小林雄次作品の書評/レビュー
ウルトラマン妹
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両親はおらず妹の月島あかりと二人暮らしをしているにも拘わらず二十歳ニートの月島翔太は、あかりに付き添われて天文台の就職面接に行った帰り道、奇妙な流れ星?を目撃する。それは宇宙から飛来した怪獣だった。偶然、研修で地球を訪れていた光の国の少女ジャンヌがあかりに合体することで、何とか窮地を脱出したかに見えた翔太たちだったが、それはまだ序の口だった。
本当の光の国の正義の味方である如月ユキことアムールに見つかり、無断で地球に来たことを怒られるジャンヌ。しかしあかりはそんなジャンヌを庇い、一緒に暮らそうとするのだった。
そうこうするうち、正義の味方であるはずのBURK司令部が翔太抹殺に動き始めるのだが、そんな彼らの前に現れて助けてくれたのが、BURK隊員になったという小学校の時の友だち橘美弥だった。
そもそもこの企画でウルトラマンというコンテンツを利用した必然性がよく分からない。別にウルトラマンじゃなくても良いじゃん。全然、関係ないことをやってるんだし。パロディにもなってないし。詰まるところ、何をやりたくてこの話を書いたのかが、全く見えなかったわけだ。
ファンタジーがファンタジー要素を消化するためには、常識の延長線上のリアリティという基盤をつくり、そこに要素を埋め込む形にしなければ、読者の想像力の範囲におさめることが出来ない。翻ってこの作品を見ると、まず、主人公たちの状況にリアリティがないにも拘わらず、そこにファンタジー要素を掛け合わせているので、全くもって理解の範疇外になってしまっている気がする。ここでも、何を書きたいのか分からないと言うことが悪影響を与えているのだ。書きたいことが明確であれば、そこにリアリティが生まれるのに…。
まあ企画ものっぽいので、自由にやってくださいという感じだ。
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