紺野雷人作品の書評/レビュー

犠牲のソラ I True Banishment[真実の罰]

罪人たちのディストピア
評価:☆☆☆★★
 地上から追放された人類はわずか一万強にまで人口を減らし、四艇の魔光艇に分乗して生き延びていた。その中で恋人ティアナ・シルクと暮らしていたフェン・ウィルスは、謎の存在ノスフェラトゥに遭遇したことで、これまでの常識を覆されてしまう。魔光艇のエネルギー源として身を捨てることは至上の喜びと教えられていたのだが、それは誤りだと気づいたのだ。
 その結果、地上へと追放されたフェンは、魔光獣の襲撃を辛くも切り抜け、人間に似た生物とのコミュニケーションに成功する。しかし彼らは、フェンをシエロと呼び、人類を罪人扱いして、フェンのことを拘束してしまった。

 設定はひとまず置くとして、細部の数字が現実的ではない気がする。出生率が0.5で総人口が一万二千、二週間に一人を犠牲に捧げるシステムは、高確率で崩壊すると思う。実体的には絶滅にひとしいだろう。
 文章も若干説明調で、シナリオの初稿みたいだ。あと、イラストは絵として商業レベルに達しているのか疑問。出版する際に、きっちりレベルを上げる努力を、編集がさせるべきだった。

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