小泉陽一朗作品の書評/レビュー

ブレイク君コア

僕は君が好き、でもそれって何が本質?
評価:☆☆☆☆☆
 福島県の喫茶店すらも見当たらない赤馬市の高校に通う入山優太は、自転車置き場で自分の自転車を執拗に踏みつける飯田いくみの姿を見て、恋に落ちる。その隠すことのない激情に、何かを感じたのだ。
 何とかお近づきになって会話をするようになり、一緒に自転車で帰るくらいの仲にはなった。でもそれだけじゃ足りない!そう思って告白しようと思った瞬間、彼女はトラックにはねられてしまう。

 これにてジ・エンド、というわけもなく、幸い彼女の一命に別条はなかった。しかし、何故か彼女の中に入っている人格が別人のものになっているらしい。彼女は別の人間の記憶をもっているらしい。
 そんな彼女に、自分と付き合っていると勢いで嘘を言う入山優太。そんな彼を、彼女はデートに誘う。それが、ロリペド殺人者・武藤ムツムと、霊能探偵・墓無沈が関わる事件への入り口だった!


 人格入れ替わりラブコメであり、愛や罪が魂か肉体のいずれに帰属するのかを悩む青春ものでもある。登場人物の視点を明示し、人格が入れ替わった状況で起きていく事件と、その過程で生じるそれぞれの気持ちの移り変わりを描いている。
 ところどころ過激な表現もあるのだけれど、それを差しおいても面白い。ばらけたエピソードのパーツが合わさり、最後にひとつの結末にたどり着くところは、おそらくタイトルにあるブレイクコアをイメージしているのではなかろうか。

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