしてつくもと惣一には、それをなすための力があったのだ。

 変態紳士のクラスメイト十月十日や神社の娘のクラスメイト紙漉粋華、アンジェやまつぼうというつくも神を巻き込んで、不幸を断ち切るための奮闘が始まる。

 第12回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞受賞作品だ。

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