小林三六九作品の書評/レビュー

ブレイク×トリガー

構築できない秩序
評価:☆☆☆★★
 異世界から訪れる脅威に対抗するため、魔導の力を手に入れた国家機関MIMが世界を支配するようになった。そして彼らは魔法利権を独占し、魔法に関する研究を禁止する。
 その現状に反発する人々は、民間組織DOGを作り、個別に魔法を研究して、異世界からの脅威とMIMに対抗しようとした。しかしそれは、新たな腐敗と混乱の原因ともなっている。

 そんな世界で、異世界干渉によって目の前で妹のカナミを奪われた真壁トキオは、DOGの浦木レイジと組み、MIMの一等官である久羽城サキの追及をかいくぐりながら、異世界からの怪物を撃破する力を得ようとしていた。そんな彼の前に、カナミの記憶と人格を持つ少女が異世界から現れる。
 保護者である乙原リョウカにも内緒でひとまず彼女を匿うことにしたトキオだったが、志木堂マサムネの命を受けた久羽城サキや、浦木レイジの背後にいる漆島ハイドによって狙われることになる。カナミの正体とは?

Buster-Do! (2)

ヒロイン登場
評価:☆☆☆★★
 ボトムナンバー(最下位の男)と呼ばれる美空光太は、生徒会長の御凪静句からバグと結晶武器召喚能力(アーツ)の関係を聞かされ、バスタードの在り方に一石を投じるため、覆面ヒーローのサイファーとなった。
 そんな活動の中、サイファーは天沢リーゼという少女を助ける。彼女は学園で話題の、男をとっかえひっかえしているという美少女だった。

Buster-Do!

いまどき覆面ヒーロー
評価:☆☆☆☆★
 女王蜂事件以降に発生するようになったバグを倒すため、御凪グループが開発した結晶武器召喚能力(アーツ)を用いることで超常能力を発揮するバスタードは生まれた。しかしいつしかバグ退治はおまけの扱いとなり、超常能力によるバトルを見世物とするようになってしまう。そんなバスタードを養成するのが御凪学園だ。
 御凪学園ボトムナンバー(最下位の男)と呼ばれる美空光太は、攻撃力を持たないガントレットしか装備できないバスタードだ。同級生でトップ10に入る実力の持ち主である宮古朱音からは、もっとまじめに取り組むよう、いつも発破をかけられている。そんな美空光太の慰めは、同室でやはりあまり成績のよくない相川公平との友情だった。

 そんなある日、美空光太は生徒会長で現役最強と目される御凪静句と対戦し、彼女の最強の技を防ぐものの、あっさりと敗れ去ってしまう。しかしそれが、彼が覆面ヒーロー、サイファーとして活動することになるきっかけだった。

キリサキシンドローム II -イツハリアムネジア-

衝動を抑える感情
評価:☆☆☆☆★
 キリサキ魔の正体だった三日月彼方のおもちゃになる代わりに、他の人間を傷つけさせない約束をした伊佐見遥彦は、有り体に言って困っていた。退魔師の不知火杏奈が、四季森に蔓延り始めた蟲の対策のためにやって来て、なぜか伊佐見遥彦の家に居候すると言いだしたのだ。
 そんな事実を三日月彼方に知られれば、過激なキリサキが待っていることは必定。それに不知火杏奈はクラスにも転入してきたため、犬のついた野々原歩美や、猫のついた瀬里沢道流とも関わることになり、不知火杏奈のやりたい放題の展開となる。

 そんなある日、伊佐見遥彦は着ぐるみのバイトをしていた多智花千尋と知り合いになる。だが、別の日に再会した多智花千尋は、全く彼のことを忘れていた。
 不死者となっている伊佐見遥彦が街を見回る中、所々に起きている不自然な痕跡。別の場所にいるはずの三日月が男たちを歩いているのを見かけたり、クラスメイトの佐久良涼美が徘徊していたり、起きている事象の断片をつなぎ合わせていくことで、蟲にまつわる事件の原因が浮かび上がってくるのだった。

 主人公がヒロインたちに様々な形でいじり倒される展開となっている。そのためもあってか、魔獣にまつわる事件は日常のラブコメを引き起こす為の要素としての意味あいが強くなっている様に感じられる。
 順調にキャラは増えてきているけれど、不知火杏奈の押しが強すぎて、キリサキという強烈さを持っているにもかかわらず、どこか三日月彼方のインパクトが薄れているようだ。

キリサキシンドローム

惨殺されて仲間になる
評価:☆☆☆☆★
 高校生の伊佐見遥彦は、四季森を騒がせるキリサキ魔の犯行現場を目撃し、口封じに殺された。デッド・エンド…となるはずが、何故か傷一つなく目を覚ます。傍らにいたのは黒巫女の不知火杏奈だ。彼女は彼がアヤカシにとりつかれたと言い、その影響で不死身になったと告げる。もう後戻りのできないところに否応なく放り込まれたらしい。
 翌日、学校に向かった遥彦は、そこで昨夜の殺人犯と遭遇する。その名は三日月彼方という、新入生の美少女だった。

 成り行きで、三日月彼方に同行し、本物のキリサキ魔を捕まえる手伝いをすることにした伊佐見遥彦は、それまで彼が知らなかったジンガイの世界を知る。そこには、昔からの友人の野々原歩美や、委員長の瀬里沢道流も関わっていたのだった。

 序盤は自分を殺した相手に肩入れするという変則的なボーイ・ミーツ・ガールに始まり、若干飽きが来るよくある展開だなと思わせたところで、これまた王道的なところではあるのだが、身近な人物が事件に巻き込まれ、異能力を発揮して仲間になっていくという変化が加わることで、タイプの違うヒロインに対する楽しみ方が出来る構成となっている。そうして本来のヒロインも変化していく訳だが、その変化の理由が明確なので納得感がある。
 このストーリー展開とバトルは、ラノベよりも連載マンガの方がより盛り上がるかもしれない。人間を切り裂いてエクスタシーを感じるとか、少年誌にはハードルが高過ぎるけと。

ホーム
inserted by FC2 system